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キクイモ

学名…Helianthus tuberosus
和名…キクイモ(菊芋)
科名…キク科
属名…ヒマワリ属
原産国…北アメリカ
花色…黄色
草丈…1.5m~3m
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:4 to 8

キクイモとは

キクイモ

キクイモは、北アメリカ原産のキク科ヒマワリ属の多年草です。
分布域は、アメリカ南西部の一部地域を除く北アメリカ全体に広がっており、畑や茂み、森林の縁や鉄道・道路の脇など、様々な場所で自生が見られます。
正確な特定は困難ですが、おそらく中央カナダが原産です。

花を鑑賞する他、地中にできる塊茎が食用になるため、温帯地域で広く栽培されています。

日本には、1859年に来日したイギリス初代駐日総領事ラザフォード・オールコック氏が、パセリやレタス、芽キャベツなどと共に導入しています。
その後、第二次大戦中の食糧難の時代に広く栽培されるようになりました。
現在では逸出したものが野生化し、全国で定着しています。
特に北海道、長野県、群馬県で多く見られます。

キクイモの花期は9月~10月。
花期になると、分枝した茎の頂部に、1~15個の頭花を咲かせます。
頭花とは、主にキク科の植物に見られる花序の形です。
一輪の花に見える部分は、外周の花弁のような舌状花(ゼツジョウカ)と、中心部分の小さな管状花(カンジョウカ)から作られた集合花です。

▼キクイモの頭花

キクイモの頭花

キクイモの頭花は直径6~8㎝程度、8~20個の舌状花と、60個前後の管状花で形成されています。
舌状花の花弁に見える部分(小舌:ショウゼツ)は、長さ2.5~4㎝程度の長さです。
管状花は長さ0.6~0.8㎝程度。

▼キクイモの管状花

キクイモの管状花

管状花は外側から内側へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟して花粉を出し(雄性期)、その後で雌しべが伸びて成熟します(雌性期)。

▼キクイモの管状花(雄性期と雌性期)

キクイモの管状花(雄性期と雌性期)

葉は上部で互生、下部で対生し、長さ10~23㎝、幅7~15㎝の披針形~卵形です。
葉柄は2~8㎝で、多くの場合、翼があります。

▼キクイモノ葉の様子

キクイモの葉の様子

茎は直立し、全体に荒い毛が密生しています。
花を咲かせながら、草丈1.5~3mに成長します。

▼大きく成長したキクイモ

大きく成長したキクイモ

地中に塊茎を作ります。
塊茎は多くの場合5㎝以上の大きさに成長します。
塊茎の主成分は多糖類イヌリンを含む食物繊維で、デンプンはほとんど含まれません。
そのため飼料や果糖の原料となる他、健康食品としても加工されたものが販売されています。

▼キクイモの塊茎

キクイモ

耐寒性もあり、強健な性質で育てやすい植物です。
畑などに植えると増えすぎるので、注意が必要です。

イヌキクイモ(Helianthus strumosus)

花や草姿が酷似した植物にイヌキクイモがあります。
イヌキクイモは、キクイモ同様に北アメリカ原産の近縁種です。
両種の違いは、茎の毛と地中の塊茎です。

キクイモには荒い毛が密生していますが、イヌキクイモの茎はほぼ無毛、もしくは無毛です。
また、キクイモは地中に大きな塊茎を作りますが、イヌキクイモは塊茎が無いとされています。
ただし、日本のものは小さな塊茎が根の先に付きます。

以上のような違いがありますが、イヌキクイモは個体差が大きく、交雑しやすい性質のため、同定は非常に困難です。
現在では、イヌキクイモはキクイモの変異種とする見解もあります。

キクイモの近縁種

キクイモが属するヒマワリ属の植物は、北アメリカ、メキシコに52種が分布しています。
栽培されているヒマワリ属の植物には本種の他以下のようなものがあります。

-多年草・宿根草, 草本, 野の花