和名…オオアラセイトウ(大紫羅欄花)
別名…ムラサキハナナ(紫花菜)、ショカツサイ(諸葛菜)、ハナダイコン(花大根)
科名…アブラナ科
属名…オオアラセイトウ属
原産国…中国
花色…紫
草丈…40㎝~60㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:7 to 10
ムラサキハナナとは
ムラサキハナナは、中国原産のアブラナ科オオアラセイトウ属の一年草です。
分布域は中国東部から中部にかけて広がっており、道ばたや森林、畑や丘陵など、日当たりの良い場所を好んで自生しています。
美しい花を咲かせ、葉や花が食用になることから、世界の広い地域で栽培されるようになり、現在では逸出したものが野生化し、ヨーロッパ南部を中心に帰化植物として定着しています。
日本には17世紀に渡来していますが、各地で広く栽培されるようになったのは、第二次大戦後のことです。
強健な性質でこぼれ種でもよく繁殖することから、同様に各地で野生化したものが見られます。
ムラサキハナナの花期は3月~5月。
花期になると、分枝して伸びた茎の先に総状花序を出し、花径2~3㎝程度の花を多数咲かせます。
花は淡い紫色の4枚の花弁を持ち、中心には黄色い雄しべが6本と1本の雌しべがあります。
▼ムラサキハナナの花
花は花期の後半になると徐々に色が薄くなっていきます。
十字形の花に派手さはありませんが、群生している様子は美しいものです。
▼ムラサキハナナの群生
根生葉と下部の葉は、羽状で深い切れ込みを持ち、上部の葉は長楕円形または倒卵形になります。
若い葉は食用になるため、中国北部では野菜として栽培されています。
▼ムラサキハナナの葉
こぼれ種でもよく増えるくらいで、種まきからの栽培も容易です。
耐寒性にも優れ、丈夫で育てやすい植物です。
ムラサキハナナの名前の由来
「ムラサキハナナ」の名前は、黄色い花を咲かせる「ハナナ(菜の花)」に対して、紫の花を咲かせることに由来しています。
花は菜の花によく似ており、菜の花の紫花品種と思っている方もいるかもしれませんが、菜の花はアブラナ科アブラナ属、ムラサキハナナはアブラナ科オオアラセイトウ属に分類されており、同じアブラナ科ですが属の異なる植物です。
ムラサキハナナは他にも多くの名前で呼ばれています。
▼オオアラセイトウ
和名の「オオアラセイトウ」は大きいアラセイトウ(ストック)という意味で、花姿が一重咲きのストックに似ていることに由来しているのではないかと思われます。
※詳細は不明です。
▼ショカツサイ(諸葛菜)
別名の「ショカツサイ(諸葛菜)」は、三国志で有名な諸葛亮公明が、軍隊の食料として本種を栽培させたことに由来しています。
※別種の可能性あり
▼ハナダイコン
「ハナダイコン」の名前は、花が美しく、葉が大根の葉に似ていることに由来しています。
「ハナダイコン」の名前は広く浸透していますが、花が良く似た同科ハナダイコン属の植物の正式名称であるため、混乱している場合が多々あります。
ムラサキハナナの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
半日蔭でも育ち花を咲かせますが、徒長してしまいます。
出来れば日当たりの良い場所で育てて下さい。
やせ地でもよく育つ植物で、特に土質は選びません。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
冬の寒さに当たって花芽が形成されます。
防寒対策をせず、戸外で管理して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
やせ地でも育つ植物で、肥料はほとんど必要ではありません。
多肥な環境で育つと、徒長して花付きも悪くなるので注意して下さい。
植え付け
適期は9月~11月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
株間は20㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土を使います。
種まき
適期は9月~10月です。
寒冷地の場合は、8月中旬~9月頃にまいて下さい。
※冬の寒さに当たって花芽が形成されるので、寒冷地であっても秋まきが基本です。
種は播種箱に蒔くこともできますが、直まきがオススメです。
花壇や鉢に種が重ならないように注意してバラまき、覆土は2㎜程度。
たっぷりと水やりをし、発芽までは乾かさないように管理します。
発芽したら間引きながら育てて下さい。
播種箱にまいた場合は、本葉が4~5枚になったら定植して下さい。
増やし方(種まき)
種まきで増やすことが出来ます。
こぼれ種でもよく増えます。
種の採取
花後にサヤが出来ます。
サヤが茶色く変色したら、中の種が熟しているので採取して下さい。
採取した種は涼しい場所で保管して下さい。
種まきについては上記「種まき」の項目を参照ください。
病気・害虫
ハモグリバエ
幼虫が葉の内部を蛇行して食害します。
発生すると、食害された部分の色が抜け、白く絵を描いたよう見えます。
害虫は食害跡の先端に潜んでいるので、押しつぶして駆除します。
ムラサキハナナに多発する害虫なので、気になる場合はあらかじめオルトラン粒剤をまいて、発生を予防して下さい。