多年草・宿根草 山野草

ダイモンジソウ

学名…Saxifraga fortunei var. incisolobata
和名…ダイモンジソウ(大文字草)
科名…ユキノシタ科
属名…ユキノシタ属
原産国…日本、朝鮮半島、中国
花色…白、赤、ピンク、黄緑
草丈…10㎝~30㎝
日照…半日蔭
難易度…星
USDA Hardiness Zone:6 to 9

ダイモンジソウとは

ダイモンジソウ

ダイモンジソウは、日本、サハリン、朝鮮半島、中国などに分布するユキノシタ科ユキノシタ属の多年草です。
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布しています。
主に日陰がちで湿気のある岩の上を好み、渓谷の岩肌などに自生しています。
自生地が海岸から高山までの幅広い地域にあるため、変異が大きく、草姿や花姿がバラエティーに富んでいる山野草です。

ダイモンジソウの花期は9月~11月。
花期になると、株元から伸ばした細い花茎の先に円錐花序を形成し、小さな花を数輪から数十輪咲かせます。
花は花径2~5㎝程度で5枚の花弁を持ち、上部3枚の花弁は小さく、下部の花弁2枚は長く大きく開きます。
「ダイモンジソウ」の名前は、「大」の字のように見えるこの花姿に由来しています。
花色は白、赤、ピンク、黄緑。
一重咲きの他、八重咲きの品種や花弁に切れ込みが入る品種があります。

▼花弁に切れ込みが入った八重咲きのダイモンジソウ

ダイモンジソウ

長い葉柄を持った葉は、縁に浅い鋸歯があり浅く裂けます。
草丈は10~30㎝程度で、根出葉を多数出して茂ります。
葉に斑の入る斑入り品種もあります。
草姿は同属の近縁種であるユキノシタに似ています。

まとまった草姿と、花の少なくなる時期に咲くことから人気のある山野草です。
暑さにやや弱い性質ですが、涼しい日陰で管理すれば暖地でも比較的容易に夏越し可能です。
冬は地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。

ダイモンジソウの主な品種

変異、変種が多く、バラエティーに富んだ数多くの園芸品種が流通します。

花弁の形

以下はダイモンジソウの花弁の形です。

・標準花…5枚花弁で「大」の字になっているもの
・正5弁花…5枚の花弁の長さが同じもの
・八重咲き…花弁が10枚以上のもの
・千重咲き…花弁が20枚以上のもの
・フギレ弁…花弁に切れ込みが入ります。

八重咲きでフギレ弁など、組み合わせでバラエティに富んだ品種が流通しています。

銀河

ダイモンジソウ 銀河

ピンクのフギレ弁が華やかで愛らしいダイモンジソウです。

瀬戸緑

ダイモンジソウ 瀬戸緑

ライムグリーンの標準花を咲かせる品種です。

紅雀

ダイモンジソウ 紅雀

深紅の八重咲きの花が賑やかな印象の品種です。

かぐや姫

ダイモンジソウ かぐや姫

薄桃の花弁が美しく、花付きが非常に良いのが特徴です。

他にも本当に数多くの品種が流通しています。

ダイモンジソウの育て方

ダイモンジソウの育て方

栽培環境

明るめの半日蔭の場所を好みます。
暗めの半日蔭の場所でも育ちますが、花付きが悪くなります。
春から梅雨明けまでの時期と、秋から春までの時期は日なたで育てて下さい。

自生場所は湿り気のある岩の上などで、庭植えにすると根腐れを起こしやすい性質です。
ロックガーデンに植栽する場合は別ですが、通常は鉢植えで育てます。

空中湿度が高い環境を好み、水はけ、水持ち共に良い環境が適しています。
鉢は土の上に直接置くか、下に人工芝などを敷いて水をまくと、湿度の高い環境を作ることが出来ます。

夏越し

夏場は直射日光を避け、出来るだけ涼しい場所で夏越しをさせます。
日差しを遮るような場所がない場合は、遮光して下さい。

水やり

乾燥に弱い性質です。
用土が乾かないように、一日一回、水やりをして下さい。
特に夏場の水切れには注意します。

冬場は休眠期になるので、やや乾燥気味に管理します。
用土の表面が乾いているようなら、水やりをして下さい。

肥料

元肥として、少量の緩効性化成肥料を施します。
追肥は、芽出し前の3月と、花後の11月頃に、緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

植え付け、植え替え

適期は2月~3月です。

植え付け

水はけが良く、水持ちの良い土質を好みます。
赤玉土(小粒)1・硬質鹿沼土(小粒)1・軽石(小粒)1で等量配合したものに、山ゴケを3割ほど混ぜて土を作り、元肥として少量の緩効性化成肥料を施しておきます。
乾きすぎるようなら、軽石を減らして下さい。

植え替え

一年に一度、植え替えを行って下さい。
枯れた部分を取り除き、古い土を出来るだけ落としてから、新しい用土で一回り大きな鉢に植え替えます。
必要であれば、株分けを行って下さい。

花茎切り、枯葉取り

種を採取しない場合は、花が終わったら花茎の元の部分から切り取ります。
枯れた葉をそのままにしておくと、灰色かび病の原因になるので、枯れ葉があれば取り除いて下さい。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。
園芸品種は、種をまいても親株と同じ花が咲かないことが多いので、株分けで増やします。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

株分け

適期は2月~3月の植え替え時です。
株を掘り上げたら、古い土を出来るだけ落とし、芽を確認してハサミなどで切り分けます。
あまり小さく分けず、1/2~1/3程度に分けるようにして下さい。

種まき

種の採取

花後にサヤが出来ます。
サヤが茶色く変色して、少し開いた状態になったら種が熟しているので採取して下さい。
採取した種はすぐに採り蒔きするか、乾燥させて保管しておきます。

種まき

適期は、採りまきの場合は採取してすぐ、保管した場合は2月~3月です。
保管した種は、種まきの前に2~3週間ほど、湿らせた川砂などに混ぜて冷蔵庫の野菜室に入れて、冬を経験させます。
どちらの場合も発芽は春になります。

種は播種箱か平鉢に蒔きます。
種まき用土は、赤玉土(細粒)、または鹿沼土(細粒)の単用で、あらかじめ湿らせておきます。
種が細かく発芽率も良いので、出来るだけ重ならないように注意して下さい。
覆土は必要ありません。
種をまいたら、ガラス板やビニール袋などで覆って乾燥を防ぐと、水やりが最小限で済みます。
水やりは底面給水で行い、発芽までは乾かさないように注意して管理して下さい。

発芽後、苗の大きさが1㎝を超える程度になったらポット上げして下さい。
大きなポットに植えると根張りが悪いので、できるだけ小さなポットを使います。
開花は翌年になります。

病気・害虫

灰色かび病

枯れた葉を放っておくと、灰色かび病が発生することがあります。
病変が現れた葉は速やかに取り除いて下さい。
風通しの悪い環境で発生しやすい病気です。
風通しの良い環境で育て、発病を抑制して下さい。

ヨトウムシ

ヨトウムシによる食害が時々あります。
ヨトウムシは夜行性の害虫で、昼間は土の中に潜んでいます。
株元の土を浅く掘ると出てくることがあるので、捕殺して下さい。

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