- 学名…Hyacinthoides hispanica (Mill.) Rothm.
Hyacinthoides non-scripta (L.) Chouard ex Rothm. - 和名…ツリガネズイセン(釣鐘水仙)、ヒメツリガネズイセン(姫釣鐘水仙)
- 別名…スパニッシュ・ブルーベル、イングリッシュ・ブルーベル、ヒヤシンソイデス
- 科名…キジカクシ科
- 属名…ツリガネズイセン属
- 原産国…ヨーロッパ
- 花色…青、ピンク、白
- 草丈…20㎝~50㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 8
シラー・カンパニュラータとは
シラー・カンパニュラータは、ヨーロッパに分布するキジカクシ科ツリガネズイセン属の多年草です。
シラーに近い仲間で、以前シラー属に分類されていた名残から「シラー・カンパニュラータ」と呼ばれています。
ツリガネズイセン属には約12種の植物が分類されていますが、主に栽培されているのはツリガネズイセン(Hyacinthoides hispanica)と、ヒメツリガネズイセン(Hyacinthoides non-scriptae)の二種です。
ツリガネズイセンは「スパニッシュ・ブルーベル」または「シラー・カンパニュラータ」、ヒメツリガネズイセンは「イングリッシュ・ブルーベル」とも呼ばれます。
両種は混同されることも多く、流通もやや混乱気味です。
ここでは上記二種を「シラー・カンパニュラータ」として紹介しています。
※属名からヒヤシンソイデスと呼ばれることもあります。
シラー・カンパニュラータの花期は4月~5月。
花期になると、葉の中から花茎を伸ばし、花序に多数の花を咲かせます。
花序は総状、一つの花序に6~15個の花が付きます。
▼シラー・カンパニュラータの花序
花は釣鐘形で、花被片は6個。
花被片の先は反り返ります。
▼シラー・カンパニュラータの花
花の基部には2個の苞(ほう)が付きます。
苞は線状披針形。
▼シラー・カンパニュラータの苞の様子
雄しべは6個、雌しべは1個。
▼シラー・カンパニュラータの雄しべと雌しべ
花色は青、ピンク、白。
▼ピンクや白色の花を咲かせるシラー・カンパニュラータ
果実は類球形の蒴果。
▼シラー・カンパニュラータの果実
葉は幅のある線形で根生し、放射状に浅く広がります。
花期になると花茎をのばし、草丈20~50㎝程度に成長します。
▼シラー・カンパニュラータの草姿
夏になると地上部が枯れて休眠し、春に芽を出して再び花を咲かせます。
地上部がなくなる休眠中は他の草花を植えることも可能です。
▼たくさんの花を咲かせるシラー・カンパニュラータ
耐寒性が高く、植えっぱなしでもよく育ち、よく花を咲かせます。
自然分球でよく増え、こぼれ種でも時々生えてきます。
シラー・カンパニュラータの主な品種
ツリガネズイセン(Hyacinthoides hispanica)
スパニッシュ・ブルーベルと呼ばれ、スペイン、ポルトガルを中心に、北西アフリカに分布しています。
分布域は森林の縁や開けた場所、道路脇や空き地などにあり、現在ヨーロッパの広い地域で逸出したものが野生化しています。
花序は真っすぐで、花は蕾の時には直立しており、開花に伴い下垂します。
花は長さ2㎝程度の釣鐘状で、青色。
偏らず花序の全方向に付きます。
▼ツリガネズイセンの花
雄しべ6個は等長。
花に香りはほとんどありません。
葉は長さ20~50㎝、幅1~3.5㎝の線状披針形~披針形。
草丈20~40㎝に成長します。
▼ツリガネズイセンの葉の様子
ヒメツリガネズイセン(Hyacinthoides non-scriptae)
イングリッシュ・ブルーベルと呼ばれ、イギリスを含む西ヨーロッパの森林地帯を中心に分布しています。
現在では導入されたツリガネズイセンとの自然交配が進んでおり、両種の中間の性質を持った種が広く分布しています。
花序は曲がり、花は片側に付きぶら下がります。
花は1.5~2㎝の釣鐘形で、暗青色~青色。
※稀に白やピンク色の花もあります。
雄しべは6個あり、外側の3個が長くなっています。
花にはヒヤシンスに似た芳香があります。
▼ヒメツリガネズイセンの花
葉は長さ50㎝以下、幅2.5㎝以下の線形です。
草丈50㎝まで成長します。
▼ヒメツリガネズイセンの株の様子
※イングリッシュ・ブルーベルと品種名に明記してあっても、スパニッシュ・ブルーベルとの交配種であることが大半で、原種の流通は少ないようです。
シラー・カンパニュラータの育て方
栽培環境
水はけの良い日なたから半日蔭の場所が適しています。
半日蔭でも元気に育ち、花を咲かせます。
地上部があるのは、春から初夏にかけてなので、夏以降の休眠期に他の草花を植えることも可能です。
冬越し・夏越し
耐寒性、耐暑性に優れており、特に対策の必要はありません。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
休眠期の間は水やりの必要はありません。
肥料
元肥として緩効性肥料を用土に混ぜ込んおきます。
庭植えの場合は、追肥の必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、花が咲く前の早春、花後、晩秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
植え付け・植え替え
適期は9月下旬~11月上旬です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として緩効性化成肥料を施します。
植え付けの深さは球根3個分程度、株間は10㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土に少量の緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に5球程度が目安です。
植え替え
庭植えの場合は、数年は植え替えの必要はありません。
球根が 混み合って花付きが悪くなったら、植え替えを行います。
鉢植えの場合は、毎年植え替えます。
葉が枯れて休眠期に入ったら球根を堀り上げて植え付けて下さい。
増やし方(自然分球)
自然分球でよく増えます。
休眠期に球根を堀り上げて、自然分球しているものを植え付けます。
球根は乾燥に弱いので、すぐに植え付けて下さい。
病気・害虫
白絹病
株元や土壌が白い糸で覆われたようになります。
水はけが悪いと発生しやすくなります。
鉢皿を使用している場合は、溜まった水は捨てて下さい。