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ネモフィラ

  • 学名…Nemophila
  • 和名…ルリカラクサ(瑠璃唐草)
  • 科名…ムラサキ科
  • 属名…ルリカラクサ属
  • 原産国…北アメリカ
  • 花色…青、白、紫、複色
  • 草丈…10㎝~20㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:3 to 11

ネモフィラとは

ネモフィラは、北アメリカ原産のムラサキ科ルリカラクサ属の一年草です。
ルリカラクサ属には約11種の植物が分類されており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。

主に栽培されているのはルリカラクサ(Nemophila menziesii )で、園芸品種と共に広く普及しています。
その他ではモンカラクサ(Nemophila maculata)などが栽培されています。

ネモフィラの名前はルリカラクサ属の学名が流通名として定着したもです。
「ネモフィラ」は、ギリシャ語の「小さな森(nemos)」と「愛する(phileo)」から作られた合成語です。
自生地が森の中や森周辺の陽だまりのような場所にあり、群生する姿に由来します。

日本には1914年に渡来しています。


ネモフィラの花期は3月~5月。
花期になると、分枝した茎の葉の付け根から花柄を伸ばし、花を咲かせます。
花は直径2~3㎝前後の5弁花です。

▼ネモフィラの花

雄しべは5個、雌しべは1個。
雄しべの葯は濃紫色をしています。

▼ネモフィラの雄しべと雌しべ

ルリカラクサの花色は青から水色で、中心部が白くなります。
園芸品種では、濃い紫色や白花のものもあります。

モンカラクサは、白色で縁に濃紫色の斑点で入ります。

▼モンカラクサ

最盛期には葉が見えなくなるほどに花をつけ、群生させると花の絨毯のように見事です。
茨城県「国営ひたち海浜公園」の群植は有名で、約4.2haの広大な丘が530万本のネモフィラで埋め尽くされます。

▼ひたち海浜公園のネモフィラ


葉は対生し、長だけ円形~卵形で羽状に分裂します。

▼ネモフィラの葉の様子


葉茎には柔らかい毛が生えており、茎はよく分枝して横に広がります。
草丈10~20㎝程度に成長し、株はこんもりとまとまります。
和名の「ルリカラクサ」は、この葉の形が唐草模様に描かれる葉に似ていること、花の色が瑠璃色であることに由来します。

▼たくさんの花を咲かせるネモフィラ

過湿な環境が苦手な性質ですが、適した環境であれば放任でもよく育ちます。
こぼれ種でも発芽することもあり、育てやすい植物です。

秋に種をまいて春に花を楽しみ、花後に枯れる秋まき一年草です。
よく似た草姿の植物にリムナンテスがあります。

ネモフィラの主な品種

ルリカラクサ(ネモフィラ・メンジェシー:Nemophila menzisii)

アメリカ・カリフォルニア州を中心にオレゴン州、メキシコのバハ・カリフォルニア州に分布しています。
ネモフィラの代名詞とも呼べる品種です。
愛らしい青い花は「ベイビー・ブルー・アイズ(baby blue eyes)」と呼ばれ、世界中で広く栽培されています。

ネモフィラ・ペニーブラック(Nemophila menziesii ‘Penny Black’)

ルリカラクサの園芸品種です。
黒に近い濃い紫のシックな花色に、花弁の縁に入る白い覆輪が印象的な花です。

ネモフィラ・スノーストーム(Nemophila menziesii var.atmaria ‘Snowstorm’)

ルリカラクサの変種であるアトマリア種の園芸品種です。
白い花弁に紫の斑点が入ります。

ネモフィラ・マクラータ(Nemophila maculata)

カリフォルニア州の固有種で、谷合の草原、山の麓の森林など、一部の地域に分布するネモフィラです。
花は花径3㎝前後で、花弁の縁に入る青い斑点が特徴です。
均等に入った斑点から、ファイブスポットの英名を持ちます。

ネモフィラの育て方

ネモフィラの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
中性の土壌を好むので土壌が酸性の場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。

冬越し

最低気温-3℃程度の地域であれば、問題なく冬越しします。
その他の地域の場合は、霜よけなどの防寒対策をしたり、ポット苗の状態で冬越しをして下さい。

寒冷地では春まきにします。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
乾燥気味の環境を好みます。
水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

多肥な環境で育つと、葉ばかりが茂って草姿が乱れます。

庭植えの場合は、植え付けの際に少量の元肥を施せば、追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は、春に緩効性化成肥料を置き肥します。
その後は葉色が悪くなるようなら、液体肥料を施して下さい。

植え付け

酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和し、腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、完熟堆肥を混ぜ込んでおきます。
株間は20㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。
5号鉢に1株が目安です。

種まき

適期は9月下旬~11月上旬です。
寒冷地の場合は、春の3月下旬~4月に種をまきます。
発芽温度は15℃~20℃です。

直根性で移植を嫌います。
種は花壇や鉢に直接バラまきするか、ポットに2~3粒ずつまきます。
覆土は種が隠れるように2㎜程度。

直まきをした場合は、発芽後に株間が15~20㎝になるように間引いて下さい。
ポットまきの場合も、元気な苗を残して間引き、ポットに根が回ったら根を傷つけないように注意して定植します。

最低気温-3℃程度であれば、そのまま冬越し出来ますが、苗が小さい場合は霜よけを設置すると安心です。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ますが、こぼれ種でも増えます。
こぼれ種から発芽した場合は、苗が小さい内に根を傷つけないように注意して、好みの場所に移植して下さい。

種の採取

花後に種が出来ます。
子房が膨らんで茶色くなったら中の種が熟しているので、採取できます。
ネモフィラの種はなかなか採取し辛いので、株が枯れかける頃まで放っておいて、抜いた株を新聞紙の上などで乾燥させて採取する比較的簡単に採取することが出来ます。

採取した種は封筒などに入れて、冷暗所で乾燥保存します。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

灰色かび病

多湿、多肥の環境で発生しやすくなります。
水はけ、風通しの良い環境で育て、肥料は少なめを心がけて、発生を抑制して下さい。

アブラムシ

葉や蕾に発生することがあります。
見つけ次第、駆除して下さい。

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