- 学名…Yucca gloriosa
- 和名…アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)
- 別名…アメリカキミガヨラン、ユッカラン、ユッカ・グロリオサ
- 科名…キジカクシ科リュウゼツラン亜科
- 属名…イトラン属(ユッカ属)
- 原産国…北アメリカ
- 花色…白
- 樹高…1~3m
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:7 to 10
アツバキミガヨランとは
アツバキミガヨランは、北アメリカに分布するキジカクシ科イトラン属(ユッカ属)の常緑低木です。
分布域は、アメリカ南東部のノースカロライナ州からフロリダ州、アラバマ州、ミシシッピ州にあり、沿岸地域の平野部、砂丘など、砂地の土壌に自生しています。
日本には明治時代中期に渡来しており、栽培が容易で美しい花を咲かせることから広く普及しました。
キミガヨランの名前は、種小名のグロリオサ(gloriosa=栄光の)を、「君が代は栄える」と解釈して付けられたと言われています。
アツバキミガヨランの花期は春の5~6月、秋の10~11月。
花期になると葉の間から大型の花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序柄は90~150㎝、花序は長さ50~120㎝、径45㎝程度の円錐形です。
花は花径5㎝前後の丸い釣鐘形です。
花被片は6個、長さ4~5㎝、幅2~2.5㎝の楕円形から狭卵形です。
花色は白~乳白色で、やや緑色、時々紫色をおびます。
▼アツバキミガヨランの花
雄しべは6個、葯は乳頭状で、雌しべの子房は明るい緑色をしており、柱頭は3裂しています。
▼アツバキミガヨランの雄しべと雌しべ
アツバキミガヨランの雌しべ雄しべは離れており、自然状態では受粉しません。
受粉には共生関係にあるユッカ蛾が必要になります。
このユッカ蛾が生息していないため、日本では自然状態で結実することはありません。
ユッカ蛾の幼虫はアツバキミガヨランの種子しか食べないため、ユッカ蛾の親は花粉を集めて受粉させ花の中に産卵します。
幼虫は種子を食害しますが、種子が大きいため大半を食べ残し、アツバキミガヨラン、ユッカ蛾共に子孫を残すことができる仕組みになっています。
▼ユッカ蛾の成虫
葉は長さ40~100㎝、幅3.5~6㎝の鋭い剣状で、緑色~やや青みを帯びており、放射状に広がります。
若い葉は白粉を吹いており、真っすぐ、あるいはやや反り返ります。
葉は硬く、先端が鋭く尖っており、触れると少し痛い思いをします。
▼アツバキミガヨランの葉の様子
樹高は1~3m程度、最大で5mまで成長します。
砂漠地域に分布する植物としては耐寒性が高く、-15℃程度まで耐えることが出来ます。
病害虫の発生もほとんど無く、放任でもよく育ち、よく花を咲かせます。
アツバキミガヨランの主な品種
斑入りアツバキミガヨラン(Yucca gloriosa 'Variegata')
アツバキミガヨランの斑入り品種で、葉の縁に黄色い覆輪が入ります。
花の無い時期にもカラーリーフとしての高い観賞価値があります。
キミガヨラン(Yucca gloriosa var. tristis(syn. Yucca recurvifolia))
アツバキミガヨランの変種で、葉がやや柔らかいため長い葉の途中から枝垂れます。
アツバキミガヨラン同様、観賞用として栽培されています。
アツバキミガヨランの育て方
※大きく育つので鉢植え向きの植物ではありません。
ここでは庭植えでの育て方を紹介しています。
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと花付きが悪くなります。
よく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し
耐寒温度は-15℃程度です。
耐寒性があり、特に対策の必要はありません。
水やり
自生地は砂地の沿岸部や砂丘などで、乾燥には強い性質です。
根付いてしまえば、水やりの必要はありません。
肥料
あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
春と秋に、緩効性化成肥料を株元に施す程度で十分です。
植え付け
適期は春の4月~6月、9月です。
掘り上げた土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って植え付けます。
日常の管理
花が咲き終わった花穂は切り取ります。
下葉が枯れこんでいるようなら、付け根から切り取って下さい。
剪定
大きく育ちすぎた場合は、剪定をすることが出来ます。
分枝している上の部分で幹を切って下さい。
増やし方(株分け)
株分けで増やすことが出来ます。
株分け
適期は4月~6月、9月です。
地下茎で子株が出来るので、切り離して植え付けます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。