- 学名…Stachys byzantina K.Koch
- 和名…ワタチョロギ(綿草石蚕、綿千代呂木)
- 科名…シソ科
- 属名…イヌゴマ属
- 原産国…イラン、トルコ、コーカサス地方
- 花色…紫
- 草丈…30㎝~80㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 8
ラムズイヤーとは
ラムズイヤーは、イラン、トルコ、コーカサス地方原産のシソ科イヌゴマ属の多年草です。
ユニークな草姿から観賞用として世界の温帯地域で広く栽培されており、一部の地域では逸出したものが野生化しています。
日本には大正時代初期に渡来し、ワタチョロギの和名を持ちます。
ラムズイヤーの花期は5月中旬~7月。
花期になると、直立した茎の上部に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は輪散花序が多段に連なって穂状となります。
穂状花序は長さ10~22㎝。
▼ラムズイヤーの花序
花は花径5㎜程度の唇形花(しんけいか)です。
※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。
上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。
ラムズイヤーの唇形花は、上唇に浅く切り込みが入り、下唇が深く3裂しています。
下唇は中央の裂片が他より大きくなっています。
▼ラムズイヤーの花
葉は対生し、5~10㎝程度の長楕円形~卵形です。
▼ラムズイヤーの葉の様子
葉茎には柔らかな毛が密生しているため、全体が銀白色に見えます。
葉茎は触るとフェルトのように柔らかい感触です。
この優しい手触りが好まれ、ヨーロッパなどでは小さな子供のいる家によく植えられています。
▼ラムズイヤーの葉
花序部分に付く葉は長楕円形で、垂れ下がります。
英名の「ラムズイヤー(lamb's-ear)」は子羊の耳という意味で、この垂れ下がる葉の様子を子羊の耳に見立てたものです。
▼ラムズイヤーの花序に付く葉
葉には香りがあり、以前は湿布薬として利用されていたようですが、現在ではもっぱら観賞用のハーブです。
美しい葉はドライフラワーとしてもよく利用されます。
茎は分枝して草丈30~80㎝程度に成長し、株は地面を覆うように広がります。
▼ラムズイヤーの草姿
寒さには強いのですが、高温多湿の環境が苦手です。
暖地、温暖地では夏越しが最大のポイントになります。
環境が合えばよく増えて、よく花を咲かせます。
ラムズイヤーの育て方
栽培環境
風通しが良く、水はけの良い場所が適しています。
本来は日当たりを好みますが、高温多湿の環境が苦手な性質のため、夏は半日蔭の方が安全です。
庭植えの場合は、明るい半日蔭で風通しが良ければ理想的です。
酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。
夏越し
鉢植えの場合は、梅雨の間は雨の当たらない軒下などに避難をして、梅雨が明けたら半日蔭で管理して下さい。
花が一通り咲き終わった花茎は根元から切り取って、風通しの良い環境を常に保てるようにします。
ドライフラワーに利用する場合は少し早目に収穫すると花が落ちません。
どうしても日なたで管理しなければならないようなら日よけ設置し、夏の強烈な直射日光から株を守ります。
冬越し
寒さには強い性質です。
少しくらいなら雪をかぶっても枯れることはありません。
寒冷地の場合は、株元を敷き藁などで覆って凍結対策を施して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いてからたっぷりと。
乾燥気味の環境を好み、過湿による根腐れを起こしやすい性質です。
水の遣りすぎには注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は元肥の他、3月下旬~5月の間に液体肥料を月に1~2回程度施して下さい。
多くの肥料を必要とする植物ではありません。
特に窒素分が多いと葉が茂りすぎて草姿が乱れるので、注意して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月~5月、9月中旬~5月です。
植え付け
酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6、腐葉土3、軽石1などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
株が混み合ってくると蒸れやすくなります。
鉢植えの場合は毎年、植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合も、2~3年に一度、株分けを兼ねて植え替えを行うと蒸れから枯れるのを予防できます。
ドライフラワーの作り方
ドライフラワーに利用する場合は、開花前か開花直後の花茎を収穫します。
開花してしまうと乾いた時に花が落ちてしまう場合があります。
収穫は晴れた日に行います。
葉が折れたり丸まったりしている場合は、伸ばしてやると後で使いやすくなります。
切り取った花茎5~10本を輪ゴムで束ね、風通しの良い日陰で逆さに吊るしておきます。
雨の日は室内に取り込みます。
梅雨時期で湿気が多い場合は、日の当たらない室内で乾燥させて下さい。
完全に乾いたら、新聞紙などに包んで保存できます。
増やし方(株分け、種まき)
株分け、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
株分け
適期は植え替え時の3月~5月、9月中旬~5月です。
掘り上げた地下茎を切り分けます。
1株に1~3芽程度の芽が付くようにして、植え付けて下さい。
種まき
種の収穫
花茎が枯れて来た頃に花茎ごと収穫します。
日陰で乾燥させてから種を取り出して下さい。
収穫した種は、種まきの時期まで紙袋などに入れて、乾燥剤と一緒に冷暗所で保管します。
種まき
適期は3月~5月、9月~10月です。
発芽温度は15℃~20℃です。
移植を嫌うため、種は播種箱に点まきするか、ポットにまきます。
覆土はごく薄く。
発芽までは水を切らさないように管理します。
生育が悪い苗を間引きながら、草丈10㎝ほどに育ったら定植して下さい。
病気・害虫
アブラムシ
風通しが悪い環境で育てているとアブラムシが発生しやすくなります。
発生したら早目に駆除して下さい。