- 学名…Passiflora L.
- 和名…トケイソウ(時計草)
- 科名…トケイソウ科
- 属名…トケイソウ属
- 原産国…熱帯アメリカ、アジア、オーストラリア
- 花色…紫、白、ピンク、黄、赤
- 草丈…3m以上(つる性)
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:6 to 11
トケイソウとは

トケイソウは、トケイソウ科トケイソウ属のつる性の多年草です。
トケイソウ属には約520種の植物が分類されており、熱帯アメリカ、熱帯アジアを中心に分布しています。
その中で美しい花を咲かせるいくつかの種が「トケイソウ」として流通しています。
トケイソウは、狭義ではパッシフローラ・カエルレア(Passiflora caerulea)の和名ですが、トケイソウ属の総称として用いられることの方が一般的です。
ここでは広い意味での「トケイソウ」であるトケイソウ属の植物について紹介しています。
トケイソウの花期は品種により異なりますが、主に7月~9月。
花期になると、伸びたツルの葉の付け根から花柄を伸ばし、花径6~15㎝程度の花を咲かせます。
時計の文字盤のように見える、ユニークな形の花が特徴です。
▼トケイソウの花

花は外側から、萼片、花弁、副花冠(ふくかかん)、雄しべ、雌しべで構成されています。
※副花冠(ふくかかん)…花被や花冠の内側にある弁状、または花冠状の付属物。スイセンなどに見られる。
▼トケイソウの萼片と花弁

萼片は5個あり花弁状です。
花弁は5個。
▼トケイソウの副花冠

副花冠は花弁の基部にあり、糸状。
形状は品種により異なります。
狭義のトケイソウ(Passiflora caerulea)では4列あり、外側2列が長く、内側2列は短くなっています。
▼トケイソウの雄しべと雌しべ

雄しべ、雌しべは短い柄に付きます。
雄しべは5個あり、葯は楕円形。
雌しべの花柱は3個あり、柱頭は頭状です。
果実は卵形~楕円形の液果(えきか)。
※液果(えきか)…果皮の一部が多肉質、または液質(果肉)となる果実。多肉果(たにくか)とも呼ばれる。
甘酸っぱいゼリー状の果実が美味なパッションフルーツは、クダモノトケイソウ(Passiflora edulis)の果実です。
▼クダモノトケイソウの果実

葉は品種により形が異なり、掌状のもの、楕円形のものなどがあります。
▼トケイソウ(Passiflora caerulea)の葉

熱帯植物ですが、品種によっては耐寒性の高いものもあり、庭植えにすることも可能です。
あんどん仕立てにしたり、フェンスに絡めたり、緑のカーテンとしても利用されます。
トケイソウの主な品種
非常に多くの品種が流通しています。
トケイソウ(パッシフローラ・カエルレア:Passiflora caerulea)

南アメリカ・アルゼンチン、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、ブラジルに分布しています。
日本には江戸時代に渡来し、現在でも栽培されています。
耐寒温度は-15℃程度と寒さに強く、庭植えでの栽培が可能です。
つるは10m以上に伸び、花径10㎝程度の美しい花を咲かせます。
品種 ‘クリアースカイ’ がよく栽培されています。
こちらの果実も食べることが出来ます。
クダモノトケイソウ(Passiflora edulis)

南アメリカ・ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ原産のトケイソウです。
つるは6m以上に伸び、花は直径4~7㎝。
果実はパッションフルーツと呼ばれ、食用にされます。
ブラジルトケイソウ(パッシフローラ・アラタ:Passiflora alata)

南アメリカ・アルゼンチン北東部、ブラジル、エクアドル、パラグアイ、ペルー原産のトケイソウです。
つるは6m以上に成長し、花は直径10~12㎝。
こちらも果実が食用になります。
コンスタンス・エリオット(Passiflora caerulea ‘Constance Eliott’)

パッシフローラ・カエルレアの園芸品種です。
花径8~9㎝程度の白い花を咲かせます。
耐寒温度は-15℃程度で、こちらも庭植え可能です。
アメジスト(Passiflora ‘Amethyst’)

紫の花が美しく、長期間花が楽しめます。
耐寒温度は-5℃程度です。
インセンス(Passiflora ‘Incense’)

花径10㎝~12㎝で、花には香りがあります。
夏咲きの品種の代表で、育てやすい品種です。
耐寒温度は-8℃程度です。
ピレシー(Passiflora ‘Piresii’)

花径10㎝~12㎝の赤い花が美しい品種です。
耐寒温度は10℃程度で、寒さに弱い性質のため、冬場は室内での管理が基本になります。
キトリナ(Passiflora citrina)

エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス原産のトケイソウです。
耐寒温度は5℃程度で、こちらも冬場は室内での管理が基本になります。
花径3㎝~5㎝で、黄色い花が特徴です。
他にも数多くの品種が流通しています。
トケイソウの育て方

栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
暑さに強い品種が大半ですが、中には夏の暑さを嫌う品種もあります。
夏場に生育が悪くなるようなら、暑さの厳しい時期は半日陰の場所に移動して管理して下さい。
冬越し
耐寒性は品種よって異なります。
寒さに強い品種であれば、戸外での冬越しが可能です。
鉢植えの場合は、北風の当たらない暖かい場所に移動します。
庭植えの場合は、株元を敷き藁などで覆って、防寒対策を施して下さい。
寒さに強い品種であっても、霜に当たると多くの場合は落葉します。
気になるようであれば、霜よけを設置して下さい。
落葉しても夏にはしっかりと茂ります。
寒さに弱い品種の場合は、室内での冬越しになります。
室内では日当たりの良い場所に置き、やや乾燥気味に管理して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植え、鉢植えともに、4月~10月の生育期に、緩効性化成肥料や骨粉入りの油粕などの有機肥料を定期的に施して下さい。
植え付け、植え替え
適期は4月~6月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
根詰まりを起こすと、生育が悪くなり枯れることがあります。
鉢植えの場合は、1~2年に一度は必ず植え替えを行って下さい。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。
切り戻し、剪定
春の生育に入る前(4月頃)に、枯れたつるは切り取って下さい。
伸び過ぎたつるも切り戻して整理します。
トケイソウの花は新しく伸びたつるに咲きます。
つるが伸び始めたら先を何度か切り戻すことで、枝数が増えてたくさんの花を咲かせます。
あまり強く切り戻すとつるが伸びないことがあるので、剪定はつるの先端から1/3程度までに留めます。
つるの誘因
放っておくと、つるが四方に伸びて絡まります。
1~2週間に一度は誘因作業を行って下さい。
増やし方(挿し木、種まき)
挿し木と種まきで増やすことが出来ます。
挿し木
適期は5月~7月です。
枝を2節ほどの長さで切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
種まき
適期は5月、8月~9月です。
発芽温度は25℃前後です。
種を包んでいるゼリー状の部分には、発芽を抑制する成分が含まれています。
水洗いをして、しっかりと取り除いて下さい。
種は播種箱かポットにまき、覆土は種が隠れる程度に軽く。
乾かさないように管理すれば、1週間~1か月程度で発芽します。
播種箱にまいた場合は、本葉が2~3枚程度になったらポット上げして下さい。
ポットに根が回ったら定植します。
病気、害虫
ハダニ
初夏にハダニが発生することがあります。
被害が拡大する前に薬剤などで対処して下さい。
アブラムシ
新芽にアブラムシが発生することがあります。
見つけ次第、駆除して下さい。
カイガラムシ
枝が混みすぎて風通しが悪いとカイガラムシが発生します。
混みすぎた枝は間引き、風通しの良い環境で育てて下さい。