- 学名…Ranunculus asiaticus L.
- 和名…ハナキンポウゲ(花金鳳花)
- 科名…キンポウゲ科
- 属名…キンポウゲ属
- 原産国…中近東~ヨーロッパ南東部
- 花色…赤、オレンジ、黄、白、ピンク、紫、緑、複色
- 草丈…20㎝~50㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 10
ラナンキュラスとは
ラナンキュラスは、ヨーロッパからアジア原産のキンポウゲ科キンポウゲ属の多年草です。
分布域はアジア南西部、ヨーロッパ東南部、およびアフリカ北東部の地中海沿岸部にあり、丘陵地帯の草原や牧草地を中心に自生しています。
美しい花を咲かせることから観賞用として古くから栽培されており、現在では1000種を超える園芸品種があると言われています。
和名はハナキンポウゲ。
キンポウゲ属の学名である「ラナンキュラス」の名前でよく流通します。
ラナンキュラスの花期は3月~5月。
花期になると、伸びた花茎の頂部に、花径3~15㎝の花を咲かせます。
花弁は10~15個、園芸品種では多数あるものも多くあります。
▼ラナンキュラスの花(園芸品種)
雄しべは多数あり、葯は暗紫色。
雌しべは雄しべの中心にあり、多数が集まって長卵形~円柱状になっています。
▼ラナンキュラスの雄しべと雌しべ
原種の花色は赤からピンク、黄色、白ですが、園芸品種ではオレンジ、紫、緑など、バラエティに富んだ花色がそろいます。
大輪品種、八重咲き、一重咲きの他、カーネーション咲きなどの品種もあります。
花色、花形ともにバリエーションが豊富です。
▼ラナンキュラスの様々な花
属名のラナンキュラスとはラテン語のラナ(rana)に由来しています。
ラナとはカエルを指し、ラナンキュラス属の多くの植物が湿地を好んで自生することから名付けられたものです。
ただし、多くの園芸品種の元となったアハナキンポウゲ(Ranunculus asiaticus)は水はけの良い環境を好みます。
根生葉は長い柄があり、三出複葉(さんしゅつふくよう)、いわゆる三つ葉で、縁に粗い鋸歯があります。
茎葉はほとんど柄が無く、羽状に細かく裂け、縁に鈍い鋸歯があります。
※葉の形は品種により異なります。
▼ラナンキュラスの葉の様子(茎葉)
茎は分枝しないものとするものがあり、それぞれの茎に1~数個の花を咲かせ、草丈20~50㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせたラナンキュラス
秋に球根を植えて春に花を咲かせ、夏には地上部を枯らせて休眠します。
高温多湿な環境を嫌うので、休眠中の球根は掘り上げて保管します。
冬場は霜に当たらないように、霜よけが必要です。
ラナンキュラスの育て方
栽培環境
日当たりの良い場所が適しています。
冬場に冷たい北風に当たると葉が傷んでしまうので、北風の当たらない場所で育てて下さい。
酸性土壌を嫌うので、植え場所にはあらかじめ苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
寒い時期に開花株を入手した場合は、霜の当たらない場所で管理して下さい。
室内に置く場合は、暖房の効いていないよく日の当たる場所で管理します。
冬越し
寒さにはあまり強くありません。
霜の心配がある場合は、霜の当たらない場所に移動するか、霜よけを設置して下さい。
寒冷地の場合は、室内での管理が基本になります。
室内では日の当たる場所で、やや乾燥気味に管理します。
ラナンキュラスはある程度の寒さに当たらないと花芽を付けません。
一日中暖房が効いているような場所には置かないで下さい。
3月頃になって暖かくなったら、徐々に外気に慣らして下さい。
水やり
庭植えの場合は、乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
鉢皿に溜まった水は捨てて下さい。
過湿な環境が続くと球根が腐りやすくなるので注意します。
肥料
庭植えの場合は、元肥として植え付け時に緩効性化成肥料を施します。
追肥は、10月~3月の期間に、緩効性化成肥料を月に1回程度、置き肥して下さい。
鉢植えの場合も同様で、元肥として緩効性化成肥料、追肥に緩効性化成肥料を置き肥します。
または、液体肥料を1~2週間に1回程度、施して下さい。
植え付け
適期は10月~11月です。
暑い時期に植えると球根が腐りやすいので、最高気温が20℃を下回るようになってから植え付ると失敗が少なくなります。
球根の吸水処理
販売されている球根や、保管していた球根は多くの場合カラカラに乾いています。
そのまま植え付けると急激に水を吸って腐ってしまうので、事前に吸水処理を施します。
軽く湿らせたバーミキュライト(川砂、おがくず、パーライトなどでも可)に球根を埋め、冷蔵庫など10℃以下の場所で1週間ほど吸水させます。
または、濡れタオルや湿らせたキッチンペーパーなどで球根を包み、さらにラップやビニール袋で包んで、同様に冷暗所で吸水させます。
吸水中は乾燥したり過湿になったりすると球根が腐ってしまうこともあるので、状態を時々チェックして下さい。
植え付け
庭植えの場合は、あらかじめ苦土石灰を土に漉き込んで土壌を中和しておきます。
さらに、腐葉土と緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
株間は10~20㎝程度、覆土は3㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に3~5球程度、覆土は3㎝程度です。
苗を入手した場合は、根鉢を崩さないように植え付けて下さい。
球根の掘り上げ、保管
花後に葉が黄色く枯れたら球根を掘り上げます。
葉茎は球根の付け根で切り取り、水洗いをしてから3日ほど天日干ししてしっかりと乾燥させます。
乾かした球根は紙袋などに入れて、涼しく乾燥した場所で保管して下さい。
花がら摘み
花が終わったら花がらを早めに摘み取って下さい。
放置していると、散った花弁が葉などに付着して病気が発生することがあります。
増やし方(分球、種まき)
分球と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
分球
掘り上げた球根を分球します。
あまり小さく分けず、絡まり合った塊根が折れないように手で分けて下さい。
種まき
親株と同じ花が咲くとは限りません。
種の採取
受粉すると雌しべが伸びて、種が出来ます。
開花後1~2か月で鞘が茶色く熟すので、鞘ごと切り取って乾燥させます。
乾燥させたら種を取り出して、紙袋などに入れ、さらに乾燥剤と一緒に密閉容器に入れて冷蔵庫で保管して下さい。
種まき
適期は10月頃です。
発芽温度は15℃前後で、20℃を超えるような気温だと発芽不良になります。
涼しくなってから播いて下さい。
種はポットや播種箱にまき、覆土は種が隠れる程度にごく薄く。
水を切らさないように管理したら、2~3週間で発芽します。
本葉が4~5枚程度になったらポット上げして下さい。
病気・害虫
灰色かび病
開花期にかかりやすい病気です。
枯れた花弁が葉に付着したり、頻繁に水がかかって乾かない状態が続くと発病しやすくなります。
こまめに花がらを摘み、株を清潔な状態に保つようにして予防に努めて下さい。
アブラムシ
葉や蕾に寄生して吸汁します。
見つけ次第、駆除して下さい。