和名…スズラン(鈴蘭)
別名…キミカゲソウ(君影草)
科名…キジカクシ科
属名…スズラン属
原産国…ヨーロッパ、東アジア、北アジア
花色…白、ピンク
草丈…15㎝~20㎝
日照…半日蔭
難易度…
USDA Hardiness Zone:3 to 8
スズランとは
スズランは、ヨーロッパ、東アジア、北アジアに分布するキジカクシ科スズラン属の多年草です。
日本ではキミカゲソウ(君影草)の別名を持つ日本原産種(Convallaria keiske)が、主に本州中部以北の高地で自生しています。
園芸的に普及しているのは、ヨーロッパ原産のドイツスズラン(C. majalise)で、日本原産種に比べると全体的に大型なのが特徴です。
スズランの花期は4月~5月。
花期になると、葉の間から細い花茎を長く伸ばし、茎の上部に花序を出し、白い花を数輪咲かせます。
花は花径0.6~1.5㎝程度の釣り鐘状で、花弁の先は6裂して小さく反り返ります。
釣り鐘状の花弁の中には6本の雄しべと1本の雌蕊があり、花には芳香があります。
基本種の花色は白ですが、園芸品種にはピンクの花を咲かせるものもあります。
▼スズランの花の様子
花後には径1㎝弱の丸い果実がを実らせ、果実は熟すと赤く色付きます。
▼スズランの果実
葉は先の尖った長楕円形で、地際は筒状に巻いています。
冬は地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。
▼スズランの葉の様子
耐寒性に優れており、半日蔭程度の日照でも十分に育ちます。
病害虫の心配もほとんどなく育てやすい植物ですが、暑さは苦手です。
暖地向きの植物ではありません。
※ユリ科またはスズラン科で分類されることもあります。
スズランの毒性
スズランには全草に強い毒性があります。
強心配糖体のコンバラトキシンやコンバラマリンなどが含まれており、摂取すると嘔吐や頭痛、血圧低下、心不全や心臓麻痺などの強い中毒症状を引き起こします。
特に花や根の部分には多くの有毒成分が含まれており、誤食によって中毒症状を起こす事例が見られます。
山菜として有名なギョウジャニンニクと草姿が似ているため、注意が必要です。
スズランのドイツ語名は「天国への階段(Ladders to Heaven)」ですが、強い毒性に由来するものではなく、階段状に咲く美しい花の様子から付けられたものです。
スズランの主な品種
ドイツスズラン(Convallaria majalis)
一般的に「スズラン」として流通している品種です。
ヨーロッパ原産の植物ですが、美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、現在では北米の一部の地域で帰化植物として定着しています。
葉は幅広で、花茎を葉と同じ位の高さまで伸ばして花を咲かせます。
花には強い芳香があります。
園芸品種も多く、ピンク花の品種や、葉に黄色い縞模様が入る斑入り品種などがあります。
スズラン(C. keiskei)
主に本州の中部以北、東北、北海道の高地に自生するスズランです。
ドイツスズランの変種とされており、全体的に小ぶりで、花が葉より低い位置で咲くのが特徴です。
ドイツスズランに比べると高温多湿に弱い性質です。
スズランの育て方
栽培環境
自生地は樹木の下などの木漏れ日が差し込む半日蔭の場所です。
ある程度の耐陰性はありますが、暗い日陰だと花付きが悪くなります。
多くの花を咲かせるためには、ある程度の日照が必要です。
午前中に日が当たり午後からは日陰になるような半日蔭の場所、または木漏れ日が差し込む明るい日陰の場所などが適しています。
水はけの良い環境を好むので、そのような環境で育てて下さい。
庭植えの場合は、夏場に半日蔭になる落葉樹の下などが適しています。
冬越し、夏越し
冬越し
耐寒性に優れており、特に対策の必要はありません。
夏越し
高温多湿の環境を嫌います。
鉢植えの場合は、夏場は風通しの良い日陰の場所で管理して下さい。
特にニホンスズランは暑さを嫌い、強い日差しを浴びると葉焼けを起こしてしまうので注意して下さい。
水やり
極端な乾燥を嫌います。
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬場は地上部が枯れていますが、完全に乾かしてしまわないよう、時々水やりをして下さい。
肥料
庭植え、鉢植え共に、植え付けの際に元肥として、緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は花後の6月上旬頃に、緩効性化成肥料を株元に施すか、液体肥料を施します。
植え付け、植え替え
適期は秋の10月~11月、春の3月~4月上旬です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土や堆肥をしっかりと混ぜ込んで、水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
株間は15㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・軽石1などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
放っておくと株が込み合って、生育が悪くなります。
鉢植えは2~3年に一度、庭植えの場合は4~5年に一度、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
花がら摘み
花が咲き終わったら、花茎の付け根の部分から切り取って下さい。
増やし方(株分け)
株分けで増やすことが出来ます。
株分け
適期は植え替え時の10月~11月、3月~4月上旬です。
地下茎が長く伸びて、増えていきます。
掘り上げた地下茎を4~5芽が付くように切って、株分けを行って下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。