- 学名…Gazania
- 別名…クンショウギク、ジャノメクンショウギク
- 科名…キク科
- 属名…ガザニア属
- 原産国…南アフリカ
- 花色…白、黄、赤、ピンク、オレンジ、複色
- 草丈…15㎝~40㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:9 to 11
ガザニアとは
ガザニアは、キク科ガザニア属の多年草、または一年草です。
ガザニア属には約20種の植物が分類されており、南アフリカ周辺に多くが分布しています。
種の大半は南アフリカとナミビアで発生しており、1種の分布域がアンゴラとタンザニアまで広がり、1種がモザンビーク南部にも発生します。
その中で一般的に栽培されているのは、ガザニア・リゲンス(Gazania rigens)とその変種、ガザニア・リネアリス(Gazania linearis)から作出された園芸品種です。
その他ハイブリッド品種も多数流通しており、園芸界ではこれらを総称してガザニアと呼んでいます。
ガザニアの花期は5月~10月。
花期になると株の中から花茎を伸ばし、花径5㎝~8㎝程度の頭花を咲かせます。
頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の花で構成されています。
中心部分の管状花(カンジョウカ)と、花弁のような舌状花(ゼツジョウカ)です。
▼ガザニアの頭花
ガザニアの舌状花は無性で花柱は無く、管状花は多数あり両性です。
舌状花の基部にはしばしば暗色の斑が入ります。
▼ガザニアの舌状花と管状花
管状花は筒状で先が5裂しており、外側から内側へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟した後、雌しべが伸びてきます。
雌しべの柱頭は2裂しています。
▼ガザニアの管状花
花色は舌状花が黄、オレンジ、白、赤、ピンクなど。
管状花が黄色~オレンジ色。
▼様々な花色のガザニア
花は日が暮れたり曇っていたりすると閉じる性質を持っています。
※園芸品種では閉じない品種も多数あります。
果実は倒卵形~こん棒形の痩果(そうか)で、長い毛があります。
※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。
▼ガザニアの果実
葉は根生し、形は品種により異なります。
へら状のものや羽状に分裂するもの、鋸歯があるものなど様々です。
▼ガザニアの葉の様子
葉に細かい毛が密生し、白味を帯びたシルバリーフの品種もあります。
▼シルバーリーフのガザニア・アズテック
多湿と寒さに弱いものの性質は基本的に強健で、暖地では道路脇にグランドカバーとして植えられています。
真夏には花付きが悪くなりますが、秋には再び株一杯に花を咲かせます。
※本来は多年草ですが、梅雨の時期や冬の寒さで枯れることがあるため、一年草として扱われることもあります。
ガザニアの主な原種
ガザニア・リゲンス(Gazania rigens)
南アフリカ共和国に分布するガザニアの原種で、本種および後述の2つの変種を交配親として多数の園芸品種が作出されています。
和名ジャノメクンショウギク。
葉は倒卵形で裏側に細かい毛が密生しています。
花は黄色~オレンジ色で、舌状花の基部に暗色の斑点が入ります。
ユニフローラ(Gazania rigens var. uniflora)
リゲンスの変種で、南アフリカからモザンビーク南部に分布しています。
葉は倒卵形で裏側に細かい毛が密生しています。
花は明るい黄色で、舌状花に暗色の斑点がないのが特徴です。
レウコラエナ(Gazania rigens var. leucolaena)
リゲンスの変種で、南アフリカ・西ケープ州および東ケープ州の海岸付近に分布しています。
葉茎は羊毛状の細かい毛に覆われており、白味を帯びます。
花は舌状花の基部に斑点の無い、明るい黄色。
シルバーガザニアとも呼ばれ、本種からシルバーリーフを持つ園芸品種が多数作出されています。
ガザニア・リネアリス(Gazania linearis)
南アフリカおよびレソトに分布するガザニアです。
和名はクンショウギク。
葉は線形~披針形で、分裂しません。
花は黄色~オレンジ色で、舌状花の基部内側に暗色の斑点があり、外側には暗色の縞模様が入ります。
オーストラリアやニュージーランドの他、北アメリカに帰化しています。
ガザニアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日当たりが悪いと徒長し、花付きが悪くなります。
日陰では花が開かないので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
夏越し、冬越し
夏越し
暑さには強い性質ですが、多湿な環境が苦手です。
鉢植えの場合は、軒下などの雨を避けることができる場所に移動して下さい。
冬越し
耐寒温度は-3℃程度です。
暖地であればそのまま対策無しで冬越し可能です。
強い霜に当たったり凍結すると枯れることがあるので、心配な場合は、株元を腐葉土でマルチングするなどの対策を施します。
寒冷地の場合は、日の当たる室内で管理して下さい。
冬越し中の株は、やや乾燥気味に管理します。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土がよく乾いてからたっぷりと水やりをして下さい。
乾燥気味な環境を好み多湿を嫌う性質です。
水のやりすぎに注意して下さい。
肥料
植え付け時に、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は、春の3月~5月、秋の9月~10月に、緩効性化成肥料、または液体肥料を定期的に施します。
花期の間には次々と花をつけるので、肥料切れさせないようにします。
真夏は開花が鈍るので、肥料を施す必要はありません。
植え付け・植え替え
適期は3月中旬~5月、9月中旬~10月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込み、水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は20㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土にパーライトを2割ほど混ぜて水はけの良い土を作ります。
または赤玉土(小粒)5・腐葉土3・パーライト2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりしているようなら植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え変えるか、株分けをして下さい。
庭植えの場合は、株が込み合って花付きが悪くなるようなら、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
日常の管理
枯れた花をそのままにしておくと、種が出来て栄養を取られるので、付け根から切り取ります。
梅雨の時期に蒸れて生育が悪くなるようなら、混み合った葉を切り取って風通しを良くしてやります。
増やし方(株分け、挿し芽、種まき)
株分け、挿し芽、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
株分け
植え替え時に、1株に3~5芽が付くように分けて下さい。
挿し芽
適期は3月中旬~5月、9月~10月です。
芽の先端から7~10cmほど茎を切り取って挿し穂にします。
下の方にある葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
種まき
一代交配種(F1)では種ができないことが多いです。
また出来ても発芽しなかったり、発芽しても親株と同じ性質のものは育ちません。
増やしたい場合は、挿し芽や株分けで増やします。
種の採取
花後に綿毛のついた種ができます。
花が枯れて茶色く乾いたら採取して下さい。
種は綿毛の元の部分に付いているので、しっかりと膨らんで熟した種だけ採取します。
採取した種は、封筒などに入れ、さらに密閉容器に入れて冷暗所で保管します。
種まき
適期は3月~4月、9月中旬~10月です。
暖地の場合は秋まきをします。
発芽温度は15℃~20℃です。
ポットに2~3粒ずつまき、覆土は種が隠れる程度。
発芽したら間引き、本葉が5~6枚程度になったら定植して下さい。
病気・害虫
うどんこ病
初夏や秋に発生しやすく、葉が小麦粉をまぶしたように白くなります。
日当たりと風通しの悪い環境で発生しやすい病気です。
発生した場合は、白くなった葉を取り除いて下さい。
アブラムシ
春先に発生しやすくなります。
見つけ次第、駆除して下さい。