和名…コエビソウ(小海老草)
別名…ベロペロネ
科名…キツネノマゴ科
属名…キツネノマゴ属
原産国…メキシコ
花色…赤、黄、白
樹高…30~100㎝
日照…日なた(夏は半日蔭)
難易度…
USDA Hardiness Zone:9 to 11
コエビソウとは
コエビソウは、メキシコの熱帯地域原産のキツネノマゴ科キツネノマゴ属の常緑性低木です。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、逸出したものが現在アフリカ・エクアドル、アメリカ・フロリダ州など一部の地域で帰化植物として定着しています。
コエビソウが属するキツネノマゴ属には、約700種の植物が分類されており、世界の熱帯、亜熱帯地域に広く分布しています。
年間を通じて温暖な気候の地域では観賞用として栽培される種も数多くありますが、日本で栽培されるキツネノマゴ属の植物は、本種コエビソウ(Justicia brandegeeana)のみとなっています。
熱帯地域原産の本種ですが、比較的耐寒性があり、関東地方南部以南の平地であれば戸外での冬越しが可能です。
ただし冬場は寒さで落葉します。
「ベロペロネ」の名前ので呼ばれることがありますが、これは旧属名が流通名として定着したもので、現在ベロペロネ属はキツネノマゴ属に統合されています。
コエビソウの花期は6月~10月。
※15℃以上の気温があれば、周年開花します。
花期になると、分枝した茎の頂部に花序を出し、白い唇形花を咲かせます。
唇形花とは、筒状になった花の先が上下に分かれ、唇のような形になる花のことです。
コエビソウの唇形花は、2~3㎝の長さで下唇が3裂しており、下唇の中央には赤紫色の斑点が多数並んでいます。
▼コエビソウの花
花序にはハート形の苞が規則正しく並びます。
苞は最初、淡い黄緑色からクリーム色をしていますが、日光にさらされることにより鮮やかに色付きます。
花序は下から成熟して徐々に長くなり、上部に1~2個の花を咲かせます。
「コエビソウ」の和名は、このエビのように見える独特の形状の花序に由来しています。
▼色づいたコエビソウの苞
葉は対生し、5~8㎝程度の先の尖った楕円形~卵形です。
枝はよく分枝して茂り、樹高30~100㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせたコエビソウ
熱帯植物としては比較的耐寒性があるコエビソウですが、寒さに強い訳ではありません。
関東地方南部以南の平地であれば戸外での冬越しが可能ですが、霜の当たらない場所が望ましい植物です。
また、自生地の熱帯地域では日陰で育つ植物のため、夏の強い日差しで葉焼けを起こします。
暖地、温暖地であれば庭植えも出来ますが、鉢植えで育てた方が季節の管理が容易です。
寒さと夏場の日差しに気を付ければ、病害虫の発生もほとんど無く、丈夫で育てやすい植物です。
コエビソウの主な品種
イエロー・クイーン(Justicia brandegeeana ‘Yellow Queen’)
淡い黄色に色付く苞が美しい品種です。
バリエガタ(J. brandegeeana ‘Variegata’)
葉に不規則な白い斑が入る斑入り品種です。
コエビソウの育て方
栽培環境
日なたから半日蔭の場所で育てることが出来ますが、半日蔭の場所では徒長し、花付きも悪くなります。
夏場の直射日光で葉焼けを起こしたしまうため、夏は強い日差しが当たらない場所で育てて下さい。
冬越し、夏越し
冬越し
関東地方南部以南の平地であれば戸外での冬越しが可能です。
何度も霜に当たると枯れてしまうので、霜の当たらない場所で冬越しをさせて下さい。
寒さで落葉しますが、枝が生きていれば春に再び芽吹きます。
心配な場合は、室内に取り込んで管理して下さい。
15℃以上の気温があれば、冬の間も花を咲かせます。
夏越し
鉢植えの場合は、強い日差しの当たらない半日蔭の場所に移動します。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬越し中の株はやや乾燥気味に管理します。
肥料
庭植え、鉢植え共に、生育期の5月~10月の間に、緩効性化成肥料を定期的に施します。
花期が長いので、肥料切れをさせないように注意して下さい。
鉢植えの場合は、花の多い開花期の間、液体肥料も併用します。
植え付け、植え替え
適期は4月~6月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として完熟堆肥を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
植え替え
根詰まりを起こすと生育が悪くなるので、鉢植えの場合は1~2年に一度、植え替えを行います。
根鉢を軽く崩して、新しい用土で一回り大きな鉢に植え替えて下さい。
庭植えの場合は特に植え替えの必要はありません。
摘芯
春に枝が伸びてきたら、先端の芽を摘んで摘芯をします。
枝数が増えて締まった草姿になり、花数も増えます。
剪定、切り戻し
枝が伸びすぎているようなら、適宜切り戻しをして下さい。
冬の寒さで枯れ込んだ枝は、株元から切り取って下さい。
花がら摘み
苞が変色して見苦しくなった場合は切り取って下さい。
増やし方(挿し木)
挿し木で簡単に増やすことが出来ます。
挿し木
適期は生育期の5月~9月です。
枝を5~10㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。