多年草・宿根草

ヒヤシンス

学名…Hyacinthus orientalis
和名…風信子(ヒヤシンス)
別名…ヒアシンス、ダッチヒヤシンス
科名…キジカクシ科
属名…ヒヤシンス属
原産国…ギリシャ、シリア、小アジア
花色…青、紫、ピンク、白、赤、黄
草丈…15㎝~30㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:4 to 8

ヒヤシンスとは

ヒヤシンス

ヒヤシンスは、南西アジア、レバノン、トルコ中南部、イスラエル北部に分布するキジカクシ科ヒヤシンス属の多年草です。
美しい花と芳香から長い栽培の歴史を持ち、古くはオスマン帝国で栽培、園芸化されたいたとされています。
16世紀にヨーロッパに導入されたヒヤシンスは、18世紀からオランダを中心に品種改良が進み、現在2000種以上の品種が作出されています。

ヒヤシンスの日本への渡来は江戸時代末期で、当時はヤコウラン(夜香蘭)、またはニシキユリ(錦百合)と呼ばれていました。
明治時代になってヒヤシンス(飛信子)、ハヤシンス(風信子)と呼ばれ、大正時代には園芸植物として栽培されるようになっています。
「飛信子」の当て字はヒヤシンスの音に由来しており、「風信子」は香りが風に乗って運ばれる様を現しています。

ヒヤシンスの花期は3月~4月。
花期になると、株の中心から伸ばした花茎の頂部に花序を出し、花径2~3㎝程度の花を咲かせます。
花序には2~40個以上の花が付き、花は漏斗状で花冠が深く6裂して反り返ります。
花にはグリーンノートの爽やかな香りがあります。
香水の「グリーンノート」の主要成分は「ヒヤシンスアルデヒド」と呼ばれるヒヤシンスの香りの主成分と同じです。

▼ヒヤシンスの花

ヒヤシンス

花色は青、紫、ピンク、白、赤、黄。
一重咲きの他、八重咲き品種も流通しています。

▼白い花を咲かせるヒヤシンス

ヒヤシンス

葉はやや肉厚な根出葉で、放射状に広がります。
花茎を伸ばして草丈15~30㎝程度に成長します。

▼ヒヤシンスの株の様子

ヒヤシンス

耐寒性が高く育てやすい植物です。
庭植え、鉢植えはもちろん、水栽培も容易です。

ヒヤシンスの系統

ダッチ系

ヒヤシンス ダッチ系

オランダで品種改良された系統です。
40~100個程度の花が花序に密集して付くため、豪華で華やかな印象です。
品種、流通量ともに多くヒヤシンスの主系統になっています。
花色が豊富で、一重咲き、八重咲きの品種などがあります。

ローマン系

ヒヤシンス

フランスで品種改良された系統です。
花が小さくまばらで、豪華さはありませんが独特の愛らしさがあります。
花色は青、白。
自然分球しやすく、よく増えます。

ヒヤシンスの育て方

ヒヤシンスの育て方

水栽培

ヒヤシンス

容器

10月下旬~11月頃に栽培を始めます。
水栽培用の容器はガラス製のものやプラスチック製のものがあります。
ペットボトルでも作ることが出来るので、自作するのも簡単です。

球根選び

水栽培用の球根も販売されています。
通常の球根でも水栽培が可能ですが、専用の球根の方が失敗が少ないです。

球根は大きくずっしりとしたものを選んで下さい。

芽出し前

球根に土などの汚れがある場合は取り除き、容器に球根をセットして水を入れます。
水位は、球根の底部にギリギリ水が触れる位です。

ヒヤシンスの球根は、低温に当たることで休眠から目覚めて花を咲かせます。
発芽までは涼しくて暗い場所に置いて下さい。
段ボールを被せたりて戸外に置いたり、冷蔵庫の中でもOKです。

発根して根が5㎝程度になったら水位を下げます。
球根に水が触れていると腐ってしまうので、注意して下さい。

容器の水は1週間に一度、取り替えます。

発芽したら

発芽したら日の当たる窓辺に移動して下さい。
暖房が効いていない場所が適しています。

2か月~3か月程度で開花します。

花が終わったら…

球根を土に植え付ければ、もしかしたら翌年も開花してくれるかもしれません。
植える場合は、伸びた根を折らないように注意して植え付けます。

※開花の保証はありません。

通常の栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
植え付けた年は日陰でも花が咲きますが、翌年の花が少なくなったり咲かなくなったりします。
日当たりの良い場所で育てて下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、植えてから葉が枯れ始める頃までは、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
葉が枯れ始めたら徐々に水やりを減らし、6月頃には水やりを止めます。

肥料

元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は花が終わる頃に、液体肥料を施して下さい。

植え付け

適期は10月~11月です。

ヒヤシンスは酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。
さらに腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作り、元肥として緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。
株間は球根2個分程度、深さは10㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に1球が目安で、球根の頂部が隠れる程度の深さで植え付けて下さい。

球根の掘り上げ

葉が黄色く枯れ始めたら球根を掘り上げます。
掘り上げた球根は葉を付けたまま、日陰で乾かし、葉が完全に枯れたら刈り取ります。
球根はネットなどに入れて、風通しの良い涼しい日陰で保管します。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ますが、ダッチ系はほとんど自然分球しません。
球根に切れ込みを入れるノッチングという方法で、人工的に分球させます。

掘り上げた球根の底部にナイフなどで十字の切れ込みを入れます。
ナイフは切れ味の良いものを使い、事前に消毒しておいて下さい。
切り込みの深さは球根の半分程度。

その後、切り込みを入れた底部を上にして乾燥保存しておくと、秋には小さな子球が出来てきます。
そのまま通常通りに植え付けて翌年に掘り上げると、子球が少し大きくなっています。
2~3年ほどで花が咲く大きさの球根に育ちます。

※ノッチング法を行った親球根は花が咲かなくなります。
※ローマン系は自然分球で増えます。

病気・害虫

軟腐病

球根が溶けるように軟らかくなって腐ります。
発病すると治ることはないので、残念ですが発病した株は処分することになります。

過湿な環境で発生しやすくなるので、水はけの良い環境で育てるようにして下さい。

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