多年草・宿根草

ヘンルーダ

  • 学名…Ruta graveolens L.
  • 和名…ヘンルーダ
  • 別名…ルー、ヘンルウダ
  • 科名…ミカン科
  • 属名…ヘンルーダ属
  • 原産国…バルカン半島北部、クリミア半島
  • 花色…黄色
  • 草丈…40㎝~100㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 8

ヘンルーダとは

ヘンルーダ

ヘンルーダは、バルカン半島北部およびクリミア半島に分布するミカン科ヘンルーダ属の多年草、または亜低木です。
分布域はスロベニア~アルバニア~ブルガリア、クリミア半島にあり、岩場や石灰岩の多い場所、海抜1100m以下の開けた草原などに自生しています。

独特の強い芳香を持ち、古くはハーブとして利用されていましたが、有効性と安全性に問題があり、利用されることは無くなりました。
現在では主に観賞用のハーブとして栽培されます。
ルーとも呼ばれています。

※葉茎から出る汁に触れると皮膚炎を起こすことがあるので、剪定などの作業を行う場合は手袋を着用して扱います。


ヘンルーダの花期は5月~7月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、黄色い花を多数咲かせます。
花序は集散花序。

▼ヘンルーダの花序の様子

ヘンルーダの花序

花は直径1.5~2㎝の4弁花です。
※花序の中央の花では5弁花になることもあります。

花弁は凹形で、先端にわずかな鋸歯があります。

▼ヘンルーダの花の様子

ヘンルーダの花

雄しべは8個、雌しべは1個。
雌しべの子房は丸く、4裂しています。

※5弁花では雄しべは10個、子房は5裂しています。

▼ヘンルーダの雄しべと雌しべ

ヘンルーダの雄しべと雌しべ
Created by modifying "Ruta graveolens" (Salicyna, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

果実は類球形の蒴果。
熟すと茶色くなり、裂けて中の種子が零れ落ちます。

▼ヘンルーダの熟した果実

ヘンルーダの果実

葉は互生し、2~3回羽状複葉(うじょうふくよう)です。

羽状複葉(うじょうふくよう)とは、葉軸の左右に小葉が並んだものです。
羽状複葉が集まってさらに大きな羽状複葉を構成している場合、その回数に合わせて2回羽状複葉、3回羽状複葉と呼びます。

小葉はへら形で、わずかに肉質、強い香りを持つ腺が点在しています。
葉は白みを帯びています。

▼ヘンルーダの葉の様子

ヘンルーダの葉の様子

草丈40~100㎝に成長します。
経年と共に、下部の茎が木質化します。

▼木質化したヘンルーダの茎

木質化したヘンルーダ

耐寒性、耐暑性があり、丈夫な性質で育てやすい植物です。
ミカン科の植物なので、アゲハ蝶の幼虫による食害があります。
アゲハ蝶の幼虫は大きく育つと株を丸裸にしてしまう大食漢なので、注意が必要です。

ヘンルーダの育て方

ヘンルーダの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
しっかりと根付けば乾燥にもよく耐えまます。

半日蔭程度の日照があれば問題なく育ちますが、花付きは劣ります。

水はけさえ良ければ、やせ地でもよく育ちます。
水はけの悪い場所では、うまく育たないので注意して下さい。

※アルカリ性の土壌を好みます。
庭植えの場合は、植え場所に苦土石灰をまき、土壌を中和しておいてください。

冬越し

耐寒性はありますが、強い霜に当たると葉が傷み、落葉します。
強い霜の心配がある地域では、株元をマルチングし、霜よけを設置して下さい。

木質化した茎が生きていれば、春に再び芽吹きます。

水やり

庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
乾燥気味の環境を好むので、用土が常に湿っているような環境では根腐れを起こします。
水のやりすぎに注意して下さい。

肥料

やせ地でも育つ植物で、多くの肥料は必要ではありません。

庭植えの場合は、春と秋に、緩効性の化成肥料を施します。
鉢植えの場合も同様です。

植え付け、植え替え

適期は春の3月~4月、秋の9月~10月です。

植え付け

アルカリ性の土壌を好みます。
植え場所が酸性の場合は、用土に苦土石灰をまき、土壌を中和しておきます。

根鉢の2~3倍の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い土を作ります。
さらに元肥として少量の緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。
株間は60㎝程度。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土6、腐葉土3、パーライト1などの水はけの良い配合土を作ります。
用土に肥料分が入っていない場合は、少量の緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりをしているようなら、植え替えを行います。
一回り大きな鉢に、新しい用土で植え付けます。

剪定

春先に枯れた茎や葉を取り除きます。
※葉茎から出る汁に触れると皮膚炎を起こすことがあるので、剪定などの作業を行う場合は手袋を着用して下さい。

増やし方

株分け、挿し木、種まきで増やすことが出来ます。

株分け

適期は春の植え替え時、3月~4月です。

大きく育った株を掘り上げ、分けて植え付けます。

挿し木

適期は4月~6月です。

茎を15㎝程度に切り取って、挿し穂にします。
しっかりと水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。

水を切らさないように明るい日陰で管理して発根を待ちます。

種まき

適期は3月~4月です。
発芽温度は18℃前後です。

種はポットに蒔くか、直播きします。
1~3粒ずつ蒔き、覆土は薄く、株間50㎝程度。
水を切らさないように管理し、発芽を待ちます。

発芽後は必要があれば苗を間引き、苗が10㎝を超えるように育ったら定植します。

病気・害虫

病気の発生はほとんどありませんが、アゲハ蝶の幼虫による葉の食害があります。
大きく育つと株を裸にしてしまうので、注意しておきます。

-多年草・宿根草
-