多年草・宿根草

ジンジャーリリー

  • 学名…Hedychium
  • 和名…シュクシャ(縮紗)、ハナシュクシャ(花縮紗)
  • 別名…ジンジャー
  • 科名…ショウガ科
  • 属名…シュクシャ属
  • 原産国…熱帯~温帯アジア、マダガスカル
  • 花色…白、オレンジ、黄、赤、ピンク、複色
  • 草丈…80㎝~200㎝
  • 日照…日なた(夏場は半日蔭)
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:8 to 10

ジンジャーリリーとは

ジンジャーリリー(ハナシュクシャ)

ジンジャーリリーは、ショウガ科ハナシュクシャ属の多年草です。
ハナシュクシャ属は、熱帯から温帯アジア、マダガスカルに約50種が分布しており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培れさています。
主に栽培されるのは、ハナシュクシャ(Hedychium coronarium)とベニバナハナシュクシャ(Hedychium coccineum)ですが、種間交雑によって作出された園芸品種も流通しています。

日本へは江戸時代末期に薬用として渡来し、独特の美しい花を咲かせるため観賞用として栽培されるようになりました。
現在流通する数多くの園芸品種は、香川県の育種家小山実一氏の手によるもので、100種以上の品種が作出されています。

ジンジャーリリーは単に「ジンジャー」とも呼ばれます。
ジンジャーとは生姜の英名ですが、園芸界ではショウガ科ハナシュクシャ属の植物を指すことが一般的です。
生姜はショウガ属でジンジャーリリーとは別属になりますが、ジンジャーリリーにも、葉や茎、根にショウガのような匂いがあります。
ただし、食用としては利用されません。
※一部薬用として栽培される品種もあります。


ジンジャーリリーの花期は8月~10月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、花を咲かせます。
花序は長さ15~30㎝程度、1個~多数の花が穂状に付きます。

▼ジンジャーリリーの花序の様子

ジンジャーリリーの花序

花序には苞(ほう)が瓦状に重なり、または緩く付きます。

※苞(ほう)…花序や花の基部に付く特殊化した葉のこと。苞葉(ほうよう)とも呼ばれる。

▼ジンジャーリリー(ハナシュクシャ)の苞の様子

ジンジャーリリーの花序の苞

花は直径6~8㎝の大きさで、花被片(かひへん)は6個。
花筒部分は細く、長さ6~8㎝。

※花被片(かひへん)…萼片と花弁を合わせて花被片と呼び、その全体を花被と呼ぶ。
萼片と花弁が類似する、あるいはほとんど区別できない場合に用いられる。
内外2列になっている場合、外側にあるものを外花被(がいかひ)、内側を内花被(ないかひ)と呼ぶ。

▼ジンジャーリリー(ハナシュクシャ)の花

ジンジャーリリーの花

白く目立つのは内花被片で、仮雄しべが花弁状に変化したものです。
中央花被片は2個の仮雄しべが合着して形成されており、凹形で唇弁とも呼ばれます。
左右の花被片は楕円形です。

※仮雄しべ…花粉を作る力を失った雄しべのこと。
雌雄異花の雌花でよく見られる。

▼ジンジャーリリー(ハナシュクシャ)の内花被片

ジンジャーリリーの内花被片

外花被片は3個あり、ひも状で咲き進むと垂れ下がります。

▼ジンジャーリリーの外花被片

ジンジャーリリーの外花被片

雄しべは合着して筒状となっており、長く突出します。
雄しべ筒の中に雌しべがあり、葯の先端から柱頭が出ます。

▼ジンジャーリリーの雄しべと雌しべ

ジンジャーリリーの雄しべと雌しべ

花色は白、オレンジ、ピンク、赤、複色。
強い芳香を持つ品種もあり、庭に甘い香りを漂わせます。

▼黄色い花を咲かせるジンジャーリリー

黄色の花を咲かせるジンジャーリリー

果実は球形の蒴果(さくか)。
熟すと裂け、赤い種子が顔を出します。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ジンジャーリリーの果実

ジンジャーリリーの果実

日本で結実することは非常に稀です。


葉は互生し、先の尖った長楕円形~披針形です。
花序を伸ばして草丈80~200㎝程度に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるジンジャーリリー(ベニバナハナシュクシャ)

たくさんの花を咲かせるジンジャーリリー

熱帯植物で寒さにはやや弱い性質ですが、マルチングなどの防寒対策を施せば暖地での冬越しは可能です。
冬場は地上部を枯らし休眠します。

ジンジャーリリーの主な品種

ハナシュクシャ(Hedychium coronarium)

ハナシュクシャ

インド、タイ、ネパールなど東南アジアに分布するジンジャーリリーです。
草丈1~2m程度に成長し、白い花を咲かせます。
ホワイトジンジャーとも呼ばれます。

ベニバナハナシュクシャ(Hedychium coccineum)

ベニバナハナシュクシャ

中国南部、インド、ヒマラヤ、インドシナ半島などに分布するジンジャーリリーです。
草丈1~1.5m程度に成長し、赤からオレンジ、黄色などの花を咲かせます。
花には強い芳香があります。

キバナシュクシャ(Hedychium gardnerianum)

キバナシュクシャ

インド、ネパール、ブータンのヒマラヤ地方に分布するジンジャーリリーです。
淡い黄色の花弁に赤い雄しべが特徴で、草丈1.5~2m程度に成長します。
花には強い芳香があり、花序は大きなものだと50㎝にも及びます。

他にも数多くの園芸品種が流通しています。

ジンジャーリリーの育て方

ジンジャーリリーの育て方

栽培環境

日当たりが良く肥沃な土壌を好みます。
乾燥には弱い性質なので、保水力のある土地で、夏の間は午後から日陰になるような場所が適しています。

夏越し、冬越し

夏越し

夏場の乾燥を嫌います。
鉢植えの場合は、午後から日陰になるような半日蔭の場所で管理します。
庭植えの場合は、乾燥しすぎるようなら株元に敷き藁や腐葉土を被せて乾燥から守って下さい。

冬越し

暖地の場合は、地上部が枯れたら地際から刈り取って、盛り土をしたり敷き藁や腐葉土で覆い、防寒対策を施して下さい。
その他の地域の場合は、掘り上げるか室内で管理した方が安全です。
球根の掘り上げは葉が黄色く変色し始めた頃に行います。
掘り上げた球根は、湿らせたバーミキュライトやおがくずなどに埋めて、凍らない場所で保管して下さい。
大きな根が邪魔になるかも知れませんが、古い根は切り落とさずそのまま保管します。

水やり

庭植えの場合は、雨が降らず乾燥が続くようなら水やりを行います。
休眠中の株には水やりの必要はありません。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
休眠中は乾かし気味に管理します。

肥料

庭植えの場合は、元肥として用土に堆肥や腐葉土を多めに混ぜ込んでおきます。
追肥は5月~10月の生育期に、緩効性化成肥料を月に1回程度、置き肥します。

鉢植えの場合も同様に、生育期の間は緩効性化成肥料の置き肥をして下さい。

植え付け、植え替え

適期は4月~5月です。

植え付け

庭植えの場合は、株間30~40㎝、覆土は球根の頂部から3㎝程度で植え付けます。

鉢植えの場合は大きく育つので、最低でも6号鉢以上の大きさの鉢に、5㎝程度の覆土で植え付けて下さい。
鉢が小さいと成長が阻害されて花が咲かないことがあります。

植え替え

庭植えの場合は、株が増えているようなら4~5年に一度、分球を兼ねて植え替えを行います。
鉢植えの場合は毎年植え替えを行って下さい。
いずれの場合も、掘り上げた球根は根を切ったりせず、乾かさないように速やかに植え付けて下さい。

花茎切り

花が終わったら花茎を切り取ります。
放置しておくと結実して、養分が種に取られてしまいます。
翌年のためにも球根にしっかりと養分がいくように、終わった花茎は切り取って下さい。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ます。

分球

適期は4月~5月です。
球根を掘り上げて、1つの球根に2~3芽が付くようにナイフ等で切り分けて植え付けて下さい。

病気、害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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