- 学名…Torenia fournieri Linden ex E.Fourn.
- 和名…ハナウリクサ(花瓜草)
- 別名…トレニア、ムラサキミゾホウズキ、ナツスミレ
- 科名…アゼナ科
- 属名…ツルウリクサ属
- 原産国…東南アジア
- 花色…青、紫、ピンク、黄色、白
- 草丈…15㎝~50㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:2 to 11
トレニアとは
トレニアは、アゼナ科ツルウリクサ属の一年草、または多年草です。
ツルウリクサ属の植物は、アフリカ、アジア、中央~南アメリカ、オーストラリアなどに約63種から知られており、その中の幾つかの種が観賞用として栽培されています。
栽培されるのは主にハナウリクサ(Torenia fournieri)から作出された園芸品種で、トレニアの名前で流通しています。
ハナウリクサは、カンボジア、タイ、ラオス、ベトナムに分布しており、標高1200mまでの湿地や開けた斜面、川沿い、常緑樹林の中など、やや湿り気のある場所に自生しています。
その他ではツルウリクサ(トレニア・コンカラー:Torenia concolor)が、宿根トレニアとして流通することがあります。
ツルウリクサは、日本、台湾、中国、ベトナムに分布する多年草です。
日本では奄美大島に分布していますが、自生地は限られており、絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。
トレニアの花期は6月~10月。
花期になると、分枝した茎の頂部、または上部の葉の付け根から、花序を出し花を咲かせます。
花序は総状。
▼トレニアの花序
花は花径2~3㎝程度の唇形花(しんけいか)。
※唇形花(しんけいか)…筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。
上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。
シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる。
トレニアの唇形花は、上唇は不明瞭に2枚が合着しており、下唇は3裂しています。
▼トレニアの花
下唇の中央裂片には鮮やかな黄色の斑紋が入ります。
雄しべは5個で内1個は退化しており、上側2個が長く、下側2個は短くなっています。
▼トレニアの雄しべ
雄しべは花粉を出した後、上下でそれぞれアーチ状に繋がります。
▼アーチ状になったトレニアの雄しべ
雄性先熟で、雄しべが成熟後にアーチ状になると、隠れていた雌しべが現れます。
雌しべの柱頭は円盤状で、上下に分かれています。
▼トレニアの雌しべ
花色はピンク、ブルー、白、紫、黄色。
花付きが非常に良く、株は成長しながら次々と花を咲かせます。
夏の間も絶えることなく開花することから、夏花壇の定番植物となっています。
▼トレニアの花
果実は楕円形の蒴果(さくか)。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
葉は対生し、長さ3~5㎝、幅1.5~2.5㎝の先が尖った卵形で、縁に鋸歯があります。
葉柄は1~2㎝。
▼トレニアの葉の様子
茎には4つの稜があります。
茎はよく分枝して草丈15~50㎝程度に成長します。
ほふく性の品種では、地面を這うように広がっていきます。
▼たくさんの花を咲かせるトレニア
耐暑性に優れた育てやすい植物で、こぼれ種でもよく発芽します。
※園芸品種の交雑種には種の出来ない品種もあります。
トレニアの主な品種
トレニア サイクロンシリーズ
サカタのタネが育成したシリーズで、真夏の時期にも生育が衰えにくく、バランスの良い草姿の品種です。
トレニア ムーンシリーズ(Torenia hybrida Moon Series)
トレニアには珍しい黄花を含む豊富な花色が揃います。
写真の品種は「イエロームーン」。
トレニア・コンカラー(ツルウリクサ:Torenia concolor)
多年草タイプのコンカラーは、地面をほふくして横に広がります。
花色は紫のみ。
寒さに弱いので戸外での冬越しは困難ですが、室内に取り込むと冬越しが可能です。
葉に白い斑の入る斑入り品種(スイートマジック)もあります。
トレニア・バイロニー(Torenia flava)
熱帯から亜熱帯アジア原産のハナウリクサの近縁種です。
トレニア・バイロニーの名前は旧学名で、正式な学名はトレニア・フラバとなります。
和名はホクトウリクサ。
原種のホクトウリクサは淡い黄色一色の花を咲かせます。
流通しているのは園芸品種の「スージーウォン」で、鮮やかな黄色に筒部が濃紫色の花を咲かせます。
半ほふく性の品種で、草丈20~30㎝程度に成長します。
他にも様々な品種が流通しています。
トレニアの育て方
栽培環境
日光を好みますが、真夏の強い西日が当たると葉や花が傷むことがあります。
鉢植えの場合は、真夏は半日蔭~日陰に移動して下さい。
庭植えの場合は、西日が当たらない場所に植えて下さい。
冬越し(トレニア・コンカラー)
寒さに弱い性質なので、冬の間は室内に取り込みます。
花が終わったら切り戻し、霜に当たる前(10月~11月)に、庭植えの場合は鉢上げをして室内の日当たりの良い場所で管理して下さい。
水やり
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
特に夏場は乾燥しやすいので注意して下さい。
水切れさせると生育、花付きともに悪くなります。
庭植えの場合も、乾燥が続くようなら水やりを行って下さい。
肥料
元肥として、用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
庭植え、鉢植えともに、6月~10月の花期の間は肥料を切らさないように管理ましす。
緩効性化成肥料を定期的に置き肥するか、液体肥料を月に2~3回ほど施して下さい。
生育旺盛で花期も長いため、肥料切れさせないように注意します。
肥料が切れると葉色が褪せてしまいます。
植え付け
庭植えの場合は、用土に完熟堆肥や腐葉土混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は20~30㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土7・腐葉土3などの混合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
日常の管理(摘心・花がら摘み・切り戻し)
摘心
草丈10㎝くらいの時に摘心をすると花数が増えます。
花がら摘み
小まめに花がらを摘むと花付きが良く、美しい状態が保てます。
花は次々と開花するので、散った花だけでも取り除くようにしておくと、病気の予防にもなります。
切り戻し
花が一通り咲き終わって草姿が乱れて来たら、 1/2程度の高さで切り戻します。
そうすると秋にまた元気な姿で花を咲かせてくれます。
種まき
こぼれ種でも発芽しますが、種を採取してまいた方が確実です。
※種のできない品種もあります。
種の採取
花後に出来る鞘が茶色くなってきたら鞘ごと切り取り、封筒などに入れてよく乾燥させます。
カラカラに乾いたら鞘から種を取り出して、紙などで包んで空き瓶などに入れて冷蔵庫で保管して下さい。
種が非常に小さいので吹き飛ばさないように気を付けて下さい。
※種のできない品種もあります。
種まき
適期は5月~6月です。
発芽温度は20℃~25℃と高めなので、暖かくなってから種をまきます。
種は播種箱などにまきます。
種が非常に小さく扱い辛いので、砂などに混ぜてまくと均一に蒔くことが出来ます。
覆土はせず、水やりは底面給水で。
明るい日陰で管理して発芽を待ちます。
発芽には2~4週間と比較的時間がかかるので、気長に待って下さい。
本葉が2~3枚になったらポット上げをし、本葉が5~6枚の頃に定植して下さい。
増やし方(種まき・挿し芽)
種まきと挿し芽で増やすことが出来ます。
種まきに関しては上記、「種まき」の項目を参照下さい。
挿し芽
適期は5月~7月です。
2節ほどの長さに茎を切り取って挿し穂にします。
下の節の葉は取り除き、蕾がついているようなら蕾も取り除いて水揚げをして下さい。
差し木用土に挿したら、明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
トレニア・コンカラーは9月頃に挿し芽をして室内で冬越しすることも出来ます。
病気・害虫
灰色かび病
長雨が続いて株が蒸れると発生しやすくなります。
しおれた花弁や花がらをそのままにしておくと発生の原因になりやすいので、注意して下さい。
アブラムシ
風通しが悪いと発生しやすくなります。
見付け次第駆除して下さい。