一年草・二年草

アグロステンマ

  • 学名…Agrostemma githago L.
  • 和名…ムギセンノウ(麦仙翁)
  • 別名…ムギナデシコ
  • 科名…ナデシコ科
  • 属名…ムギセンノウ属
  • 原産国…地中海沿岸地域
  • 花色…ピンク、白
  • 草丈…60㎝~90㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 10

アグロステンマとは

アグロステンマは、地中海沿岸地域に分布するナデシコ科ムギセンノウ属の一年草です。
アグロステンマの名前はムギセンノウ属(Agrostemma)の学名が流通名として定着したものです。

ムギセンノウ属にはユーラシア大陸分布する2種の植物が分類されていますが、観賞用として栽培されるのは地中海東部地域を原産とするムギセンノウ(Agrostemma githago)です。

ムギセンノウは、強健な性質と旺盛な繁殖力で、自生地では麦畑の雑草として認知されており、あまり栽培されることはありません。
現在ヨーロッパではやや減少傾向にありますが、世界の広い地域で帰化植物として定着しています。

学名である「アグロステンマ」は、ラテン語の「agros(畑)」+「stemma(王冠)」から来た合成語で、「畑に美しく咲く」という意味を持っています。

日本へは明治10年に渡来しています。

ここではムギセンノウをアグロステンマとして紹介しています。


アグロステンマの花期は5月~6月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、直径3~5㎝の花を多数咲かせます。
花序はゆるい集散花序。

▼アグロステンマの花

花弁は5個。
長さ1.4~1.8㎝で、中心部が白く外側のピンク色へとグラデーションになり、3~5本の筋が入ります。

▼アグロステンマの花弁

雄しべは10個、雌しべの花柱は5個。

▼アグロステンマの雄しべと雌しべ

花色は基本種のピンクの他、白、紫。
純白から淡いピンク、赤紫の品種などが流通しています。
大輪種は花径5~8㎝の大きな花を咲かせます。

▼白い花を咲かせるアグロステンマ


果実は長さ1.2~1.8㎝の卵形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

種子は長さ2.5~3㎜の卵形~腎形で黒く熟します。
種子の表面には細かい突起が密生しています。

▼アグロステンマの種子


葉は対生し、長さ4~13㎝、幅0.5~1㎝の線形~線状披針形です。

▼アグロステンマの葉の様子

葉茎には細かい毛が密生しているため、やや白味を帯びます。
茎は直立し、草丈60~90㎝程度に成長します。
草姿はナデシコに似ていますが、草丈がかなり高くなります。

▼たくさんの花を咲かせるアグロステンマ

丈夫で育てやすい植物で、放任でもよく花を咲かせます。
関東以西の平地では、防寒対策無しで冬越し可能です。
こぼれ種でもよく増えます。

アグロステンマの育て方

アグロステンマの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。

弱アルカリ性の土壌を好みます。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。

冬越し

関東以西の平地であれば、そのまま戸外で冬越し可能です。
苗が小さい場合は、霜柱で根が持ち上げられることがあります。
そのままだと株が弱ってしまうので、株元を押さえて元に戻しておいて下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
やや乾燥気味の環境を好みます。
水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

やせ地でもよく育つ植物で、多肥な環境では草姿が乱れます。

庭植えの場合は、肥料は必要ありません。
鉢植えの場合は、植え付け時と春先に少量の緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

植え付け

適期は10月~12月、3月~4月です。

弱アルカリ性の土壌を好みます。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
水はけが悪い場所では、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を整えて下さい。
株間は30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。

種まき

適期は9月~10月です。
寒冷地では春の3月~4月に蒔きます。

発芽率が高いので、種は花壇や鉢に直まきがオススメです。
20~30㎝の間隔に4~5粒ずつまいて下さい。
発芽温度は20℃前後で、覆土は種が隠れる程度。
発芽後に間引きます。

支柱立て

気温が上がり始めると急激に大きくなります。
必要な場合は、早めに支柱を立てて下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

花後に種が出来きます。
膨らんだ果実が茶色く変色してカラカラに乾いたら、中の種が熟しているので採取して下さい。
採取した種は、封筒などに入れて冷暗所で保管します。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

病気・害虫

新芽や蕾にアブラムシが発生することがあります。
見つけ次第、駆除して下さい。

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