ツゲとイヌツゲの違いが分かりますか?
葉の形や大きさが非常に似ているため、一見見分けるのが困難なように思われます。
非常によく似た樹木ですが、ツゲはツゲ科ツゲ属、イヌツゲはモチノキ科モチノキ属に分類されており、科、属ともに異なる植物。
ツゲは非常に成長が遅く硬く強度のある性質で、将棋の駒や櫛、算盤の珠や細工物などの材料として用いられる高級木材です。
対してイヌツゲは、成長が早く木材としては役に立たないということから「イヌ」の名を冠することになりました。
そんなイヌツゲですが庭木としては優秀です。
栽培が容易で刈り込みにも耐えるため、生垣やトピアリーによく利用されます。
生垣やトピアリーに植栽されていればイヌツゲに確定…であれば簡単なんですが、ツゲも同様に利用されることもあります。
また、盆栽や庭木として植栽されているイヌツゲが「ツゲ」と呼ばれることもあり、ヤヤコシイことこの上ない…!
そんなツゲとイヌツゲが簡単に見分けられる、両種の違いを解説していきます。
イヌツゲとツゲの違い
よく似たツゲとイヌツゲですが、ポイントさえ押さえれば容易に見分けがつきます。
花
ツゲの花
花期は3月~4月。
雌雄同株で淡黄色の花弁のない小さな花を付けます。
花は中心に雌花が1個あり、それを取り囲むように数個の雄花が密生します。
イヌツゲの花
▼イヌツゲの雄花
花期は初夏から秋。
白い花弁の小さな花を付けます。
雌雄異株で、雄花は花序に付き、雌花は単生します。
雄花には4本の雄しべがあり、雌しべは退化しています。
雌花には1個の雌しべと4個の雄しべがありますが、雄しべは退化して小さくなる傾向があります。
▼イヌツゲの雌花
果実
ツゲの果実
丸い果実の先には、雌しべの3本の花柱が角のように残るのが特徴です。
種が熟すと果実は3裂し、種が放出します(裂果)。
イヌツゲの果実
果実は丸く、角はありません。
皮に囲まれた果肉の中に種があります(核果)。
果実は秋になると黒く熟しますが、熟しても割れません。
葉
花も果実もない時期でも簡単に見分けることができます。
ツゲの葉
葉は対生です。
枝の同じ高さから向き合うように2枚の葉が出ます。
イヌツゲの葉
葉は互生です。
葉の出る位置が一枚ずつずれています。
まとめ
葉の形や大きさが似ているツゲとイヌツゲ。
遠目からでは判別が難しい両種ですが、近くで見ると大きな相違点があります。
公園などでも時々イヌツゲを「ツゲ」と表記しているのを見かけます。
そんな時は心の中で「それイヌツゲ」と呟いて下さい(笑)
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