一年草・二年草 グランドカバー

ポーチュラカ

  • 学名…Portulaca umbraticola Kunth
  • 和名…ハナスベリヒユ(花滑莧)
  • 別名…ポーチュラカ
  • 科名…スベリヒユ科
  • 属名…スベリヒユ属
  • 原産国…南北アメリカ
  • 花色…黄、赤、オレンジ、白、ピンク、紫、複色
  • 草丈…5㎝~20㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:2 to 11

ポーチュラカとは

ポーチュラカ

ポーチュラカは、南北アメリカに分布するスベリヒユ科スベリヒユ属の一年草です。
分布域はアメリカ南西部からメキシコ、南アメリカにあり、乾燥気味の砂質土壌の場所などに自生しています。

スベリヒユ属の植物は、世界の熱帯、亜熱帯地域を中心に100~125種が分布しており、日本では畑や道端の雑草であるスベリヒユ(Portulaca oleracea)が分布しています。
また古くから観賞用に栽培されているマツバボタン(Portulaca grandiflora)もスベリヒユ属の植物です。

近年までポーチュラカは、スベリヒユとマツバボタンの交配による園芸品種ではないかと言われていました。
これは、ポーチュラカの葉茎がスベリヒユに、花がマツバボタンに似ているためです。
ただし現在では、上記2種の交雑種ではなく、ハナスベリヒユ(Portulaca umbraticola)の亜種の交配種とされています。
ハナスベリヒユには3つの亜種が知られており、花の大きさや花色の異なった亜種を元に作出された品種が、現在のポーチュラカの起源となっています。

ポーチュラカが日本に広く普及したのは、1990年の大阪花博がきっかけです。
真夏の暑い時期に最小限の手入れで育ち、色とりどりの花を絶やすことなく咲かせることから、夏花壇の定番植物として一気に普及します。
古くから栽培されていたマツバボタンは、ポーチュラカの普及と入れ替わるように、最近ではあまり見かけなくなりました。


ポーチュラカの花期は6月~10月。
花期になると、分枝した茎の頂部に花を咲かせます。
花は花径2~3㎝の5弁花です。

▼ポーチュラカの花

ポーチュラカの花

雄しべは7~30個、雌しべの柱頭は5~18裂しています。

▼ポーチュラカの雄しべと雌しべ

ポーチュラカの雄しべと雌しべ

花色は黄、赤、オレンジ、白、ピンク、紫など多彩。
花は天候の悪い日には咲かず、夕方には萎んでしまう一日花ですが、長い花期の間次々と花を咲かせ続けます。

基本種の一重咲きの他、八重咲き、小輪から大輪まで数多くの品種が揃います。
大輪種になると花径5㎝程度の大きな花を咲かせます。

▼様々な花色のポーチュラカ

淡い黄色のポーチュラカ
白とピンクのポーチュラカ
八重咲きのポーチュラカ

果実は倒卵形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ポーチュラカの果実

ポーチュラカの果実

葉はへら形~倒卵形~披針形でやや多肉質です。

▼ポーチュラカの葉の様子

ポーチュラカの葉の様子

茎は分枝して地面を這うように広がります。
株は半径30㎝程度に広がり、夏のグランドカバーとして利用することも可能です。

▼たくさんの花を咲かせるポーチュラカ

たくさんの花を咲かせるポーチュラカ

耐暑性が高く強健な性質で、挿し木で容易に増やすことが出来ます。
放任でも次々と花を咲かせて広がります。

ポーチュラカの主な品種と近縁種

大輪ポーチュラカ

大輪ポーチュラカ

花径5㎝程度の大きな花を咲かせます。
巨大輪ポーチュラカとも呼ばれ、普通のポーチュラカ同様、多彩な花色が揃います。

斑入りポーチュラカ

斑入りポーチュラカ

最近流通するようになった斑入り品種で、ピンク色の花を咲かせます。
カラーリーフとしても観賞価値があります。

スベリヒユ(Portulaca oleracea)

スベリヒユ

日本全土に分布する畑の雑草で、長い間ポーチュラカの交配親だとされていました。
ヘラ状の葉や草姿がポーチュラカによく似ています。
地域によっては食用として利用されます。

関連図鑑

ポーチュラカの育て方

ポーチュラカの育て方

栽培環境

日光を好みます。
終日、強い日差しが当たる場所でも元気に育ち花を咲かせるので、日なたで育てて下さい。
日が当たらない場所に植えると、茎が間延びし花が咲きません。

水はけの良い土壌を好むので、水はけの悪い場所の場合は土を盛って高植えにすると効果的です。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

多肉質の葉と茎には水分が蓄えられており、乾燥には強い性質です。
水をやりすぎると茎が間延びしたり、根腐れを起こすので注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、用土に少量の腐葉土や牛糞を混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はありません。

鉢植えの場合は、緩効性化成肥料を定期的に置き肥するか、液体肥料を月に1回程度施します。
やせ地でもよく育つ植物なので、肥料は少な目を心がけて下さい。

植え付け

適期は5月~8月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、牛糞堆肥などを少な目に混ぜ込んでおきます。
株間は20㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土か、赤玉土7・腐葉土3などの混合土を使います。
65㎝プランターに4株が目安です。

植え替え

根詰まりを起こすと、生育が悪くなります。
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えて下さい。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。
種まきで増やすことの出来る品種もありますが、流通している品種の大半はF1(一代交配種)であるため、種ができなかったり、種ができても親株と同じ花は咲かないことが多いです。

挿し木

簡単に発根します。

適期は6月~9月です。
茎を10㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
一番下の節の葉を取り除いたら、その節が埋まるように土に挿して下さい。
水挿しでも発根するので、切り取った挿し穂を水に挿しておいて、発根したら植え付けて下さい。

冬越しする場合は、秋口に挿し木苗を作り、室内に取り込んで管理するという方法もあります。

種まき

ポーチュラカの種は一般には販売されていません。
種を蒔くなら自家採取になりますが、種が出来やすい品種と出来にくい品種があります。
加えて、園芸品種の多くは種を採取しても親株と同じ花が咲かない事が大半です。
それでも…という方はチャレンジしてみて下さい。

ポーチュラカのしべは少し変わっています。

▼ポーチュラカの雄しべと雌しべ

ポーチュラカの雄しべと雌しべ

雄しべと雌しべの間に高低差があり、受粉しにくい構造となっています。
また、不稔性(ふねんせい)と言って、もともと種が出来ないものや、出来たとしても発芽しない品種が多く流通しています。

種の採取

花後にカップのような形をした鞘が出来ます。
種が熟すと蓋が開いて飛散する仕組みになっています。
蓋が開いて中に種が残っているものがあったら、採取して下さい。
採取した種は、紙袋などに入れて涼しい場所で保管します。

種まき

適期は5月です。
発芽には20℃~25℃の温度が必要です。
十分に暖かくなってから蒔いて下さい。
種が細かいので、種は播種箱かピートバンなどにばらまきます。
覆土の必要はありません。
水やりは底面給水で管理し、発芽までは乾かさないようにします。
発芽して本葉が3~5枚になったらポット上げするか、定植して下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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