一年草・二年草

モモイロタンポポ

  • 学名…Crepis rubra L.
  • 和名…モモイロタンポポ(桃色蒲公英)
  • 別名…センボンタンポポ
  • 科名…キク科
  • 属名…フタマタタンポポ属
  • 原産国…地中海地域
  • 花色…ピンク、白
  • 草丈…30㎝~50㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:3 to 10

モモイロタンポポとは

モモイロタンポポ

モモイロタンポポは、地中海地域に分布するキク科フタマタタンポポ属の一年草です。
分布域はアルバニア、ブルガリア、フランス、ギリシャ、イタリア、クロアチア、トルコ、ユーゴスラビアにあり、道端や荒れ地、山野の開けた場所などに分布しています。
ヨーロッパや小アジアでは観賞用に広く栽培されています。

日本へは大正時代初期に園芸用として渡来し、現在、東京都など一部地域で野生化が確認されています。
「タンポポ」の和名を持ちますが、タンポポはタンポポ属、モモイロタンポポはフタマタタンポポ属で別属の植物です。
センボンタンポポとも呼ばれます。


モモイロタンポポの花期は4月~5月。
花期になると花茎を長く伸ばし、分枝した頂部に、頭花(トウカ)を咲かせます。

頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、小さな花が多数集まって構成されています。
小花は舌状で、舌状花(ゼツジョウカ)と呼ばれます。

▼モモイロタンポポの頭花

モモイロタンポポの頭花

頭花は直径3~4㎝の大きさで、40~100個の舌状花で構成されています。
舌状花は長さ1.6~1.7㎝で、ピンク色~白色です。

▼モモイロタンポポの舌状花

モモイロタンポポの舌状花

舌状花の花弁の先端は小さく5裂しています。

▼舌状花の花弁

舌状花の花弁


雄しべの葯は合着して筒状になっており、雄しべが成熟した後に、雌しべが雄しべ筒の中から伸びてきます。
雌しべの柱頭は2裂しています。

▼モモイロタンポポの舌状花の雄しべと雌しべ

モモイロタンポポの舌状花の雄しべと雌しべ

「モモイロタンポポ」の名前は、桃色の花を咲かせることに由来します。
よく分枝し多数の花を咲かせる事から「センボンタンポポ」とも呼ばれます。

基本種の花色は淡いピンクですが、白花の品種も流通しています。


果実は紡錘形の痩果(そうか)。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。

外側のものは長さ8~9㎜で湾曲し、粗い嘴があります。
内側のものは長さ12~21㎜で曲がらず、細かい嘴があります。
嘴の先には冠毛が付きます。

▼モモイロタンポポの果実の様子

モモイロタンポポの果実の様子

葉は根生葉と茎葉があります。
根生葉は、長さ2~15㎝、幅0.5~3㎝の倒披針形、または逆向きの羽状に分裂します。
葉先は尖っており、表面には粗い毛が生えています。

茎は1~8本あり、下部で分枝して頂部に頭花を付けます。
草丈30㎝~50㎝に成長します。

葉茎を傷付けるとタンポポと同じように白い汁が出ます。

▼モモイロタンポポの株の様子

モモイロタンポポの株の様子

耐寒性はそこそこありますが、強い霜には注意が必要です。
秋に種をまいて春に花を楽しむ、秋まき一年草です。
こぼれ種で発芽することもありますが、発芽率はあまりよくありません。

モモイロタンポポの育て方

モモイロタンポポの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日当たりの悪い場所だと徒長して草姿乱れます。
よく日の当たる場所で育てて下さい。

冬越し

関東以西の平地であれば、そのまま戸外で冬越し可能です。

その他の地域では、防寒対策を施します。
強い霜の心配がある場合は、霜よけを設置します。
鉢植えの場合は、日当たりの良い軒下などに移動して霜を防いで下さい。

寒冷地では、春に種を蒔いて夏に花を楽しむことも出来ます。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
過湿な環境を嫌います。
水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

庭植え、鉢植え共に、春と秋に緩効性化成肥料を施します。
または液体肥料を2週間に1回程度、施して下さい。

種まき

適期は9月~10月頃です。
寒冷地の場合は、春の4月~5月に種をまきます。
発芽温度は15℃~20℃。

移植を嫌う性質です。
種は花壇や鉢に直まきするか、ポットにまきます。
覆土は種が軽く隠れる程度。
水を切らさないように管理したら1~2週間で発芽します。

直まきした場合は、元気な苗を残して、株間20~30㎝程度になるように間引いて下さい。
ポットにまいた場合は、本葉が4~5枚程度になったら定植します。
または、ポットで冬を越して春に定植して下さい。
植え付けの際は、根を傷つけないように注意します。

苗が小さい場合は、霜よけを設置すると安心です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、完熟堆肥を混ぜ込んでおきます。
株間は20~30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

タンポポと同じように綿毛が出来ます。
綿毛が丸くしっかりと広がったら、花茎を切りとって綿毛ごと収穫して下さい。
未成熟の種が結構あるので、多めに採取しておきます。

種の選別

集めた種を選別します。
成熟した種は、綿毛の下の種子の部分がこげ茶色をしています。
種子の部分が白っぽいものは蒔いても発芽しません。
選別が終わったら、涼しく風通しの良い場所で保管して下さい。

綿毛はそのままで構いません。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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