和名…メボウキ(目箒)
別名…スイートバジル、バジル、バジリコ
科名…シソ科
属名…メボウキ属
原産国…おそらく熱帯アジア
花色…白
草丈…20㎝~80㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:2 to 11
スイートバジルとは
スイートバジルは、シソ科メボウキ属の一年草です。
バジル、バジリコとも呼ばれ、香辛料として広く利用されています。
葉は独特の甘く爽やかな香りを持っており、イタリア料理には欠かせないハーブの一つとなっています。
新鮮なスイートバジルの葉をあしらったマルゲリータは絶品です。
古くから栽培されているため正確な原産地は不明ですが、熱帯アジアが起源ではないかと言われています。
スイートバジルの花期は6月下旬~9月。
花期になると、分枝した茎の頂部に花序を出し、花を咲かせます。
花序は10~20㎝程度の長さになり、花は花序の節に輪生します(輪散花序)。
▼スイートバジルの花序
花はシソ科の植物の多く見られる唇形花です。
唇形花とは、筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれている花のことで、この様子を口に見立て、上部を上唇(ジョウシン)、下部を下唇(カシン)と呼びます。
スイートバジルの唇形花は上唇が4裂しており、雄しべは4個、花冠からやや突き出します。
▼スイートバジルの唇形花
一般的に流通しているスイートバジルの花は白色が大半ですが、薄紫色やピンク色の花を咲かせる品種もあります。
花後には直径2.5mmほどの小さな種子が出来ます。
この種子は、水を含むと乾燥状態の20~30倍に膨張して、ゼリー状の物質で覆われる性質があります。
東南アジアでは、この種子をデザートや飲料として利用します。
日本には当初、漢方薬としてこの種子が渡来しました。
ゼリー状の物質が目の汚れを取り除くとされ、目薬として利用されていたようです。
和名の「メボウキ」はこのことに由来しています。
目薬としては現在利用されていませんが、飲料用にバジルシードの名前で流通しています。
▼バジルシード
葉は対生し、長さ2.5~5㎝、幅1~2.5㎝の卵形~長円形です。
縁は不規則な歯がある場合と無い場合があり、内側か外側に反ります。
葉柄は長さ約1.5㎝で、わずかに翼があります。
▼スイートバジルの葉
春先に植えておけば、秋まで新鮮な葉を楽しめます。
摘心することで枝数がどんどん増え、収穫量も増えていきます。
基本的に丈夫な性質で、育てやすいハーブです。
スイートバジルとバジル
スイートバジル(sweet basil)という名前は、メボウキ(Ocimum basilicum)の英名です。
近年になって「スイートバジル」の名前で流通することが多くなったため、新しい品種と思われがちですが、バジル、バジリコ同様にメボウキを指します。
英語圏ではコモンバジル(common basil)とも呼ばれますが、スイートバジルの方がより一般的に使われています。
ただし、名前に「スイート」と付く品種がいくつかあるので、こちらが日本で販売される際に「スイートバジル」という流通名になっている可能性も否定できません。
以下、名前に「スイート」が付く品種です。
- ラージ・スイート・イタリアン‘Large Sweet Italian’
- マンモス・スイート‘Mammoth Sweet’
- スイート・ブロードリーフ‘Sweet Broadleaf’
- スイート・ジェノベーゼ ‘Sweet Genovese’
- スイート・グリーン‘Sweet Green’
- スイート・ダニー‘Sweet Dani’
- スイート・ファイン‘Sweet Fine’
- スイート・タイ‘Sweet Thai’
スイートバジル主な品種
古くから栽培されているハーブで、160以上の品種が登録されています。
ここでは基本的な品種ではなく、少し変わった品種を取り上げています。
ダークオパール(Ocimum basilicum ‘Purpurascens’)
1950年代にアメリカ・コネチカット大学で作出された有名品種です。
紫葉が美しく、淡いピンク色の花を咲かせます。
レッドルビン(Ocimum basilicum ‘Red Rubin’)
ダークオパールより葉色が赤い品種です。
オパールバジルとも呼ばれています。
タイバジル(Ocimum basilicum var. thyrsiflorum)
東南アジア原産のバジルの変種です。
基本種とは異なる独特の香りがあり、長時間火にかけても香りが残るので、煮込み料理などによく使われます。
茎や花序は紫色をしており、淡いピンク色の花を咲かせます。
レモンバジル(Ocimum americanum)
バジル(Ocimum basilicum)の近縁種です。
学名に「americanum」と入っていますが、原産地はアメリカではなく、アフリカ、インド亜大陸、中国および、東南アジアです。
タイ料理によく使われるバジルで、ホーリーバジルとも呼ばれます。
タイバジルと混同されますが、本場のガパオライスに入っているのはこちらです。
他にも数多くの品種があります。
バジルの育て方
栽培環境
日当たりと水はけが良く、肥沃で腐植質に富んだ場所が適しています。
熱帯アジア原産の植物で、高温多湿な環境でも元気に育ちます。
ただし、日当たりが悪い場所ではうまく育たないので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
露地植えの場合は植え場所の用土にあらかじめ、苦土石灰、完熟堆肥、有機肥料を混ぜ込んでおきます。
種まき
適期は4月上旬~6月下旬です。
霜に当たると枯れてしまうので、直まきの場合は遅霜の心配がなくなってから種を撒いて下さい。
発芽適温は地温が20℃~25℃です。
種は20~30㎝の間隔で、2~3粒ずつ点まきします。
または、ポットに2~3粒ずつ撒きます。
覆土はごく薄く。
発芽は5~10日後になります。
本葉が2枚程度になったら、元気な苗を残して間引きます。
植え付け
ポットで育てた苗や、購入した苗を植え付けます。
適期は5月上旬~7月中旬です。
鉢植えの用土は、市販の野菜の土や、ハーブの土が手軽です。
18㎝鉢に1株、65㎝プランターに2~3株が目安です。
露地栽培の場合は、株間20~30㎝程度です。
水やり
水切れには弱いので、特に梅雨明け以降は乾燥に注意して管理します。
鉢植えの場合は、真夏は朝夕の水やりが必要になります。
露地栽培の場合は、乾燥が続くようなら早めに水やりをして下さい。
梅雨明け以降は、株元に敷き藁などを敷いて、強い乾燥を予防します。
肥料
鉢植えの場合は、2周間に一度、即効性の液体肥料を施します。
露地植えの場合は、月に1度、肥料を施します。
摘心
本葉が10枚以上に成長したら、芽を摘んで脇芽を増やします。
摘心すると、どんどん脇芽が増えていくので、収穫を兼ねて積極的に行って下さい。
6月下旬以降、茎頂に花序が出てきます。
花を咲かせると葉が固くなるので、早めに摘み取ります。
バジルシードを収穫したい場合は、そのまま花を咲かせ、花序が完全に枯れるまで放置しておきます。
ただし、種をつけると株が老化しやすいので、注意が必要です。
冬越し
耐寒性が無いため一年草として扱われますが、5℃以上の気温があれば、冬越しが可能です。
気温が下がる前に、露地栽培の場合は鉢上げをして、室内に取り込みます。
室内ではできるだけ日当たりの良い場所で管理して下さい。
増やし方
挿し芽と種まきで簡単に増やすことが出来ます。
挿し芽
気温があればいつでも可能です。
切り取った芽を、しっかりと水揚げをした後、挿し木用土に指します。
明るい日陰で水を切らさないように管理し、発根を待ちます。
種まき
種の採取
花後に花序が茶色くなったら、花序ごと切り取ります。
乾燥が足りないようだったら、陰干しをしてしっかりと乾燥させます。
乾燥した花序を指でしごいてサヤを落とし、手で揉むようにして中の種を取り出します。
種は封筒などに入れ、さらに瓶などに入れて涼しい場所で保管します。
種まき方法については上記「種まき」の項目を参照下さい。
病気・害虫
苗が小さい頃に、ヨトウムシによる食害が発生することがあります。
ヨトウムシは夜行性で、昼間は土の中に潜んでいます。
食害があった株の近くの土を軽く掘ると見つかることがあるので、捕殺して下さい。