和名…フチベニベンケイ(縁紅弁慶)
別名…カゲツ(花月)、ナリキンソウ(成金草)
科名…ベンケイソウ科
属名…クラッスラ属
原産国…南アフリカ
花色…白、ピンク
草丈…30㎝~300㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:11 to 12
金のなる木とは
金のなる木は、南アフリカに分布するベンケイソウ科クラッスラ属の多年草です。
分布域は南アフリカ・東ケープ州からクワズール・ナタール州にかけての乾燥地帯で、岩の多い丘陵などに自生しています。
南アフリカでは最も一般的に栽培されているベンケイソウ科の植物で、世界でも広く栽培されています。
日本へは昭和初期に渡来し、「フチベニベンケイ(縁紅弁慶)」の和名を持ちますが、流通名の「金のなる木」、または「カゲツ(花月)」の名前で定着しています。
金のなる木は、多肉質な葉と独特の株姿が美しい多肉植物です。
肉厚な葉は3㎝程度の卵形から長円形で、表面に美しい光沢があり、茎に対生します。
緑一色のものから、白やピンクの斑入り品種があり、寒さに当たると赤く色付きます。
▼赤く色づいた金のなる木
茎はよく分枝して、草丈1~3m程度に成長します。
▼大きく成長した金のなる木の茎の様子
葉と株姿が主な見どころである金のなる木ですが、大株になると愛らしい花を咲かせます。
※小さな内から花の咲く品種もあります。
花期は12月~3月。
花期になると、茎の上部の葉の付け根から花序を出し、花径5~7㎜程度の小さな花を多数咲かせます。
花は星型で、5枚の花弁を持ち、雄蕊と雌蕊が5本ずつあります。
花色は白、ピンク。
▼金のなる木の花
暑さには強い性質ですが、耐寒性は高くありません。
冬場は室内での管理が基本になります。
病害虫の発生はほとんど無く、育てやすい植物です。
【金のなる木】の名前の由来
「金のなる木」の名前の由来には諸説あります。
肉厚で光沢のある葉が硬貨に似ているため、または英名の「dollar plant」の訳であるとする説。
新芽が数ミリ伸びた段階で、穴のある硬貨に芽を通しておくとそのまま成長し、木にお金がなったように仕立てることが流行したことがあり、そのことに由来するとする説です。
そのため、「ナリキンソウ(成金草)」の別名があります。
【金のなる木】の主な品種
金のなる木/花月(Crassula portulacea)
基本種で、葉の縁に赤い斑が入ります。
※斑が入らない変種もあります。
丈夫で育てやすい品種ですが、花はかなりの大株にならないと咲きません。
桜花月 (C. portulacea ‘Sakurakagetsu’)
花月の矮性品種で、株が小さな内から花が咲きやすい品種です。
花色はピンク。
性質は花月と大差ありません。
黄金花月
その名の通り黄金葉の品種ですが、夏場はほぼ緑葉になります。
秋以降にある程度の寒さに当てることで、鮮やかな黄色を発色します。
花月錦
白い斑が入る斑入り品種です。
こちらの斑は夏場も安定しています。
他にも様々な品種があり、葉が筒状に丸まった‘ゴーラム’など、特徴的な葉姿の品種もあります。
金のなる木の育て方
※ここでは一般的な鉢植えでの育て方を紹介しています。
栽培環境
日当たりを好みます。
明るい日陰でも育ちますが、徒長します。
美しい株姿を楽しむためには、一年を通じてよく日の当たる場所で育てて下さい。
耐寒性は低いので、春から秋は戸外で育て、冬場は室内で管理します。
4月中旬頃になって暖かくなった来たら戸外に出します。
秋は11月になったら室内に取り込んで下さい。
夏越し、冬越し
夏越し
斑入り品種は、真夏の強い直射日光で葉焼けを起こすことがあります。
半日蔭に移動して育てて下さい。
冬越し
0℃以下の気温になると葉や株が凍傷になって傷んでしまいます。
11月になったら霜が降りる前に室内に取り込んで、よく日の当たる場所で管理します。
窓際などに置いている場合は、夜間の冷え込みに注意して管理して下さい。
水やり
乾燥に強い性質です。
年間を通じて乾燥気味に管理して下さい。
水をやりすぎると根腐れを起こすので注意します。
春から秋にかけては、用土の表面が乾いて2~3日ほど経ってから、たっぷりと水やりをします。
冬の間はさらに乾燥気味にし、月に1~2回程度の水やりで十分です。
肥料
あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
生育期の4月~10月の間、規定量の1/2程度の量の緩効性化成肥料を、月に1回程度、株元に置き肥して下さい。
植え付け、植え替え
適期は4月~6月、9月~10月です。
植え付け(用土)
用土には、市販のサボテンの土か、多肉植物の培養土を使います。
自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・パーライト2などの、水はけの良い配合土を作ります。
植え替え
2~3年に一度、植え替えを行って下さい。
根鉢を軽く崩して、一回り大きな鉢に新しい用土で植え替えます。
剪定、切り戻し
必ずしも必要な作業ではありませんが、大きくなりすぎた場合や、草姿が乱れた場合は、好みの位置で切り戻すことが出来ます。
適期は4月~10月の生育期です。
切り戻した茎は、挿し穂として使うことが出来ます。
増やし方(挿し木、葉挿し)
挿し木、葉挿しで簡単に増やすことが出来ます。
適期は4月~10月ですが、梅雨時期は切り口が腐りやすいので避けた方が無難です。
挿し木
茎を先端から10㎝ほどの長さに切り取って挿し穂にします。
挿し木用土にはサボテンや多肉植物の土、または川砂を使います。
土を湿らせる必要はありません。
下の節の葉を取り除いて用土に挿しますが、そのまま挿すと切り口から腐ってしまうことがあるので、日陰で2~3日ほど乾かして下さい。
切り口が完全に乾いたら、割りばしなどで用土に穴を開け、葉を取り除いた節が埋まるように挿します。
発根までは1~3週間程度かかりますが、根が出るまでは水やりの必要はありません。
葉挿し
株から切り取った葉を使用して株を増やします。
方法は挿し木と同様です。
葉の切り口を完全に乾かし、乾いた挿し木用土に浅く挿して下さい。
上手く挿せない場合は、用土の上に置いておくだけでも大丈夫です。
発根までは水やりの必要はありません。
1カ月ほどで発根し、その後に小さな芽が出てきます。
挿し木に比べると時間がかかりますが、1枚の葉から1株が出来るので、数多く増やしたい場合はお勧めの方法です。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。