和名…ハナズオウ(花蘇芳)
科名…マメ科
属名…ハナズオウ属
原産国…中国
花色…ピンク、白
樹高…2m~5m
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:6 to 9
ハナズオウとは
ハナズオウは、中国に分布するマメ科ハナズオウ属の落葉性低木です。
分布域は、中国中部から南東部にかけて広がっており、森林地帯、林、斜面などに自生しています。
美しい花を咲かせることから、観賞用として広く栽培されている花木です。
ハナズオウの花期は4月。
花期になると、葉の展開に先駆けて、枝の節々に2~10個の花を房状に咲かせます。
花はマメ科の植物に多く見られる蝶形花で、長さ1~1.3㎝程度、短い花柄を持っています。
▼ハナズオウの花の様子
花弁にはそれぞれ名前が付いており、上部の左右2枚が翼弁(ヨクベン)、上部中央が旗弁(キベン)、下部でふっくらと重なった2枚を舟弁(シュウベン)、または竜骨弁(リュウコツベン)と呼びます。
ハナズオウの旗弁には濃色の模様が入っており、竜骨弁の中には雄しべ6個と雌しべが入っています。
▼ハナズオウの花の構造
基本種の花色は赤紫色ですが、白い花を咲かせる品種もあります。
▼シロバナハナズオウ(Cercis chinensis ‘Alba’)
花後にはマメ科の植物らしい果実が実り、果実は初夏に赤紫色に色付き、秋には黒く熟します。
▼ハナズオウの果実
葉は互生し、長さ5~10㎝、幅は長さと同等、もしくはやや長い円形~広楕円形です。
葉先は尖り、基部は心形となっています。
葉の表面には光沢があり、葉裏の脈上には微細な毛が生えています。
▼ハナズオウの葉の様子
幹の下部からよく分枝し、樹高2~5m程度に成長します。
▼ハナズオウの樹形
耐寒性、耐暑性に優れており、育てやすい花木です。
剪定の手間もそれほどかかりません。
病気の発生はほとんどありませんが、アメリカシロヒトリなどの毛虫が発生することがあります。
ハナズオウの近縁種には北アメリカ原産のアメリカハナズオウがあり、銅葉や斑入り葉の品種が流通しています。
アメリカハナズオウは、ハナズオウとよく似た花を咲かせますが、樹高6~10mに育つ高木です。
ハナズオウの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
花付きは日当たりに比例するので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性共に高く、特に対策の必要はありません。
水やり
庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、落葉期の1月~2月の間に寒肥として、油かすや骨粉を株の周辺に埋め込んで下さい。
鉢植えの場合も同様に、落葉期の1月~2月の間に、化成肥料を株元に施します。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は厳冬期を避けた落葉期の11月~12月、3月です。
庭植えの場合は、根鉢の2~3倍の植え穴を掘り、用土に腐葉土と完熟堆肥を混ぜ込んでおきます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませます。
必要であれば、支柱を立てて下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土6・腐葉土4などの一般的な配合土を使います。
元肥として化成肥料を鉢底に入れておいて下さい。
植え替え
適期は春の3月頃です。
鉢植えの場合は、根詰まりしているようなら植え替えを行います。
一回り大きな鉢に、新しい用土で植え替えて下さい。
剪定
剪定の適期は、落葉期の12月~3月です。
不要な枝や伸びすぎた枝を切り取ります。
花芽を確認しながら、剪定を行って下さい。
花芽のある節からは花後も芽は伸びないので、葉芽を残して枝を切るようにします。
増やし方(種まき)
種まきで増やすことが出来ます。
花後に出来たサヤが秋に熟します。
サヤが灰褐色になり、しっかりと種が熟したら種を採取して下さい。
採取した種はとりまきですぐに蒔くか、翌春の3月に蒔きます。
種を保管する場合は、湿らせた川砂などに混ぜ、乾燥しないようにビニール袋などに入れて冷蔵庫で保管して下さい。
ハナズオウの種は表皮が硬く、そのままでは発芽率が低いです。
ヤスリなどで傷を付け、一晩給水させてから播種すると発芽率が上がります。
病気・害虫
病気の発生は特にありませんが、アメリカシロヒトリ、イラガなどの毛虫が発生することがあります。
発生した場合は、薬剤などで駆除して下さい。