低木 庭木

ソテツ

学名…Cycas revoluta
和名…ソテツ(蘇鉄)
科名…ソテツ科
属名…ソテツ属
原産国…日本、中国
花色…淡褐色
樹高…1m~3m
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:9 to 10

ソテツとは

ソテツ

ソテツは、日本、台湾、中国南部に分布するソテツ科ソテツ属の常緑低木です。
日本では九州の南端、南西諸島に分布しています。
自生地の北限は宮崎県都井岬で、国の特別天然記念物に指定されています。

ソテツは、古生代末から中生代にかけて繁栄した裸子植物の仲間で、生きている化石と呼ばれています。
ソテツ類には3科約300種の植物が分類されていますが、多くは東南アジアに分布しており、日本では本種が唯一の種となっています。

マメ科の植物は根粒菌との共生によって、空気中の窒素を栄養分として取り込むことが出来ますが、ソテツにも同様の共生関係があります。
ソテツの場合は、根にサンゴ状の根粒があり、そこに藍藻類(ランソウルイ)を共生させています。
藍藻類は根粒菌同様に、空気中の窒素を植物が取り込める栄養素であるアンモニアに変換し(窒素固定)、ソテツに供給しています。
このような窒素固定能の他、乾燥に強く強健な性質であることが、ソテツが古代から変わらぬ姿で生き残っている要因だと考えられます。

ソテツは、ヤシのような葉が美しい樹木です。
葉は幹の先端に40~100個、またはそれ以上が輪生します。
羽状複葉で、長さ70~140㎝、幅20~25㎝の楕円状披針形、60~150対の小葉が付きます。

▼ソテツの葉

ソテツの葉

小葉は長さ10~20㎝、幅0.4~0.7mmのやや幅のある線形で、先端が鋭く尖ります。
革質で光沢があり、縁は強く反り返ります。

▼ソテツの小葉

ソテツの小葉

ソテツの花期は5月~7月
雌雄異株で、成熟した株に花が付きます。
ソテツの花は、生殖のために変化した葉が集まって形成されています。
雄しべや雌しべ、花弁などはありません。

雄株には、松かさを長くしような花粉錐(カフンスイ)が幹の頂部に付きます。
花粉錐は30~60㎝の長さの円柱形で、淡黄色をしています。
※花粉錐は雄花と呼ばれることもあります。

▼ソテツの花粉錐

ソテツの花粉錐(雄花)

松かさの鱗片に当たる部分は小胞子葉(ショウホウシヨウ)と呼ばれます。
小胞子葉は綿毛で覆われており、裏側にはびっしりと葯が付いています。

▼ソテツの小胞子葉

ソテツの小胞子葉(雄花)

雌株には、大胞子葉(ダイホウシヨウ)が集まったドーム状のものが、幹の頂部に付きます。

▼ソテツの大胞子葉

ソテツの大胞子葉(雌花)

それぞれの大胞子葉は淡黄色~淡褐色で、羽状複葉の葉が縮んだような形をしています。
大胞子葉は綿毛で覆われており、葉柄に当たる部分の両側に、2~3個の胚珠が付きます。

大胞子葉は受粉期になるとゆるく開き、受粉期を過ぎると再びドーム状に重なります。

▼ソテツの大胞子葉

ソテツの大胞子葉(雌花)

種子は橙色~赤色の倒卵形~楕円形で、長さ3~5㎝、幅2.5~3.5㎝の大きさです。

▼ソテツの種子

ソテツの種子

ソテツの種子

幹はほとんど枝分かれせず、3m程度に成長します。
※大きく育つと8mになります。

耐寒性の高い樹木ではありませんが、防寒対策を施せば、本州中部以南の地域で育てることが出来ます。
窒素固定能のためやせ地でも育つ強健な性質です。
病害虫の発生もほとんどなく、育てやすい植物です。

ソテツの育て方

ソテツの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
じめじめした日当たりの悪い場所ではうまく育たないので注意して下さい。

冬越し

耐寒温度は-6℃程度ありますが、霜に当たると葉が傷みます。
低温や寒さの心配がある地域では、鉢植えにして室内に取り込むか、防寒対策を施します。

幹に藁を巻き、葉を新しいものを残して切り取り、残った葉を縛って同様に藁で巻きます。
ソテツの葉は鋭く尖っており、刺さると痛いので注意して下さい。

ちなみに中国地方管理人宅(最低気温-3℃、積雪無し)では、特に対策もせず毎年冬を越しています。
冬を越して傷んだ葉があれば、春に取り除いています。

水やり

庭植えの場合は、根付けば降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土がしっかりと乾いてからたっぷりと水やりをします。
冬場は乾燥気味に管理して下さい。

肥料

やせ地でも育つ植物で、肥料はほとんど必要ありません。

鉢植えの場合のみ、春に少量の緩効性化成肥料を株元に施して下さい。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は5月~9月です。
寒さに強い植物ではないので、植え付けは気温が高い時期に行います。

庭植えの場合は、根鉢の2~3倍の植穴を掘り、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込みます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて土を馴染ませて下さい。
幹が太いので、倒れないように支柱で支えます。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの配合土に、パーライトを1~2割ほど混ぜ込んで、用土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合は、根鉢がいっぱいになっているようなら植え替えを行います。
植え替えの適期は、春から初夏です。

一回り大きな鉢に、新しい用土で植え付けて下さい。

剪定

古くなって枯れてきた葉を切り取って下さい。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。

株分け

株元に子株ができるので、切り離して植え付けて下さい。
適期は春から初夏です。

種まきについては、下記種まきの項目を参照下さい。

種まき

種の採取

雌株に花が付き、受粉すれば種子が出来ます。
ソテツの種子は受粉した年には発芽能力を有するまで成熟しません。
種子を採取してから成熟させる方法もありますが、ある程度種子が成熟する翌年の春に採取する方法がオススメです。

種子を採取したら、オレンジ色の果肉を取り除きます。
果肉はそのままでは硬いので、数日間水に浸してから取り除きます。
※水は毎日交換します。

種をすぐに蒔かない場合は、しっかりと乾燥させ、涼しく乾燥した場所で保管します。
種は数カ月間、保管することが出来ます。
その場合は、種まきの前に1~2日間、給水を行って下さい。

種まき

発芽まで時間がかかるため、種まき用土は清潔なものを使用します。
鉢や播種箱に蒔きますが、ソテツの根はまっすぐ下に伸びるので、12~15㎝程度の深さのあるものを用意します。

湿らせた用土に種を寝かせた状態で置き、2/3程度が埋まるように軽く押し込みます。
発芽温度は25℃以上です。

発芽は早ければ7月頃になります。
発芽までは、用土が乾いたら水やりを行って下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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