低木 庭木

ブラシノキ

学名…Callistemon
和名…ブラシノキ、ハナマキ
別名…ボトルブラッシュ、ボトルブラシ、カリステモン、キンポウジュ
科名…フトモモ科
属名…ブラシノキ属(カリステモン属)
原産国…オーストラリア、ニューカレドニア
花色…赤、ピンク、白
樹高…1m~3m
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:9 to 10

ブラシノキとは

ブラシノキ(キンポウジュ・カリステモン)

ブラシノキの仲間は、オーストラリアを中心にニューカレドニアまで約30種が分布するフトモモ科ブラシノキ属の常緑性低木です。
日本へは「ブラシノキ」の和名を持つスペキオスス種(Callistemon speciosus)が明治時代中期に渡来し、庭木として植栽されてきました。

主に流通しているのは前述のスペキオスス種の他、「ハナマキ」や「キンポウジュ」の別名を持つキトリヌス種(C. citrinus)、「シロバナブラシノキ」の和名を持つ白花品種のサリグヌス種(C. salignus)、「シダレハナマキ」の和名を持つのウィミナリス種(C. viminalis)などです。

ブラシノキの花期は5月~6月。
花期になると、分枝した枝先に円柱状の花序を付け、多数の花を咲かせます。
花は一つの花序に20~120個ほど付きますが、花弁は小さく開花後すぐに落ちます。
ブラシのように見えるのは長く突出した雄しべで、花弁が落ちた後も雄しべは長く残ります。
花序は試験管を洗うブラシによく似ており、美しく色づく雄しべは「花糸」と呼ばれます。
花糸の色は、写真の赤の他、ピンク、白。

▼ピンクの花糸を持つブラシノキ

ブラシノキ

花後には果実が実り、枝にくっついてズラっと並びます。
翌年の花はその上に伸びた部分に咲き、果実は次々と増えていきます。
果実は7~8年の間、発芽能力を持ったまま枝に残ります。
果実は山火事の後に一斉に弾けて、辺りに種子を散布します。
これは、他の植物がなくなった後にいち早く芽を出して、その土地の優占種になろうとする生態です。
このため、前の山火事から何年たっているかはブラシノキの実を見れば分かると言われています。

▼ブラシノキの果実

ブラシノキ

葉は堅い革質で披針形または線形で、枝に互生します。

暑さ、乾燥には強い性質ですが寒さはやや苦手です。
戸外で冬越し可能なのは関東以南の暖地になります。

同じように花糸が特徴的で美しい木にはスモークツリーがあり、こちらも近年人気の庭木です。

ブラシノキの育て方

ブラシノキの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
半日蔭程度の日照でも育ちますが、花付きが悪くなります。

また、冬の冷たい北風に当たると葉が傷んでしまうことがあります。
北風の当たらない日なたで育てて下さい。

移植を嫌う性質です。
植え場所は熟考の上で決定して下さい。

冬越し

耐寒性はあまり高い方ではありません。
関東以南の暖地では、そのまま戸外で冬越し可能です。
幼木の時期は寒さに弱く、暖地であっても防寒対策をした方が安全です。
経年と共に耐寒性が上がっていきます。

寒冷地の場合は、鉢植えで育て、冬は室内で管理することになります。

水やり

乾燥には強い性質です。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
植え付けて間もない苗木は、土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを。
冬越し中はやや乾燥気味に管理して下さい。

肥料

庭植えの場合は、2月頃に元肥(寒肥)として有機肥料を株の周辺に埋めて下さい。
追肥の必要はありません。

鉢植えの場合は、3月頃に化成肥料を株元に施します。

多肥にすると花付きが悪くなるので、肥料は控えめで十分です。

植え付け・植え替え

適期は4月中旬~9月です。

植え付け

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら腐葉土を用土に混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、植穴の底に有機肥料か緩効性化成肥料を入れて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
市販の草花用培養土も使えます。
樹勢が強く大きく育ちます。
最低でも8号鉢以上の大きな鉢に植えて下さい。

植え替え

移植を嫌う性質です。
庭植えの場合は、植え替えは行いません。

鉢植えで根詰まりを起こしているようなら、植え替えが必要になります。
根鉢を崩さず、一回り大きな鉢に植えて下さい。

剪定

適期は3月上旬ですが、自然に樹形が整うので必ずしも必要な作業ではありません。

ブラシノキはその年に伸びた新梢に花芽を作ります。
新梢が伸び始める前に行うことで、花が咲かないという失敗がなくなります。
寒さの厳しい時期に剪定すると、霜や寒さで木が弱ってしまうことがあります。
剪定時期は、厳冬期が明けて新梢が動き出す前の3月上旬がベストです。

不要な枝を整理して下さい。
ひこばえ(株元から伸びてくる枝)や、細く弱い枝、枯れた枝を付け根から切り落とします。
枝が混み合っているようなら間引いて透かして下さい。

増やし方(挿し木・種まき)

挿し木と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し木

適期は6月~7月です。
その年に伸びた新しい枝を使い、10㎝程度に切り取って挿し穂にします。
下の方の葉を切り取って水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

種まき

開花までには最低でも3年はかかります。

種の採取

花後に種が枝にズラっと並びます。
その年に出来た種は未熟で発芽能力がありません。
3年前~前年の間に出来た種を採取して下さい。

種まき

適期は4月です。

採取した種を殻から取り出してまきます。
ポットまきか箱まきで行いますが、種が非常に小さいので出来るだけ重ならないように薄くまいて下さい。
覆土はせず、水やりは底面給水か霧吹きで。
芽が出て本葉が展開したら、ポット上げします。
直根性で移植を嫌います。
根を傷つけないように気を付けて下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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