低木 庭木

コバノズイナ

  • 学名…Itea virginica L.
  • 和名…コバノズイナ(小葉の瑞菜)
  • 別名…アメリカズイナ
  • 科名…ズイナ科
  • 属名…ズイナ属
  • 原産国…北アメリカ
  • 花色…白
  • 樹高…1m~3m
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 9

コバノズイナとは

コバノズイナ

コバノズイナは、アメリカ東部を中心に分布するズイナ科ズイナ属の落葉低木です。
分布域はイリノイ州、インディアナ州、ペンシルバニア州を北に、テキサス州、ルイジアナ州、フロリダ州まで広がっており、湿地や森、小川や池の畔などに自生しています。

美しい花を咲かせることから、観賞用として世界で広く栽培されている花木です。
日本には明治時代に渡来し、庭木や盆栽、生け花の花材として利用されています。


コバノズイナの花期は5月~6月。
花期になると、枝先に花序を出し、小さな花を多数咲かせます。
花序は4~15㎝の長さで、花序には20~80個の花が密に付きます。
花序の軸は赤紫色を帯びています。

▼コバノズイナの花序

コバノズイナの花序

花は長さ5㎜前後の5弁花です。
雄しべは5個、雌しべは1個。
雌しべの花柱には縦に溝があります。

花にはほのかに甘い香りがあります。

▼コバノズイナの花

コバノズイナの花

花付きが非常に良く、最盛期には多数の花序に無数の花が付きます。
花色は白のみ。

▼たくさんの花を咲かせるコバノズイナ

たくさんの花を咲かせるコバノズイナ

果実は長さ5~6㎜の蒴果。

▼コバノズイナの果実

コバノズイナの果実

葉は互生し、長さ2~9㎝、幅1~4㎝の先の尖った楕円形です。
縁に細かい鋸歯があります。
葉柄は長さ0.3~1㎝。

▼コバノズイナ葉の様子

コバノズイナの葉の様子

秋には美しく紅葉します。

▼コバノズイナの紅葉

紅葉したコバノズイナ

耐寒性、耐暑性に優れており、丈夫な性質です。
樹形も自然にコンパクトにまとまり、育てやすい花木です。
株元から多数の芽を出して株立になりますが、離れた場所に芽を出すことは無いので、扱い易いと思います。

名前の由来

コバノズイナという名前は、日本に自生する同属のズイナ(Itea japonica)より葉が小さいことから付けられました。
漢字を当てると「小葉の髄菜」となります。

「ズイナ(髄菜)」の名前のは、枝の髄が行灯の灯心に、若葉が食用にされたことから来ています。
近年、ズイナの中に希少糖が含まれているということが発見され、研究が始まっています。
コバノズイナに希少糖が含まれているかどうかは不明です。

コバノズイナの主な品種

ヘンリーズガーネット(Itea virginica 'Henry's Garnet')

コバノズイナ・ヘンリーズガーネット

花序が長く枝垂れる品種です。
花序は株が充実すると20㎝程度の長さになり、枝垂れる花姿が優雅です。
品種名の「ガーネット」は、ガーネットのようにやや暗めの赤色に紅葉する葉の様子に由来します。

▼ヘンリーズガーネットの紅葉

コバノズイナ・ヘンリーズガーネット

リトルヘンリー(Itea virginica 'Little Henry')

コバノズイナ・リトルヘンリー
Photo credit: Elsa Spezio via Visual hunt / CC BY-SA

ヘンリーズガーネットの矮性種で、樹高は1m以内に収まります。
ヘンリーズガーネット同様、ややダークな色に紅葉します。

他にも花にやや赤みを帯びる「サライブ」などの品種が流通しています。

コバノズイナの育て方

コバノズイナの育て方

栽培環境

水はけの良い、日なたから半日蔭の場所が適しています。
半日蔭でも十分育ちますが、多少花付きが悪くなります。
多くの花を楽しみたい場合は、少なくとも半日以上は日の当たる場所で育てて下さい。

夏越し、冬越し

夏越し

耐暑性は高く、特に対策無しで夏越し可能です。

冬越し

耐寒性もあります。
北海道南部以南であればそのまま庭で冬越し可能です。
雪の重みで枝が折れるようなら対策を施して下さい。

水やり

庭植えの場合は、夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
夏場は特に水切れさせないように注意して下さい。

肥料

元肥として用土に腐葉土を混ぜ込んで下さい。
追肥は、2月の寒肥、6月~7月頃に花後のお礼肥として緩効性化成肥料を施します。

植え付け

適期は厳冬期を避けた落葉期の、11月~12月、2月下旬~3月です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
根鉢の2~3倍の植穴を掘り、苗木を植え付けて下さい。
植え付けた後はたっぷりと水やりをして、根と土を馴染ませます。

鉢植えの場合は、市販の培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土を使います。

剪定

適期は花後の6月~7月です。

自然に樹形が整うので、剪定は必須ではありません。
剪定を行う場合も、徒長枝や絡み枝、ひこばえを取り除く程度にとどめておいた方が本来の美しい樹形が保てます。

地下茎で脇から芽がよく出て来ます。
不要な芽はその都度、取り除いて下さい。

増やし方(挿し木)

挿し木で簡単に増やすことが出来ます。

挿し木

適期は6月~7月中旬です。

枝の先端を10~15㎝程度に切り取り、挿し穂にします。
下葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
発根するまでは明るい日陰で水を切らさないように管理します。
生命力旺盛な木なので、小さくても翌年には花を咲かせます。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありませんが、まれにカイガラムシが発生することがあります。
見付け次第対処して下さい。

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