ヒナゲシ

  • 学名…Papaver rhoeas
  • 和名…ヒナゲシ(雛芥子)
  • 別名…グビジンソウ(虞美人草)
  • 科名…ケシ科
  • 属名…ケシ属
  • 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア
  • 花色…赤、ピンク、白、複色
  • 草丈…20~80㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:3 to 10

ヒナゲシとは

ヒナゲシ

ヒナゲシは、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアに分布するケシ科ケシ属の一年草です。
栽培の歴史は古く、紀元前2500年のエジプトの遺跡からヒナゲシの種子が発見されています。
美しい花を咲かせることから、世界の広い地域で栽培されており、現在ではアメリカ大陸を始め、アジアなど多くの地域で帰化植物として定着しています。

日本には桃山時代から江戸時代初期にかけて渡来したと考えられています。


ヒナゲシの花期は5月~6月。
花期になると分枝した茎の頂部に、花径6~9㎝程度の4弁花を咲かせます。
花弁は長さ2.5~4.5㎝、幅2.5~6㎝の大きさで美しい光沢を持っており、重なり合っています。

▼ヒナゲシの花

ヒナゲシ

野生種の多くは濃い緋色ですが、モービッシュやピンク色、オレンジ色、白色の花を咲かせることもあります。
花弁の基部にはしばしば暗色の斑点が入ります。

▼暗色の斑点が入ったヒナゲシの花

ヒナゲシ

雄しべは多数、花糸は長さ8㎜程度で暗いピンク色~やや紫を帯びており、葯は青色です。
雌しべの子房は長さ7~10㎜の倒卵形で、柱頭は円盤形、8~14本の筋が放射状に入っています。

▼ヒナゲシの雄しべと雌しべ

ヒナゲシの雄しべと雌しべ

基本種は一重咲きですが、八重咲きの園芸品種もよく流通しています。

▼八重咲きのヒナゲシの花

八重咲きのヒナゲシ

果実は長さ1~1.5㎝程度の幅のある倒卵形で、円盤状の柱頭がそのまま残ります。
果実の中には多数の種子が入っており、熟すと蓋の下に出来た隙間から種子がこぼれ落ちます。
種子は土壌が生育に最適な環境になるまで80年以上も休眠することが可能であると言われています。

▼ヒナゲシの果実

ヒナゲシの果実

葉は荒い切れ込みが入った羽状で、根生葉はロゼット状、茎葉は互生します。
茎には荒い毛が生えており、上部で分枝して花を咲かせ、草丈25~90㎝程度に成長します。

▼ヒナゲシの葉

ヒナゲシの葉

秋に種を蒔いて、晩春から初夏にかけて花を咲かせる秋蒔き一年草です。
耐寒性に優れており、適した環境で育てれば放任でもよく花を咲かせ、こぼれ種でもよく増えます。
ただし、種が非常に細かい事、移植を嫌う性質などのため、種まきからの育苗は難易度がやや高めです。

ヒナゲシの主な品種

ヒナゲシ(Papaver rhoeas)

ヒナゲシ(原種)

ヨーロッパ、北アフリカ、西アジアに分布するヒナゲシの原種です。
花色は赤で、稀にピンクや白の花を咲かせることがあります。
畑や牧草地、線路や道路脇などで見られます。
南ヨーロッパでは穀物畑(小麦、らい麦など)によく生えることからコーン・ポピーと呼ばれています。

シャーレー・ポピー(Papaver rhoeas cv.)

シャーレー・ポピー

1880年頃に作出されたヒナゲシの園芸品種で、今日栽培されるヒナゲシの大半は本種です。

花色は赤、ピンク、白、複色。
花付きが良く、群植すると美しい風景を作り出します。
昭和記念公園や万博記念公園など、各地でシャーレーポピーの群植を見ることが出来ます。

モンツキヒナゲシ(Papaver commutatum)

モンツキヒナゲシ
photo by:Alvin Kho / CC BY-SA 2.0

トルコ、イラン北西部、およびコーカサス地方に分布するヒナゲシの近縁種です。
花色は赤で、花弁の基部に特徴的な黒い斑が入ります。
園芸品種であるレディバード(Papaver commutatum ‘Ladybird’)がよく流通します。
ピエロの名前で流通していることもあります。

ヒナゲシの育て方

ヒナゲシの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけが良く、風通しの良い場所が適しています。
じめじめした場所では、病気が発生するなどして上手く育ちません。
日光を非常に好むので、よく日の当たる場所で育てて下さい。

酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、植え場所にあらかじめ苦土石灰を使用して、土壌を中和しておいて下さい。

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
土が常にじめじめしているような環境だと根腐れを起こしやすくなるので注意して下さい。

肥料

それほど多くの肥料を必要とはしません。
多肥な環境で育つと、徒長して軟弱な株になり、倒れやすくなるので注意して下さい。

庭植えの場合は、元肥として植え付けの際に、緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおいて下さい。
追肥は必要ありません。

鉢植えの場合も、用土に元肥が含まれていないようなら元肥を施します。
追肥は、花茎が伸び始める頃に液体肥料を施して下さい。

植え付け

適期は秋の10月中旬~11月、春の2月下旬~3月です。
ヒナゲシは移植を嫌う性質です。
ポット苗は、根鉢を崩さずに植え付けて下さい。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。
株間は20~30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

種まき

適期は秋の9月中旬~10月です。
苗立枯病が発生することがあるので、ポットや鉢に蒔く場合は、清潔な用土を使用して下さい。

種を蒔く前にしっかりと用土を湿らせておき、発芽までは水やりを行いません。
移植を嫌う性質なので、種はポットに3~5粒ずつまくか、花壇や鉢に直まきします。
ヒナゲシの種は非常に細かいので、重ならないように注意して下さい。
好光性種子なので覆土は必要ありません。
発芽したら間引き、花壇に直まきしたものは株間が20㎝程度、ポットに蒔いたものは一株になるようにします。

ポットに蒔いたものは、本葉が6~8枚程度になったら定植して下さい。

花がら摘み

種を採取しない場合は、花が終わったら付け根の部分で切り取って下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

花後に出来た果実が茶色くなったら種を採取することが出来ます。
果実を少し振ってみて、種が少しこぼれるようであれば、しっかりと熟しています。
果実ごと切り取って種を採取して下さい。

採取した種は日陰で乾燥させ、紙袋などに入れて冷暗所で保管します。

※種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

苗立枯病

発芽して間もない苗に発生することがあります。
発生すると、地際の茎がくびれて倒れ、枯れてしまいます。
種まきには清潔な用土を使い、水やりは控えめにして発生を予防して下さい。

アブラムシ

春先に、葉や蕾に発生することがあります。
発生した場合は、薬剤を使い、駆除して下さい。

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