多年草・宿根草

アリウム

  • 学名…Allium L.
  • 科名…ヒガンバナ科
  • 属名…ネギ属
  • 原産国…ユーラシア、北アフリカ、北アメリカ
  • 花色…紫、白、ピンク、黄、複色
  • 草丈…20㎝~120㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 8

アリウムとは

アリウムは、ヒガンバナ科ネギ属の多年草です。
ネギ属は北半球の温暖な地域を中心に約660種の植物が分布しており、日本ではギョウジャニンニクやノビル、ニラやアサツキが自生種として知られています。

ネギ属にはネギやニンニク、タマネギなど食用として栽培されるものが数多くあるほか、観賞用に栽培される品種があります。
それらの観賞用の品種群を「アリウム」と呼んで食用の品種と区別しています。
「アリウム」というのはネギ属の学名です。
ラテン語の「alere(匂い)」や「halium(ニンニク)」が語源になっています。


アリウムの花期は4月中旬~6月。
花期になると、花茎を真っ直ぐに伸ばし、頂部に花序を付け多数の花を咲かせます。
花序は球形、あるいは半球状で、大きなものになると直径15㎝を超えます。

▼アリウムの花序

花序には多数の花が密生して付きます。
花は小さく、花被片は6個。

▼アリウムの花


雄しべは6個、雌しべは1個。

▼アリウムの雄しべと雌しべ


花色は紫、白、ピンク、黄、複色。

▼白いアリウムの花


果実は蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

種子は熟すと黒くなります。

▼アリウムの果実と種子


葉は長い剣状から幅のあるへら状、線形などがあり、地際から多数が出て茂ります。

▼アリウムの葉の様子(アリウム・クリストフィ)

草丈20㎝程度の矮性種から1mを超える高性種まで様々な品種が流通しています。
葉は秋から冬にかけて伸び、花後、または開花中に黄変して枯れ、休眠期に入ります。

▼たくさんの花を付けるアリウム

寒さには強いですが、暑さにはやや弱い性質です。
球根の大きな品種は腐りやすいので、夏場には球根を掘り上げて保管します。
小さな品種は植えっぱなしでもよく育ちます。

アリウムの主な品種

アリウム・ギガンチウム(Allium giganteum)

アジア中央から南西部にかけて分布するアリウムです。

花茎は1m程度に伸び、花序は10~15㎝と巨大で、抜群の存在感を放ちます。
種小名の「ギガンチウム」は「巨大な」という意味です。
切り花としても利用されるアリウムを代表する品種です。

花が咲き始めると葉が枯れてきます。

和名はオオハナニラ。

アリウム・カエルレウム(Allium caeruleum)

アジア中央部を中心に分布するアリウムです。

花茎は30~50㎝程度に伸び、花序は8~10㎝程度の大きさです。
青花の美しい品種です。

花の時期に葉が枯れ始めて黄変します。

アリウム・クリストフィ(Allium christphii)

イラン、トルコ、トルクメニスタン原産のアリウムです。

花茎は50㎝まで伸び、花序は20~25㎝程度。
花は銀色を帯びた紫色です。

和名はシラゲビル。

アリウム・ユニフォリウム(Allium unifolium)

北アメリカの沿岸部に分布するアリウムです。

花茎は40~60㎝程度に伸び、花径1.5~2㎝程度の花を咲かせます。
一輪の花が大きく、他のアリウムとは異なった印象です。
花色はピンクのみで、切り花にも向いています。

アリウム・モーリー(Allium moly)

地中海沿岸地域に分布するアリウムです。

花茎は20~30㎝程度の伸び、花径2㎝程度のニラによく似た花を咲かせます。
鮮やかな黄色が人目を引きつけます。
数年間は植えっぱなしでもよく花を咲かせます。

和名はキバナノギョウジャニンニク。

タンチョウアリウム(Allium sphaerocephalon)

ヨーロッパの北西部を除く地域に分布するアリウムです。

花茎は50~70㎝程度に伸び、花序は5㎝程度の大きさになります。
赤紫色の花序が美しく、切り花としてよく利用されています。

アリウム・トリケトラム(Allium triquetrum)

地中海沿岸地域原産のアリウムです。

花茎は20~40㎝程度に成長し、白い鐘形の花を咲かせます。
花は長さ1.5~2㎝。
植えっぱなしでもよく育ち、よく増えます。

逸出したものが世界各地で野生化しており、日本でも時々見かけます。
和名はミツカドネギ。

⇒アリウム・トリケトラムの詳しいページはこちら

アリウムの育て方

アリウムの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
酸性土壌を嫌うので、庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
土まで凍るような寒冷地では、敷き藁を敷いてマルチングしたり、凍結の心配のない場所に移動して管理して下さい。

水やり

庭植えの場合は、乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
極端な乾燥を嫌うので、水切れには注意して下さい。
葉が枯れて休眠期に入ったら、水やりの必要はありません。

肥料

庭植え、鉢植え共に、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は春の3月頃、緩効性化成肥料の置き肥をして下さい。

植え付け

適期は9月中旬~10月です。

酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
さらに腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作り、元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおいて下さい。
球根2個分くらいの深さに植え、大きな球根では株間20~30㎝程度、小さな球根で15㎝程度です。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの水はけの良い配合土に、緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
覆土は5㎝程度で、大きな球根では6号鉢に1球、小さな球根で6号鉢に3球が目安です。

花茎切り

花が枯れ始めたら、花茎の付け根から切り取って下さい。

葉は自然に枯れるまで切り取らないでおきます。
乾燥したり地温が高いと早く枯れてしまうことがありますが、葉がある期間が長いほど、翌年の球根が肥大します。
花の時期にも乾燥に注意して管理して下さい。

球根の掘り上げ

ギンガチウムなどの大きな球根の品種は腐りやすいので毎年球根を掘り上げて下さい。
モーリーやトリケトラムは数年間は植えっぱなしでもよく育ちます。

葉が完全に枯れたら、球根を掘り上げて風通しの良い日陰で、秋の植え付けまで保管します。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ます。
種まきもできますが、開花までに5年ほどかかります。

分球

子球が出来ているようなら、外して植え付けて下さい。

病気・害虫

アブラムシ

春にアブラムシがよく発生します。
発生しているのを見つけたら速やかに薬剤などで駆除して下さい。
アブラムシはウイルス病を媒介することがあるので、注意が必要です。

-多年草・宿根草
-