- 学名…Sanguisorba officinalis L.
- 和名…ワレモコウ(吾木香、吾亦紅)
- 科名…バラ科
- 属名…ワレモコウ属
- 原産国…アジア、ヨーロッパ、北アメリカ
- 花色…暗赤色
- 草丈…30㎝~120㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 8
ワレモコウの|特徴

ワレモコウは、アジア、ヨーロッパ、北アメリカに分布するバラ科ワレモコウ属の多年草です。
日本では、北海道から九州に分布しており、日当たりの良い草原や田畑の畔などで、ごく普通に見られる山野草です。
ワレモコウの花期は7月~10月。
花期になると、分枝した細い茎の頂部に、花序を出し多数の花を咲かせます。
花序は穂状花序(すいじょうかじょ)で長さ1~2㎝。
花序は上から下へと咲き進みます。
※穂状花序(すいじょかじょ)…主軸に花柄のない花が直接付く形の花序。
参照…花序の形-穂状花序
▼ワレモコウの花序

花弁のように見える部分は萼片で、本来の花弁は退化しています。
萼片は4個あり暗赤色からピンク色で、楕円形~広卵形。
▼ワレモコウの花

雄しべは4個、雌しべは1個。
▼ワレモコウの雄しべと雌しべ

果実は長さ2~4㎜の痩果(そうか)。
※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。
▼ワレモコウの若い果実

葉は長さ20~40㎝の奇数羽状複葉(きすううじょうふくよう)です。
※羽状複葉(うじょうふくよう)…葉軸の左右に小葉が並んだもの。
先端に頂小葉(ちょうしょうよう)があるものは奇数羽状複葉、ないものは偶数羽状複葉と呼ばれる。
参照…葉の付き方と葉の形-羽状複葉
▼ワレモコウの羽状複葉

小葉は3~6対付き、長さ1~7 ㎝、幅 0.5~3㎝の長楕円形です。
縁は歯牙縁(しがえん)。
※歯牙縁(しがえん)…葉の縁のギザギザが、葉の先端ではなく横に向かってとがっている形。
参照…葉の付き方と葉の形-葉の縁の形
▼ワレモコウの小葉

葉の縁に白い斑が入る斑入り品種や、黄色い斑点が入る斑入り葉の品種も流通しています。
花を咲かせながら草丈30~120㎝に成長します。
耐寒性、耐暑性に優れ、放任でもよく育ちます。
冬に地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。
ワレモコウの主な品種
ヒメワレモコウ
草丈20~30㎝のワレモコウの矮性種です。
姿がまとまらないワレモコウに比べて、小さくまとまるのが特徴です。
花も小さく愛らしい草姿です。
「屋久島ワレモコウ」「済州島ワレモコウ」「タンナ(丹那)ワレモコウ」などの矮性種がヒメワレモコウとして流通していますが、学名の付いていないものもあり、ヒメワレモコウの定義は定かではありません。
サラダバーネット(オランダワレモコウ:Sanguisorba minor)

ヨーロッパから温帯アジア、北アフリカに分布するワレモコウの近縁種です。
オランダワレモコウの和名がありますが、主にサラダバーネットの名前で流通しています。
草丈は30~60㎝で、初夏に赤く丸い花穂を付けます。
▼サラダバーネットの花

全草にキュウリのような匂いがあり、若葉をサラダなどに利用します。
耐寒性は高いのですが、多湿な環境が苦手で花後に枯れることがあります。
ワレモコウの育て方

栽培環境
日当たりの良い環境が適しています。
日陰だと生育が衰え、花もあまり咲きません。
半日蔭程度の日照があれば育ちますが、徒長気味になり花付きも悪くなります。
よく日の当たる場所で育てて下さい。
斑入り品種は夏の強い日差しで葉焼けを起こすことがあるので、夏場は半日蔭の場所に移動して下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性ともに優れており、特に対策の必要はありません。
斑入り品種の場合は、夏場に葉焼けを起こしやすいので、半日蔭の場所に移動するか、遮光します。
遮光率は30~40%です。
冬になって地上部が枯れたら、地際で刈り込みます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場にひどく乾燥させると花が咲かないことがあるので、水切れに注意して管理して下さい。
冬場は地上部が枯れますが、完全に乾かしてしまわないように時々水やりをします。
肥料
庭植えの場合は、肥料を施す必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、生育期の3月~9月までの間、緩効性化成肥料を定期的に施して下さい。
肥料が多すぎると葉ばかりが茂り、花付きが悪くなるので、少な目を心がけて下さい。
植え付け、植え替え
適期は2月~3月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、一年に一度、植え替えを行って下さい。
細かい根を半分くらいに切り、一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合は、数年は植えっぱなしで大丈夫です。
4~5年ほど経ったら株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
切り戻し
草丈が高くなる普通のワレモコウは6月頃に一度切り戻しを行うと、草丈を抑えることが出来ます。
草丈の1/3程度の高さでバッサリと切り戻して下さい。
増やし方(株分け、種まき)
株分けと種まきで増やすことが出来ます。
株分け
適期は2月~3月の植え替え時です。
掘り上げた株をハサミやナイフで切り分けて植え付けて下さい。
種まき
花後に種が出来るので、採取して冷蔵庫で保管します。
種まきの適期は3月~4月、発芽温度は15℃~20℃です。
種は播種箱やポットにまくか、花壇に直播きします。
覆土は種が隠れる程度に薄く。
水を切らさないように管理して、発芽後、播種箱に蒔いた場合は本葉が2~3枚程度になったらポット上げします。
本葉が5~6枚程度になったら定植して下さい。
病気・害虫
うどんこ病が発生することがあります。
重症化することはありませんが、発生した場合は殺菌剤で対処して下さい。