多年草・宿根草 グランドカバー

ヒマラヤユキノシタ

  • 学名…Bergenia stracheyi (Hook.f. et Thomson) Engl.
  • 和名…ヒマラヤユキノシタ
  • 別名…オオイワウチワ(大岩団扇)、ベルゲニア
  • 科名…ユキノシタ科
  • 属名…ヒマラヤユキノシタ属
  • 原産国…東アジア~中央アジア
  • 花色…ピンク、白
  • 草丈…10cm~50cm
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:3 to 8

ヒマラヤユキノシタとは

ヒマラヤユキノシタ

ヒマラヤユキノシタは、ヒマラヤ山脈周辺の地域に分布するユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の常緑多年草です。
分布域はアフガニスタン、ネパール、パキスタン、タジキスタン、チベット、西ヒマラヤに広がっており、標高3900~4500mの高山の森林の中、岩場の割れ目などに自生しています。

日本には明治時代に渡来し、早春を彩る花として広く普及しています。


ヒマラヤユキノシタの花期は2月~4月。
花期になると、葉の間から茎を伸ばして花序を出し、小さな花を多数咲かせます。
花序は集散花序。

▼ヒマラヤユキノシタの花序

ヒマラヤユキノシタの花序

花は直径1~3㎝の5~6弁花です。
花弁は長さ9.5㎜、幅4~5㎜、先は丸く、基部は徐々に狭まります。

▼ヒマラヤユキノシタの花

ヒマラヤユキノシタの花

雄しべは10~12個、雌しべは1個で柱頭が2~3裂しています。
花色はピンクの他、白。

▼ヒマラヤユキノシタの雄しべと雌しべ

ヒマラヤユキノシタの雄しべと雌しべ

葉は長さ10~20㎝程度の大きなしゃもじ形で、茎にらせん状に付きます。
常緑性で、草丈10~50㎝程度に成長して地面を這うように広がるため、グランドカバーとしてもよく利用されます。

▼ヒマラヤユキノシタの葉の様子

ヒマラヤユキノシタの葉

耐寒性が高く、半日蔭でもよく育ち花を咲かせます。
乾燥にも強く、手のかからない植物です。

ヒマラヤユキノシタの主な品種

流通しているのはヒマラヤユキノシタが大半ですが、近縁種や交雑種も流通しています。

ヒマラヤユキノシタ(Bergenia stracheyi)

ヒマラヤユキノシタ

古くから栽培されており、オオイワウチワとも呼ばれます。
葉は丸みがあるウチワ形で、長い葉柄を持っています。

シベリアユキノシタ(Bergenia cordifolia)

シベリアユキノシタ

ヒマラヤユキノシタの近縁種です。
分布域は東アジア~中国北西部、シベリア、モンゴルにあり、高山の森林や岩場に自生しています。
大型種で花茎は50㎝ほどの高さに伸び、葉は表面が無毛で長い葉柄を持ちます。

ナガバユキノシタ(Bergenia crassifolia)

ナガバユキノシタ

ヒマラヤユキノシタの近縁種です。
分布域は、東アジア~中国北西部、シベリアにあり、森林や高山地帯の岩場などに自生しています。
葉茎は無毛で、茎は太く木質化します。

他にも濃いピンク色の花を咲かせるプルプラッセンス(Bergenia purpurascens)などが流通しています。
どの品種もヒマラヤユキノシタの名前で流通することがあります。

ヒマラヤユキノシタの育て方

ヒマラヤユキノシタの育て方

栽培環境

夏は半日蔭、冬は日当たりが良い場所が理想的です。
日なたでも育ちますが、夏の直射日光で葉焼けを起こします。
庭植えの場合は、日よけなどで強い日差しから守ってやる必要があります。

暗い日陰だと花付きが悪くなりますが、半日蔭程度の日照があれば問題ありません。
暖地で庭植えの場合は、落葉樹の下など木漏れ日が差し込む明るい日陰に植えると、葉焼けの心配がありません。

多湿にやや弱い性質なので、水はけの良い環境で育てて下さい。

冬越し、夏越し

冬越し

耐寒性は非常に強く、特に対策の必要はありません。
北海道でも植栽可能で、対策無しで戸外で冬越しします。

夏越し

鉢植えの場合は、風通しの良い半日蔭の場所に移動して下さい。
庭植えの場合は、直射日光での葉焼けが気になるようなら遮光します。

多湿な環境が続くと生育が衰えたり、枯れることもあります。
枯れた下葉があれば取り除いて、風通しを良くしてやって下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと。
多湿な環境を嫌います。
水のやり過ぎに注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はほとんどありませんが、秋に少量の緩効性化成肥料を施すと生育がよくなります。

鉢植えの場合は、花後と秋に緩効性化成肥料を置き肥します。

多肥な環境だと葉ばかりが茂り花付きが悪くなるので注意して下さい。

植え付け、植え替え

適期は花後の4月~5月、秋の9月~10月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
ヒマラヤユキノシタは一方向に茎を伸ばす性質があります。
新芽の伸びる方向にスペースをとって植え付けて下さい。

庭植え、鉢植え共に、根茎を横に寝かせ、覆土は根茎が隠れる程度の浅植えにします。

植え替え

鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行います。
根鉢を崩して古い土を落とし、新しい用土で植え付けて下さい。
必要なら株分けを行います。

庭植えの場合は、植え替えの必要はほとんどありません。
経年と共に株が込み合って生育が悪くなってきたら、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。

日常の管理

花が終わったら、花茎を根元から切り取ります。
枯れた葉は取り除いて下さい。

増やし方(株分け)

株分けで増やすことができます。

株分け

地下茎を掘り上げて、1~3芽ほどの長さで切り取って、植え付けます。
芽が付いていない根茎でも、地面に伏せて土をかぶせておくと芽が出てきます。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。
まれにハダニが発生することがあるので、見つけ次第対処して下さい。

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