多年草・宿根草

ゲラニウム

学名…Geranium
和名…フウロソウ(風露草)
別名…ゲラニューム
科名…フウロソウ科
属名…フウロソウ属
原産国…ユーラシア大陸、北米など
花色…ピンク、白、紫、ブルー
草丈…10㎝~60㎝
日照…日なた(夏場は日陰)
難易度…星
USDA Hardiness Zone:品種による

ゲラニウムとは

ゲラニウム

ゲラニウムは、世界に広く約422種が分布するフウロソウ科フウロソウ属の植物です。
その形態には一年草~二年草、多年草があり、世界の温帯地域、熱帯の山地など、広い地域に分布が見られます。
美しい花を咲かせる種が数多くあり、観賞用として世界で広く栽培されています。

ゲラニウムの花期は、4月~6月。
※品種によってやや異なります。

花期になると、細かく分枝した茎の頂部、または葉の付け根から花柄を伸ばし、花径2~5㎝程度の花を咲かせます。
花は5枚の花弁を持ち、花弁には多くの場合、筋状の模様が入ります。
花弁は丸いものからハート形、尖ったものなど、品種により異なります。
花色はピンク、白、紫、ブルー。

▼ゲラニウムの花

ゲラニウム

花後には、鳥のくちばしのような形をした果実が実ります。
※果実の形は品種によって異なる場合があります。

▼ゲラニウムの果実

ゲラニウムの果実

この果実は5つの果実から形成されており、中の種が熟すと鞘が巻き上がって種をこぼします。
ゲラニウムの名前は、ギリシャ語で鶴を意味する「géranos」を語源としており、この果実に由来しています。

▼ゲラニウムの巻き上がった果実

ゲラニウムの果実

葉は掌状に深裂し、葉柄を持ちます。
茎は分枝しながら花を咲かせ、草丈10~60㎝程度に成長します。

▼ゲラニウムの葉の様子

ゲラニウムの葉

耐寒性は高い植物ですが、全般的に暑さにやや弱い性質です。
ある程度の耐暑性がある品種もあるので、暖地の場合は暑さに強い品種を選んで育てて下さい。
寒冷地では放任でも良く育ち、よく花を咲かせます。

ゲラニウムとゼラニウムの違い

ゲラニウムとはフウロソウ属(ゲラニウム属)の属名ですが、酷似した名前を持つ植物にゼラニウムがあります。
両種共に英語表記にすると「Geranium」となり、「Ge」を「ゲ」と読むか「ゼ」と読むかの違いとなっています。

これは、現在ゼラニウムと呼ばれている植物がかつてフウロソウ属(ゲラニウム属)に分類されており、属名が流通名として定着したためです。
ゼラニウムは現在テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)に分離されています。
当時はゼラニウム、またはゲラニウムと呼ばれていましたが、近年テンジクアオイ属の植物は「ゼラニウム」または「ペラルゴニウム」と呼ばれるようになっています。

フウロソウ属の植物は「ゲラニウム」または「○○フウロ」と呼ばれています。

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ゲラニウムの主な品種

流通する品種は多年草です。

アケボノフウロ(geranium sanguineum)

ゲラニウム(アケボノフウロ)

USDA Hardiness Zone:3 to 8

ヨーロッパから温帯アジアにかけて分布するゲラニウムで、主に石灰質土壌の斜面や丘陵、森林地帯の開けた場所などに自生しています。
世界で最も普及しているゲラニウムの一種で様々な品種の元となっています。

葉は掌状に5~7裂し、裂片がさらに2~3裂しています。
茎はよく分枝して草丈15~25㎝程度に成長します。
株は横に広がるように伸び、花径4㎝程度の花を咲かせます。
原種の花色はピンクですが、白や紫色の花を咲かせる園芸品種もあります。

ゲラニウムの中では比較的耐暑性が高く、暖地でも育てやすい品種です。

ゲラニウム・プラテンセ(ノハラフウロ:Geranium pratense)

ゲラニウム・プラテンセ(ノハラフウロ)

USDA Hardiness Zone:4 to 8

北ヨーロッパ、中央アジア、中国などに分布するゲラニウムで、草原や牧草地などに自生しています。

根生葉は掌状に7~9裂し、裂片がさらに細裂します。
茎は分枝しながら真っ直ぐに伸び草丈60~100㎝程度に成長します。
花径4㎝前後の淡紫色~ブルーの花を咲かせます。
銅葉の品種なども流通しています。

ゲラニウム・ヒマライエンセ(Geranium himalayense)

ゲラニウム・ヒマライエンセ

USDA Hardiness Zone:4 to 8

チベット、アフガニスタン、インド北部、ネパールの亜高山帯~高山帯に分布するゲラニウムです。

草丈30~40㎝程度に成長し、花径4㎝程度の花を咲かせます。
花は青紫色で、花弁には濃い色の筋模様が入り、基部が白くなります。

ゲラニウム・ピレナイクム(Geranium pyrenaicum)

ゲラニウム・ピレナイクム

USDA Hardiness Zone:5 to 9

ヨーロッパ西部および南部に分布するゲラニウムで、草原や牧草地、森林の開けた場所などに自生しています。
観賞用として栽培されていたものが逸出し、現在では北アメリカ、日本の北海道などで野生化しています。

葉は掌状に5~7裂し、裂片は浅く裂けます。
茎は分枝しながら30~70㎝程度に成長します。
花径2㎝前後の小さな花を付け、花弁は先端に切り込みが入ったハート形です。
花色は薄紫色。
園芸品種のビルウォーリス(Bill Wallis)が有名です。
ビルウォーリスは草丈50㎝程度に成長し、株いっぱいに小花を咲かせます。

比較的耐暑性が高く、暖地でも育てやすい品種です。

ゲラニウム・ファエウム(Geranium phaeum)

ゲラニウム・ファエウム

USDA Hardiness Zone:5 to 7

ヨーロッパ中部から西部、南部にかけて分布するゲラニウムで、山地の草原、森林の開けた場所などに自生しています。

葉は掌状に5~7裂し、裂片が浅く裂けます。
草丈30~50㎝程度に成長し、花径2㎝程度の濃紫色の花を咲かせます。
黒花フウロとも呼ばれています。
園芸品種ではブルーの花を咲かせる品種もあります。

ジョンソンズブルー(Geranium ‘Johnson's Blue’)

ゲラニウム・ジョンソンズブルー

USDA Hardiness Zone:4 to 8

青花ゲラニウムの代表品種です。
1950年代にイギリスで作出された園芸品種で、ヒマライエンセ種とプラテンセ種の交配による品種と伝えられています。

草丈50~60㎝程度に成長し、花径4~5㎝程度の花を咲かせます。

他にも数多くの品種が流通しています。

ゲラニウムの育て方

ゲラニウムの育て方

栽培環境

基本的に日なたを好みますが、自生地は冷涼な気候の場所が多く、日本の高温多湿の夏が苦手な性質です。
庭植えの場合は午後から日陰になる落葉樹の下などで育てて下さい。
水はけの良いことも大切です。

関東以西の地域では、暑さに強い品種を選んで下さい。

冬越し、夏越し

夏越し

鉢植えの場合は、明るい日陰に移動して夏越しをします。
庭植えの場合は、強い日差しが当たる場所の場合は、遮光して株を暑さと日差しから守ります。

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
冬越中の株はやや乾燥気味に管理して下さい。

水やり

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
庭植えの場合は、夏場に長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

肥料

庭植え、鉢植え共に元肥として、緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は春と秋に、緩効性化成肥料を株元に置き肥して下さい。

植え付け、植え替え

適期は2月中旬~3月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に鹿沼土や軽石を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
株間は20~30㎝程度です。

鉢植えの場合は、鹿沼土1・赤玉土1・軽石1の配合土を使います。

庭植え、鉢植え共に元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおいて下さい。

植え替え

鉢植えの場合は、2年に一度、植替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。

庭植えの場合は、株が混み合っているようなら株分けを兼ねて植え替えを行います。

増やし方(株分け、種まき)

株分け、種まきで増やすことが出来ます。

株分け

適期は植え替え時の2月中旬~3月です。
掘り上げた株を自然に分かれる部分で分けて植え付けて下さい。

種まき

花後に鳥のくちばしのような鞘が出来ます。
種は鞘の付け根に付いているので、鞘が黒くなったら鞘ごと採取して袋などに入れておき、種を採取して下さい。

採取した種は冷蔵庫で保管し、翌2月~3月中旬頃に播種します。
ゲラニウムの種は皮が厚く、そのままでは発芽率が下がります。
一晩水に付けておくか、ヤスリなどで種の一部を削ってから蒔いて下さい。

種は播種箱やポットなどに蒔き、種が隠れる程度に覆土します。
発芽までは水を切らさないように管理し、本葉が2~3枚程度になったらポット上げして下さい。
ポットに根が回ったら定植します。

※病気が発生することがあるので、種まき用土は清潔なものを使用して下さい。

病気・害虫

ナメクジによる食害が稀に見られます。
専用の薬剤などで駆除して下さい。

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