低木 庭木

ブッドレア

  • 学名…Buddleja davidii Franch.
  • 和名…フサフジウツギ(房藤空木)
  • 別名…バタフライブッシュ、ニシキフジウツギ、チチブフジウツギ
  • 科名…ゴマノハグサ科
  • 属名…フジウツギ属
  • 原産国…中国
  • 花色…ピンク、紫、白、青
  • 樹高…0.5~3m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 9

ブッドレアとは

ブッドレア

ブッドレアは中国原産のゴマノハグサ科フジウツギ属の落葉低木です。
分布域は中国南部から中部を中心にあり、標高800~3000mの山の斜面の茂みなどに自生しています。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されている花木です。

「ブッドレア」とはフジウツギ属の学名ですが、単にブッドレアというと園芸界ではブッドレア・ダビディ(Buddleja davidii)を指します。
和名はフサフジウツギ。

日本へは大正時代末期に渡来しており、現在では数多くの園芸品種が流通しています。


ブッドレアの花期は7月~10月。
花期になると、枝先から花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ4~30㎝、幅2~5㎝の大きさで、密に花が付きます。

▼ブッドレアの花序

ブッドレアの花序

花は高杯形で、筒部は長さ6~11.5㎜、幅1~1.5㎜。
花冠の先は4裂して開きます。

▼ブッドレアの花

ブッドレアの花
ブッドレアの花

花には甘い香りと蜜があり、チョウやハチが好んで集まって来ることから、英語圏では「バタフライブッシュ」と呼ばれています。
花序は株の成長と共に長くなり、大きく育ったブッドレアでは30㎝ほどの見事な花序を付けるようになります。
花色はピンク、薄桃、紫、白、ブルー。

▼白花のブッドレア

白い花を咲かせるブッドレア

果実は長さ約1㎝の紡錘形~長楕円形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ブッドレアの果実

ブッドレアの果実

中には種子が多数入っており、熟すと裂けて種子が落ちます。

▼熟して裂けた果実

ブッドレアの果実

葉は対生し、長さ4~20㎝、幅0.3~7.5㎝の披針形~狭卵形~狭楕円形です。
先は尖り、縁には鋸歯があり、葉柄は長さ1~5㎜。

▼ブッドレアの葉の様子

ブッドレアの葉の様子

若枝の葉裏や葉柄、花序には細かな毛が密生しています。

▼ブッドレアの葉裏に密生する毛

ブッドレアの葉裏

樹高0.5~3m程度に成長します。
品種改良も盛んに行われ、葉の縁にクリーム色の斑が入る斑入り品種や、樹高が1m程度の矮性種なども流通しています。

▼たくさんの花を咲かせるブッドレア

たくさんの花を咲かせるブッドレア

耐暑性、耐寒性共に高く、丈夫で育てやすい花木です。
成長が早いので毎年の剪定は必須ですが、その他はほとんど手がかかりません。
強剪定も可能なので、樹形のコントロールも容易です。

関連図鑑

ブッドレアが属するフジウツギ属の植物はアジア、南北アメリカ、アフリカに約100種が分布しています。
ブッドレアの他では、トウフジウツギなどが栽培されることがあります。

ブッドレアの育て方

ブッドレアの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
樹高2~3m、幅1.5~3mと大きく育つので、鉢植え向きの植物ではありません。

※ブッドレアは根が細く移植の難しい植物です。

夏越し、冬越し

耐暑性、耐寒性ともに高く、特に対策の必要はありません。
栽培可能な地域は、東北以南と言われています。

水やり

植え付けてから根付くまでは、乾燥に注意して管理して下さい。
根付いてしまえば、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

肥料

肥料はほとんど必要ありません。
苗木を早く大きく育てたい場合のみ、3月~4月上旬の間に緩効性化成肥料を施します。
極端なやせ地で生育が悪い場合も同様に、春に緩効性化成肥料を施して下さい。

植え付け

適期は3月~4月中旬です。

根鉢の倍の大きさの植穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土や完熟たい肥、ピートモスなどを混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
植え付け後は水極めをして、根の間にしっかりと土が詰まるようにして下さい。
根が粗く細いので、ポット苗の場合は、出来るだけ根鉢を崩さないように注意して植え付けます。

強剪定、剪定、切り戻し

放っておくと1年で1mほど伸びる生育旺盛な樹木です。
剪定は毎年行い、好みの高さや樹形に仕立てて下さい。
花芽は春に新しく伸びた枝に出来るので、剪定をしたために花が付かない、ということはありません。

強剪定

適期は厳冬期を避けた落葉期です。
暖地の場合は花後の11月頃、寒冷地の場合は3月頃に行います。

地際から数節残して(1m程度)、大きく切り戻します。
毎年行うことによって、樹高をコントロールすることが可能で、大型の宿根草のように扱うこともできます。

※太くなった古い枝を強剪定すると枯れてしまう事があるので注意して下さい。

通常の剪定

適期は3月頃です。
好みの樹高、樹形に整えます。
昨年伸びた枝を切り落とし、枯れ枝や込み合った枝も整理して下さい。

切り戻し

花が終わった枝は、花房の数節下の部分で切り戻します。
そうすると再び枝が伸びて花が咲きます。

面倒な場合は、花が一段落した時に、全体を2/3程度の高さで切ってしまっても大丈夫です。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は6月~7月です。

挿し穂には、その年の伸びた枝を使います。
枝を1節~2節ほどの長さに切り取り、葉を1/3ほどにカットします。
水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
秋になったら鉢上げをして下さい。

病気、害虫

アブラムシ

風通しが悪いと発生しやすくなります。
風通しの良い状態をキープして、予防して下さい。
発生した場合は、薬剤などで駆除します。

カミキリムシ

株元におがくずのようなものが落ちていたら幹の中にカミキリムシの幼虫が潜んでいます。
幹に開いている穴から薬剤を注入するか、針金などを突っ込んで補殺します。
薬剤の場合は、駆除の確認のため、新しいおがくずの発生に注意して下さい。

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