- 学名…Watsonia
- 和名…ヒイロヒオウギ
- 科名…アヤメ科
- 属名…ヒイロヒオウギ属(ワトソニア属)
- 原産国…南アフリカ
- 花色…ピンク、白、赤、オレンジ
- 草丈…30㎝~150㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 10
ワトソニアとは
ワトソニアは、南アフリカ原産のアヤメ科ヒイロヒオウギ属(ワトソニア属)の多年草です。
ヒイロヒオウギ属はアフリカ南部に約52種、内34種は南アフリカ・西ケープ州に分布しています。
主に栽培されるのは、ワトソニア・ボルボニカ(Watsonia borbonica)とその亜種であるアーデルネイ(Watsonia borbonica subsp. ardernei)、そしてワトソニア・マルギナータ種(Watsonia marginata)です。
ワトソニアの花期は4月~5月。
※夏咲き品種もありますが、流通している品種のほとんどは春咲きです。
花期になると、真っすぐに伸びた茎の上部に花序を出し、穂状に花を咲かせます。
▼ワトソニアの花序の様子
花は直径3㎝程度、基部が筒状になったラッパ形で、内花被片3個、外花被片3個の計6個の花被片を持ちます。
▼ワトソニアの花の様子
雄しべは3個、雌しべは1個で、雌しべの柱頭は3裂してさらに2裂します。
▼ワトソニアの雄しべと雌しべ
花は花序の下から上へと咲き上がります。
草姿はグラジオラスをシンプルにしたような感じで、少し控えめな印象です。
花色はピンク、白、赤、オレンジ。
▼白い花を咲かせるワトソニア
葉は帯状または剣状で、地際の茎に互生し、茂ります。
草丈1m以上に育つ高性種と、30㎝程度の矮性種があります。
▼ワトソニア(高性種)の草姿
丈夫な性質で、数年間は植えっぱなしでもよく花を咲かせます。
耐寒性は高くありませんが、暖地であれば戸外での冬越しが可能です。
常緑性の品種もありますが、多くの品種は夏に地上部を枯らせて休眠します。
ワトソニアの主な品種
品種名付きで流通することは少なく、交雑によると思われる園芸品種もあるため、正確な品種の同定はなかなか困難な状況です。
ワトソニア・ボルボニカ(Watsonia borbonica)
南アフリカ・西ケープ州の南西部を中心に分布するワトソニアです。
斜面の岩場や山麓の砂地の場所に自生しています。
ワトソニアの中で最も広く普及している種で、導入されたものがアメリカやオーストラリアの一部の地域で野生化しています
草丈100~150㎝程度に成長し、ピンクの花を咲かせます。
ピラミダタ(Watsonia pyramidata)の名前で呼ばれることもあります。
ワトソニア・アーデルネイ(Watsonia borbonica subsp. ardernei)
ボルボニカ種の亜種で、雄しべがほぼ水平になっています。
白花の品種として広く普及していますが、野生種はピンク色の花を咲かせます。
ワトソニア・マルギナータ(Watsonia marginata)
南アフリカ・南西部を中心に分布するワトソニアで、草丈100~150㎝程度に成長します。
基本種の花色はピンクですが、暗赤色や白花の品種もあります。
ボルボニカより花数が多く密に咲くので、より豪華な印象です。
ドワーフワトソニア(Dwarf Watsonias)
「ドワーフワトソニア」というのは品種名ではなく、矮性種の総称です。
ドワーフとは民話や神話に登場する、人間よりも背丈の低い種族のことで、矮性種によく使われる単語です。
ミニチュアワトソニアとも呼ばれ、草丈30㎝程度に成長します。
様々な花色のミックス球根が流通することがあります。
ワトソニアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと生育、花付き共に悪くなるので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し、夏越し
冬越し
耐寒性はあまり高くありませんが、暖地、温暖地であれば、そのまま戸外で冬越し可能です。
心配な場合は、株元を腐葉土や敷き藁で覆い、霜よけを設置して防寒対策をして下さい。
寒冷地の場合は、鉢植えにして屋内に取り込みます。
夏越し
夏に休眠するタイプのワトソニアは、花後に葉が枯れてきます。
鉢植えの場合は、葉が黄変し始めたら水やりを止め、休眠期には完全に水を断ちます。
そのまま雨の当たらない場所で管理して下さい。
球根の掘り上げ
夏休眠タイプのワトソニアは球根を掘り上げて保管することも可能です。
葉が枯れたら球根を掘り上げて、ネットなどに入れ、風通しの良い日陰で秋まで保管して下さい。
水やり
庭植えの場合はほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
過湿になると球根が腐ることがあるので注意して下さい。
地上部が枯れて休眠期に入ったら、水やりの必要はありません。
肥料
多くの肥料を必要とする植物ではありません。
多肥な環境で育つと、葉茎が弱くなり、倒れやすくなります。
庭植え、鉢植えの共に、植え付け時に元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はほとんどありません。
植え付け・植え替え
適期は10月~11月です。
庭植えにする場合は、あまり早く植え付けると葉が大きく育ち、霜の被害を受けやすくなります。
遅めに植え付けるのがポイントです。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は高性種で10~15㎝、矮性種で5~10㎝程度で、覆土はどちらの品種も5㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの一般的な配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
6号鉢に5球程度が目安で、覆土は5㎝程度です。
植え替え
庭植えの場合、数年間は植え替えの必要はありません。
鉢植えの場合は、2年に1回程度、分球を兼ねて植え替えを行って下さい。
増やし方(分球)
分球で増やすことが出来ます。
分球
植え替え時に分球した球根を植え付けて下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。