和名…ツキヌキニンドウ(突抜忍冬)、スイカズラ(吸葛)
別名…ロニセラ、ロニケラ
科名…スイカズラ科
属名…スイカズラ属
原産国…北アメリカ東部~南部
花色…赤、オレンジ、黄色、白
樹高…3m(ツル長)
日照…日なた~半日蔭
難易度…
USDA Hardiness Zone:5 to 9
ツキヌキニンドウ(ハニーサックル)とは
ツキヌキニンドウの仲間は、北半球に約180種が分布するスイカズラ科スイカズラ属の低木、またはつる性植物です。
特に中国には100種以上が分布しており、日本にはスイカズラ(Lonicera japonica)など20種以上が自生しています。
主に栽培されるのは、北米原産のツキヌキニンドウ(L. sempervirens)、地中海沿岸部原産のハニーサックル(L. periclymenum)、日本原産のスイカズラ(L. japonica)で、いずれも常緑性または半常緑性のつる性植物です。
ツキヌキニンドウの花期は5月~10月。
※品種によりやや異なります。
花期になると、分枝した枝の頂部から花序を出し、長さ4~5㎝程度の筒状花を輪生して咲かせます。
花は細長い筒状で、先が5裂して開き、5本の雄蕊と1本の雌蕊が突出します。
花色は、赤、オレンジ、黄色、白。
花には甘い香りがあり、花後に赤く愛らしい果実を実らせる品種もあります。
▼ツキヌキニンドウの花
葉は卵形で対生します。
花序のすぐ下の葉は2枚が合着しており、花序は葉を突き抜けて花を咲かせているように見えます。
ツキヌキニンドウの「ツキヌキ」はこの性質に由来しています。
また「ニンドウ(忍冬)」とは冬でも落葉しないスイカズラをニンドウと呼ぶことに由来しています。
ハニーサックル、スイカズラも同様に、花序直下の2枚の葉が合着します。
▼ハニーサックルの合着した葉の様子
耐暑性、耐寒性に優れ、生育旺盛でよくツルを伸ばします。
アーチやフェンスに絡ませたり、行燈仕立てにして楽しみます。
病害虫の発生もほとんどなく、育てやすい植物です。
ツキヌキニンドウ(ハニーサックル)の主な品種
ツキヌキニンドウ(Lonicera sempervirens)
アメリカ南東部原産で、現在ではアメリカ東部の広い範囲で野生化しています。
日本へは明治時代中期に渡来しています。
花期が長く、真夏は開花が鈍りますが初夏から秋まで長期間花を咲かせます。
筒状花は外側が赤、内側は白で咲き進むに連れて黄味を帯びオレンジに変化します。
花には甘い香りがあり、花後には赤い果実が実ります。
常緑性ですが、寒い地域では落葉します。
ツキヌキニンドウはトランペット・ハニーサックルとも呼ばれます。
ハニーサックル(L. periclymenum)
ヨーロッパ、北アフリカ、トルコ、コーカサス地方など、地中海沿岸部を中心に分布しています。
花はスイカズラによく似ており、筒状花の先端が割れ、大きく反り返ります。
基本種の花色は、咲き進むに従って白からクリーム色へと変化します。
園芸品種には、赤やピンクの筒状花を咲かせる品種もあります。
花期は5月~8月で、花には甘い香りがあり、花後には赤い果実が実ります。
ハニーサックルの名前は、花に甘い蜜と香りがあることに由来しており、ニオイニンドウの和名を持ちます。
スイカズラ(L. japonica)
日本の東北以南の地域、東アジア一帯に分布しており、普通に山野で見られます。
ジャパニーズ・ハニーサックルと呼ばれ、欧米では観賞用に栽培されますが、広く野生化して問題になっています。
花期は5月~6月。
筒状花は咲き進むに連れて白から黄色へと変化します。
花には甘い香りがあり、花後には黒い果実を実らせます。
スイカズラの名前の由来には諸説あり、花の蜜を吸うことから付いたとする説、口をすぼめたような形の花に由来するという説などがあります。
また、白と黄色の花が一つの枝に見られることから「キンギンカ(金銀花)」「キンギンカズラ(金銀葛)」の別名を持ちます。
ツキヌキニンドウ(ハニーサックル)の近縁種
ツキヌキニンドウ(ハニーサックル)が属するスイカズラ属の植物にはツル性木本と低木がありますが、低木ではヒョウタンボクなどが栽培されています。
ツキヌキニンドウ(ハニーサックル)の育て方
栽培環境
日当たりを好みますが、半日蔭でも育ちます。
日照時間が足りないと花付きが悪くなるので、少なくとも半日程度は日の当たる場所で育てて下さい。
土質は特に選びませんが、水はけの良い場所が適しています。
極端な乾燥を嫌うので、株元に直射日光が当たらないような場所だと理想的です。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
寒さの厳しい地域では落葉しますが、春になれば再び芽吹きます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植え鉢植え共に、5月~7月の生育期間中に、緩効性化成肥料を月に1回程度施すか、骨粉入りの固形油粕を施します。
植え付け、植え替え
適期は3月~4月です。
植え付け
庭植えの場合は、根鉢の2~3倍程度の植え穴を掘り、腐葉土や完熟堆肥などをたっぷりと混ぜ込んで植え付けます。
鉢植えの場合は、赤玉土4・鹿沼土3・腐葉土3などの配合土を使うか、市販の草花用培養土に赤玉土を2割ほど混ぜたものを使用します。
剪定、誘引
剪定
剪定の適期は、12月~1月です。
花は春から伸びる新しい枝に咲きます。
不要な枝や、混み合った箇所を間引いて下さい。
コンパクトに育てたい場合は、強剪定も可能です。
誘引
よくツルを伸ばしますが、自ら絡み付く力は弱いので、紐などを使って誘引して下さい。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は7月~8月です。
挿し穂にはその年に伸びた枝を使います。
やや硬くなって充実した枝を2~3節分の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。