科名…シソ科
属名…ハナハッカ属(オレガノ属)
原産国…地中海沿岸
花色…淡緑~ピンク
草丈…10㎝~30㎝
日照…日なた(夏場は日陰)
難易度…

USDA Hardiness Zone:7 to 9
オレガノ・ケントビューティーとは
オレガノ・ケントビューティーは、シソ科オレガノ属の多年草です。
オレガノはヨーロッパから北アフリカ、南西アジアから中央アジアに約20種が分布していますが、一般的にオレガノと呼ばれる「オリガヌム類」、香りが強い「マヨナラ類」、花が美しく主に観賞用とされる「アマラスク類」に分類されています。
その観賞用の「アマラスク類」の一種であるのが本種ケントビューティーです。
ケントビューティーは、オレガノ・スカブルム種(Origanum scabrum)と、オレガノ・ロツンデフィルウム種(O. rotundifolium)の交配による園芸品種で、イギリス南東部のケントで作出されたのではないかと言われています。
前種のスカブルム種はギリシャ南部、後種のロツンデフィルウム種はトルコからアルメニア、ジョージアに分布しており、良種共に岩の多い斜面などに自生しています。
ケントビューティーの花期は6月~7月。
花期になると分枝した茎の先から花序を伸ばし、シソ科の植物らしい唇形花を咲かせます。
花弁のように見えるのは、苞葉(ホウヨウ)と呼ばれる葉が変化した部分で、本来の花は苞葉の間から顔を覗けている紫色の部分です。
折り重なった苞葉は日光に当たることで徐々にピンクに色付いていき、何とも言えない優雅さと美しさのある植物です。
ドライフラワーにしても退色がほとんど無いので、長期間楽しむことができます。
▼ケントビューティーの花
葉は先の尖った卵形で、茎に対生します。
葉には銀色の葉脈が筋のように入り、美しい葉には花のない時期でも高い観賞価値があります。
茎は長く伸びて枝垂れ、草丈10~30㎝程度に成長します。
寒さには強い植物ですが、日本の高温多湿が苦手です。
夏は出来るだけ涼しい環境で育てることが夏越しのポイントになります。
気温が0℃以下になると落葉し、地上部を枯らせて宿根します。
オレガノ・ケントビューティーの育て方
栽培環境
日当たりと風通しの良い場所を好みますが、日本の高温多湿の夏が苦手です。
夏場は午前中のみ日が当たるような、涼しい半日蔭の場所が適しています。
また、梅雨の時期に長雨に当たると根腐れを起こしやすい植物です。
鉢植えで育てた方が季節の管理が容易です。
夏越し、冬越し
夏越し
梅雨の時期は雨が当たらない軒下などに移動します。
花が一通り咲き終わったら、株元の葉が残るようにして5㎝程度の高さでバッサリと切り戻して下さい。
真夏は風通しの良い半日蔭に移動して夏越しします。
それでも少しずつ葉茎が枯れて秋には地上部が消えてしまうことがありますが、根が生きていれば春に芽吹きます。
冬越し
耐寒温度は-10℃程度です。
霜や寒さで地上部が枯れますが、土が凍らなければ春に再び芽吹きます。
鉢植えの場合は、霜や強い寒さにさらされて用土が凍らないように軒下などに移動して下さい。
庭植えの場合は、株元をマルチングして冬越しをします。
寒冷地の場合は室内で冬越しをして下さい。
強い寒さや霜に当たらなければ常緑で冬越しします。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いてからたっぷりと。
乾燥気味の環境を好む植物なので、水のやりすぎには注意して下さい。
肥料
多くの肥料を必要とする植物ではありません。
春と秋に、緩効性化成肥料を置き肥する程度で十分です。
植え付け、植え替え
適期は、春の3月~4月、秋の9月中旬~10月中旬です。
植え付け
用土には水はけの良い山野草の培養土などがお勧めです。
草花用の培養土を使う場合は、パーライトや軽石を混ぜ込んで水はけの良い土を作って下さい。
植え替え
鉢植えの場合は、基本的に毎年植え替えを行います。
適期は3月~4月、9月中旬~10月中旬です。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って根詰まりを防止します。
切り戻し
花が一通り咲き終わったら、株元の葉が残るように地際から5㎝程度の高さでバッサリと切り戻します。
この作業をすることで、風通しが良くなり、夏越しがしやすくなります。
切り戻した茎は挿し穂として利用することが出来ます。
増やし方(株分け、挿し木)
株分け、挿し木(挿し芽)で増やすことが出来ます。
株分け
大きく育った株は、株分けで増やすことが出来ます。
適期は植え替え時の、3月~4月、9月中旬~10月中旬です。
掘り上げた株をハサミなどで切り分けて植え付けて下さい。
挿し木(挿し芽)
適期は4月~5月、9月頃です。
挿し穂には、木質化していない緑の茎を使います。
茎の先から10㎝程度を切り取り、下2節までの葉を取り除いて水揚げをします。
葉を取った節が土に埋まるように、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。
病気、害虫
病害虫の発生はほとんどありません。