多年草・宿根草

ネリネ

  • 学名…Nerine Herb.
  • 別名…ダイヤモンドリリー
  • 科名…ヒガンバナ科
  • 属名…ヒメヒガンバナ属
  • 原産国…南アフリカ
  • 花色…赤、白、ピンク、紫、オレンジ、複色
  • 草丈…30㎝~60㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:7 to 10

ネリネとは

ネリネは、アフリカ南部原産のヒガンバナ科ヒメヒガンバナ属の多年草です。
ヒメヒガンバナ属には約25種の植物が分類されており、主に南アフリカに分布しています。
草姿がヒガンバナに似ていますが、ヒガンバナはヒガンバナ属、ネリネはヒメヒガンバナ属で別属の植物です。

栽培されるのは、ネリネ・サルニエンシス(Nerine sarniensis)、ネリネ・ウンデュラータ(Nerine undulate)、ネリネ・ボーデニー( Nerine bowdenii)の三種が多く、多数の園芸品種があります。

ネリネというのはヒメヒガンバナ属の学名ですが、観賞用に栽培されるヒメヒガンバナ属の植物の総称として用いられています。
別名はダイヤモンドリリー。


ネリネの花期は10月下旬~11月。
秋になると花芽を真っ直ぐに伸ばして花序を出し、花を咲かせます。
花序は散形で、数個~多数の花を付けます。

▼ネリネの花序

花は漏斗形で花序の外側に向いて咲きます。
花被片(かひへん)は狭倒披針形で反り返ります。
縁は品種により、細かく縮れます。

※花被片(かひへん)…萼片と花弁を合わせて花被片と呼び、その全体を花被と呼ぶ。
萼片と花弁が類似する、あるいはほとんど区別できない場合に用いられる。
内外2列になっている場合、外側にあるものを外花被(がいかひ)、内側を内花被(ないかひ)と呼ぶ。

▼ネリネの花

雄しべは6個、雌しべは1個あり、多くの場合突出します。
雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)で、雄しべが先に成熟し花粉を出した後、雌しべが成熟します。

▼ネリネの雄しべと雌しべ

花被片は光が当たると細かいラメを散りばめたようにキラキラと輝き、その美しさから「ダイヤモンドリリー」と呼ばれます。

花は1か月ほど楽しむことができ、花持ちの良さと美しい花姿から切り花として利用され、ブーケなどにもよく使われます。
花色は、赤、白、ピンク、紫、オレンジ、複色。

▼様々なネリネ


果実は球形~卵形の蒴果(さくか)。
果実は熟すと裂け、中の種子がこぼれます。


葉は細長い線形で、開花と同時、または開花後に地面から芽を出して展開します。
夏場は休眠期、または半休眠期になり、地上部を枯らせたり、葉が少なくなったりします。

▼ネリネの葉の様子

耐寒性は品種により異なりますが、サルニエンシスは寒さに弱く、冬は凍らせないように鉢植えで管理するのが一般的です。
耐寒性のやや高い品種では、関東以南の地域で戸外での冬越しが可能です。
数年間は植えっぱなしで、よく花を咲かせます。

関連図鑑

よく似た花を咲かせる植物にリコリスがあります。
「リコリス」はヒガンバナ属の観賞用品種の総称です。

ネリネの主な品種

ネリネ・サルニエンシス(Nerine sarniensis)

南アフリカ西部岬の岩山の斜面に分布するネリネです。
非常に多くの品種が流通しており、ネリネを代表する系統となっています。

草丈30~50㎝。
冬成長型で夏から秋に球根を植えると、秋に花を咲かせ、花後に葉を伸ばして初夏になると休眠します。
花の大きさ、花立ちの良さと共に、キラキラと輝く花弁が非常に美しく、海外でも高い人気を誇る系統です。

寒さには弱い性質のため、鉢植えで育てるのが一般的です。
暖地であれば、霜が避けられ、日の当たる暖かい軒下などで冬越し可能です。

ネリネ・ウンデュラータ(Nerine undulata)

南アフリカの東ケープ州を中心に分布するネリネです。
別名ネリネ・クリスパ。

夏成長型で、春に球根を植えて秋から冬に花を咲かせます。
比較的耐寒性があり、性質も丈夫です。
庭植えで育てることが可能です。

ネリネの中では遅咲きで、サルニエンシスに比べると花は小ぶりですが、多くの花を咲かせます。
淡いピンクの花は花弁の縁が波打ち、繊細で美しいネリネです。

ネリネ・ボーデニー(Nerine bowdenii)

南アフリカの南部地域を中心に分布するネリネです。
夏成長型の代表的な品種で、春に球根を植えて秋に花を楽しみます。

花色はピンク、白。
こちらも比較的耐寒性があり、丈夫な性質です。
数多くの園芸品種があります。

ネリネの育て方

ネリネの育て方

栽培環境

葉が出ている間は、日当たりの良い場所で育てて下さい。
過湿な環境では球根が腐りやすいので、水はけの良いことも大切です。

サルニエンシス系は寒さに弱いので、鉢植えで育てるのが一般的です。
ボーデニー、ウンデュラータは比較的耐寒性があり、関東以西の地域であれば庭植えにすることが出来ます。
庭植えのにする場合は、直接霜の当たらない軒下などの方が無難です。
その他の地域では鉢植えにして管理して下さい。

冬越し、夏越し

冬越し

サルニエンシス系は寒く、冬越しには0℃以上の気温が必要です。
暖地であれば、霜の避けられる軒下などで冬越しすることが可能です。
その他の地域では、暖房の効いていない室内の日当たりの良い場所で管理して下さい。

夏越し

サルニエンシス系は夏に休眠期に入ります。
休眠期に入ったら完全に水を絶ち、雨の当たらない涼しい場所で管理します。

水やり

乾燥気味の環境を好みます。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、葉や蕾が伸び始めたら水やりを再開し、葉がある間は、鉢土がしっかりと乾いたら水を与えます。
葉が枯れ始めたら水やりの回数を減らしていき、休眠期には完全に水を絶って下さい。

肥料

あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。

庭植えの場合は、花後にお礼肥として緩効性化成肥料を株元にばらまく程度で十分です。
鉢植えの場合は、花後のお礼肥の他、葉がある間は、薄めの液体肥料を月に1~2回程度、施して下さい。

植え付け、植え替え

植え付け

サルニエンシス系は8月下旬~9月下旬、夏成長型のボーデニー、ウンデュラータは4月~5月です。

球根は浅植えで、肩が見える程度の深さに植え付けます。
肥料分が多く入っていると球根が腐りやすくなるので注意が必要です。

庭植えの場合は、水はけの良い環境であることが大切です。
水はけの悪い環境では球根が腐ってしまうことがあるので注意して下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)単用、または赤玉土(小粒)に砂を2割ほど混ぜた水はけの良い配合土を使います。
市販の草花用培養土には肥料が入っている事が多いので注意して下さい。
3号鉢に1球、5号鉢に3球が目安です。

植え替え

植えっぱなしの方が良い花を咲かせます。
球根が増えすぎて生育が悪くなったり、花が少なくなったら、分球を兼ねて植え替えを行います。
鉢植えの場合は、4~5年に一度、新しい用土で植え替えを行って下さい。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ますが、あまり増えません。

分球

数年間植えっぱなしにしておくと、球根の周りに子球が出来ます。
掘り上げて、手で分けて植え付けて下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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