多年草・宿根草

オレガノ・ケントビューティー

  • 学名…Origanum 'Kent Beauty'
  • 科名…シソ科
  • 属名…ハナハッカ属
  • 原産国…園芸品種
  • 花色…淡緑~ピンク色
  • 草丈…10㎝~30㎝
  • 日照…日なた(夏場は日陰)
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:7 to 9

オレガノ・ケントビューティーとは

オレガノ・ケントビューティー

オレガノ・ケントビューティーは、シソ科ハナハッカ属の多年草です。
ハナハッカ属の植物は、ヨーロッパから北アフリカ、南西アジアから中央アジアに約43種が分布しています。

栽培されるハナハッカ属(オレガノ属)は、「オリガヌム類」「マヨナラ類」「アマラスク類」に分類されます。
ハーブとして利用されるのがオリガヌム類、マヨナラ類で、観賞用として栽培されるのがアマラスク類です。
本種オレガノ・ケントビューティーは、アマラスク類に分類されるオレガノです。

ケントビューティーは、オレガノ・スカブルム(Origanum scabrum)と、オレガノ・ロタンダフォーリア(Origanum rotundifolium)の交配による園芸品種で、イギリス南東部のケントで作出されたのではないかと言われています。
前種のスカブルムはギリシャ南部、後種のロツンデフィルウム種はトルコからアルメニア、ジョージアに分布しており、良種共に岩の多い斜面などに自生しています。


ケントビューティーの花期は6月~7月。
花期になると、伸びた茎の頂部に花序を出し、花を咲かせます。

▼オレガノ・ケントビューティーの花序

オレガノ・ケントビューティーの花序

花弁のように見えるのは、苞葉(ほうよう)と呼ばれる葉が変化した部分で、本来の花は苞葉の間から顔を覗けている紫色の部分です。
花は小さな唇形花(しんけいか)です。

※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。

▼オレガノ・ケントビューティーの花

オレガノ・ケントビューティーの花

雄しべは2個、雌しべは1個、雌しべの柱頭は2裂します。

▼オレガノ・ケントビューティーの雄しべと雌しべ

オレガノ・ケントビューティーの雄しべと雌しべ

密に折り重なった苞葉は日光に当たることで徐々にピンクに色付きます。
苞葉は花後も残り、ドライフラワーにしても退色がほとんど無いので、長期間楽しむことができます。

▼ケントビューティーの苞葉と花

オレガノ・ケントビューティーの花と苞葉

葉は対生し、先の尖った卵形~円形です。
葉は革質で葉脈が浮かび上がって美しく、観賞用としての価値があります。
茎は長く伸びて枝垂れ、草丈10~30㎝程度に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるオレガノ・ケントビューティー

オレガノ・ケントビューティー

寒さには強い植物ですが、日本の高温多湿が苦手です。
夏は出来るだけ涼しい環境で育てることが夏越しのポイントになります。
気温が0℃以下になると落葉し、地上部を枯らせて宿根します。

オレガノ・ケントビューティーの近縁種

オレガノ・ケントビューティーの育て方

オレガノ・ケントビューティーの育て方

栽培環境

日当たりと風通しの良い場所を好みますが、日本の高温多湿の夏が苦手です。
夏場は午前中のみ日が当たるような、涼しい半日蔭の場所が適しています。
また、梅雨の時期に長雨に当たると根腐れを起こしやすい植物です。
鉢植えで育てた方が季節の管理が容易です。

夏越し、冬越し

夏越し

梅雨の時期は雨が当たらない軒下などに移動します。
花が一通り咲き終わったら、株元の葉が残るようにして5㎝程度の高さでバッサリと切り戻して下さい。
真夏は風通しの良い半日蔭に移動して夏越しします。

それでも少しずつ葉茎が枯れて秋には地上部が消えてしまうことがありますが、根が生きていれば春に芽吹きます。

冬越し

耐寒温度は-10℃程度です。
霜や寒さで地上部が枯れますが、土が凍らなければ春に再び芽吹きます。

鉢植えの場合は、霜や強い寒さにさらされて用土が凍らないように軒下などに移動して下さい。
庭植えの場合は、株元をマルチングして冬越しをします。

寒冷地の場合は室内で冬越しをして下さい。
強い寒さや霜に当たらなければ常緑で冬越しします。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土が乾いてからたっぷりと。
乾燥気味の環境を好む植物なので、水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

多くの肥料を必要とする植物ではありません。
春と秋に、緩効性化成肥料を置き肥する程度で十分です。

植え付け、植え替え

適期は、春の3月~4月、秋の9月中旬~10月中旬です。

植え付け

用土には水はけの良い山野草の培養土などがお勧めです。
草花用の培養土を使う場合は、パーライトや軽石を混ぜ込んで水はけの良い土を作って下さい。

植え替え

鉢植えの場合は、基本的に毎年植え替えを行います。
適期は3月~4月、9月中旬~10月中旬です。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って根詰まりを防止します。

切り戻し

花が一通り咲き終わったら、株元の葉が残るように地際から5㎝程度の高さでバッサリと切り戻します。
この作業をすることで、風通しが良くなり、夏越しがしやすくなります。
切り戻した茎は挿し穂として利用することが出来ます。

増やし方(株分け、挿し木)

株分け、挿し木(挿し芽)で増やすことが出来ます。

株分け

大きく育った株は、株分けで増やすことが出来ます。
適期は植え替え時の、3月~4月、9月中旬~10月中旬です。
掘り上げた株をハサミなどで切り分けて植え付けて下さい。

挿し木(挿し芽)

適期は4月~5月、9月頃です。

挿し穂には、木質化していない緑の茎を使います。
茎の先から10㎝程度を切り取り、下2節までの葉を取り除いて水揚げをします。
葉を取った節が土に埋まるように、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。

病気、害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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