- 学名…Echinacea purpurea (L.) Moench
- 和名…ムラサキバレンギク(紫馬簾菊)
- 別名…エキナセア
- 科名…キク科
- 属名…ムラサキバレンギク属
- 原産国…北アメリカ
- 花色…ピンク、白、赤、オレンジ、黄、緑
- 草丈…30㎝~100㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:3 to 8
エキナセアとは
エキナセアは、北アメリカに分布するキク科ムラサキバレンギク属の多年草です。
分布域はアメリカ南東部~中央部を中心に広がっており、牧草地や草原、森林の開けた場所、水路の近くなどに自生しています。
先住民が古くから薬草として用いてきた歴史を持ち、炎症や傷の治療に利用されていました。
現在でもハーブティとして利用されることから、欧米では商業用としても栽培されています。
※経口摂取では、稀にアレルギー症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。
日本には1926年頃に渡来しています。
和名はムラサキバレンギク(紫馬簾菊)。
エキナセアの花期は6月~8月。
花期になると、茎の頂部に直径7~10㎝程度の頭花(とうか)を咲かせます。
頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(かんじょうか)と、周辺の舌状花(ぜつじょうか)です。
▼エキナセアの頭花
管状花は先が5裂した筒状で多数あり、長さ4.5~5.7㎜。
舌状花は筒状になった花弁の片側が舌状に大きく広がっており、基本種で長さ3~8㎝。
舌状花は咲き進むに従い下垂します。
▼エキナセアの舌状花と管状花
管状花は外側から内側へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟して花粉を出し、その後で雌しべが伸びて成熟します。
▼エキナセアの管状花
頭花の花托(花の根本部分)は丸く盛り上がっており、中央の管状花が目立ちます。
和名「ムラサキバレンギク」の名前は、この花姿を馬簾(ばれん)に見立てたものです。
馬簾とは、江戸時代の火消しが旗印として用いた纏(まとい)の周囲に垂れ下がる、紙や革を細長く切って作られた飾りのことです。
また、属名でもある「エキナセア」は、ギリシャ語の「echinos=ハリネズミ」を語源としており、特徴的な管状花の様子が由来となっています。
▼エキナセアの花の様子
花色はピンク、白、赤、オレンジ、黄色、緑。
基本種は一重咲きですが、八重咲き品種も流通しています。
切り花にしても花持ちが良く、花後も球状の形が長く残るので、ドライフラワーにすることも可能です。
▼エキナセアの様々な花
果実は長さ3.5~5㎜の痩果(そうか)。
※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。
葉は互生し、長さ5~30㎝、幅5~12㎝程度の披針形~先の尖った卵形で、通常縁に鋸歯があります。
▼エキナセアの葉の様子
花を咲かせながら草丈30~100㎝程度に成長します。
近年急速に品種改良が進み、様々な草丈、花姿の品種が流通しており、エキナセアの魅力の一つとなっています。
▼大きく成長したエキナセア
耐寒性、耐暑性共に高く、育てやすい植物です。
冬は地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。
エキナセアの主な品種
シャイアン・スピリット(Echinacea ‘Cheyenne Spirit’ Mix)
オールアメリカセレクションズにて2013年に金賞を受賞した有名品種です。
暖色系の花色ミックスで、育てやすい品種です。
草丈45~60㎝程度に育ち、オレンジや赤、黄色、ピンク色など、ポップで明るい花色が揃います。
苗の他、種でも流通します。
ダブルスクープシリーズ(Echinacea Double Scoop Series)
美しい八重咲きの有名品種です。
草丈60~70㎝程度に育ち、花付きが良く、ボリュームのある株に育ちます。
花色はクランベリー、ラズベリー、マンダリン、レモンクリームなど。
グリーンジュエル(Echinacea purpurea ‘Green Jewel’)
淡い緑色の花が美しい栄養系のエキナセアです。
草丈50~70㎝に成長します。
プレーリーブレイズシリーズ( Echinacea purpurea Prairie Blaze Series)
実生系の新しい品種です。
草丈40~50㎝程度に成長します。
花色はグリーン、ゴールデンイエロー、ヴィンテージライム。
オレンジスパイダー(Echinacea purpurea ‘Orange Spider’)
舌状花が非常に細く、時に筒状になるユニークな花を咲かせます。
草丈40~65㎝程度に成長ます。
他にも数多くの品種が流通しています。
エキナセアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと花付きが悪くなってしまうので、少なくとも半日以上は日の当たる場所で育てて下さい。
夏越し、冬越し
夏越し
多湿な環境が苦手で、梅雨の時期に根腐れしてしまうことがあります。
鉢植えの場合は、雨の当たらない軒下などに移動して下さい。
庭植えの場合は、水はけの良い環境で育てることが大切です。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
地上部が枯れるので、刈り取って下さい。
土が凍ってしまうような寒冷地では、腐葉土や敷き藁を厚めに敷いて、凍結対策をして下さい。
鉢植えの場合は、寒冷地では凍らない場所に移動します。
冬越し中は、乾燥気味に管理しますが、完全に乾かさないように時々水やりをして下さい。
庭植えの場合は、冬越し中の水やりは必要ありません。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
多湿な環境が続くと根腐れを起こします。
水のやりすぎには注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に少量混ぜ込んでおきます。
追肥は春と秋に緩効性化成肥料の置き肥して下さい。
鉢植えの場合は、4月~6月、9月~10月の間、月に1回程度、緩効性化成肥料を株元に施します。
多肥にする必要はありません。
植え付け、植え替え
適期は4月~5月、10月です。
植え付け
庭植えの場合は、掘り上げた用土に3割程度の腐葉土を混ぜ込みます。
水はけが悪い土地の場合は、赤玉土や軽石を混ぜて、水はけの良い土壌を作って下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に赤玉土や軽石を混ぜて使うか、赤玉土(小粒)4・鹿沼土(小粒)3・腐葉土3の配合土に少量の緩効性化成肥料を混ぜ込んで用土を作ります。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしやすいので、一年に一度植え替えを行います。
根鉢を崩して、新しい用土で植え付けて下さい。
庭植えの場合は、特に必要ありませんが、株が込み合って生育が悪くなるようなら株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
増やし方(株分け、種まき)
株分け、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照ください。
株分け
大きく育っていれば株分けをすることが出来ます。
適期は4月~5月、10月です。
掘り上げた株を分けて植え付けますが、小さく分けると枯れることがあるので注意して下さい。
種まき
栄養系の品種は種ができない品種が多く、育っても親株と同じ花を咲かせるとは限りません。
種の採取
花後に残った花芯の部分に種が出来ます。
枯れて茶色くなったら花茎ごと切り取って、しばらく陰干しをします。
完全に乾いたら、黒い刺の部分の下に種があるので採取して下さい。
採取した種は、紙袋などに入れ、さらに乾燥剤と一緒にビンなどに入れて、日の当たらない涼しい場所で保管します。
種まき
適期は3月下旬~4月、9月中旬~10月です。
発芽温度は15℃~25℃です。
種は播種箱やポットにまき、覆土は種が隠れる程度。
発芽までは2週間~1ヶ月程度かかります。
本葉が2~3枚になったらポット上げして育苗します。
しっかりした苗に育ったら定植して下さい。
秋まきで苗が小さい場合は、霜に注意して冬越しして下さい。
病気、害虫
灰色かび病、白絹病、うどん粉病
多湿な環境で発生しやすくなります。
風通しと水はけを良くして発生を予防して下さい。