- 学名…Plectranthus scutellarioides (L.) R.Br.
Synonym:Coleus scutellarioides (L.) Benth. - 和名…キンランジソ(金襴紫蘇)
- 別名…コリウス、ニシキジソ(錦紫蘇)
- 科名…シソ科
- 属名…プレクトランサス属
- 原産国…東南アジア、オーストラリア
- 花色…主な見所はカリーリーフ
- 草丈…20㎝~100㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:10 to 11
コリウスとは
コリウスは、シソ科プレクトランサス属の多年草です。
原産地はインドから東南アジア、中国、オーストラリアにあり、主に熱帯雨林、日陰の川岸や水路、荒れ地などに自生しています。
※自生地では常緑の多年草ですが、耐寒性が無く、日本では一年草として栽培されます。
和名はキンランジソ(金襴紫蘇)。
園芸界ではコリウスと呼ぶのが一般的です。
キランジソの学名は現在プレクトランサス・スクテラリオイデス(Plectranthus scutellarioides)とするのが主流となっていますが、コリウス・スクテラリオイデス(Coleus scutellarioides)とする説もあります。
コリウスの名前はかつて主に使われていた学名が流通名として定着したものです。
コリウスは美しい葉を持つことから世界中で栽培されており、非常に多くの園芸品種が流通しています。
コリウスの花期は6月~10月。
花期になると、茎の頂部に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ3~10(25)㎝の輪散花序(りんさんかじょ)です。
※輪散花序(りんさんかじょ)…対生する葉の腋に2個の集散花序が付き、花が節を輪状に囲んでいるように見える花序の形。
シソ科に多く見られる。
▼コリウスの花序
花は長さ0.8~1.3㎝の唇形花(しんけいか)です。
※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。
▼コリウスの唇形花
コリウスの唇形花は、筒部が下方に曲がっており、上唇は2~3裂して反り返ります。
下唇は舟形で上唇より大きく、鮮やかな紫色~青色です。
雄しべは4個あり下唇の中に隠れています。
雌しべは1個、柱頭は2裂しています。
▼コリウスの雄しべと雌しべ
▼たくさんの花を咲かせたコリウス
※通常花序が伸びてきたら摘み取ります。
栄養が花や種子に取られて、株の成長が悪くなるためです。
果実は長さ1㎜程度の小堅果(しょうけんか)。
※堅果(けんか)…乾燥して硬い果皮が種子を包み、裂開しない果実のこと。
小型のものを小堅果(しょうけんか)と呼ぶ。
※果実が出来ない品種も多数あります。
葉は対生し、長さ4~12.5㎝、幅2.5~9㎝の卵形です。
縁には円い鋸歯があります。
葉柄は1~5㎝。
▼原種コリウス
園芸品種では様々な葉の形、色があります。
▼様々な園芸種のコリウスの葉
草丈20~100㎝程度に成長します。
耐暑性が高く、病害虫の発生もほとんど無い育てやすい植物です。
実生系と栄養系
近年まではタネから育てる「実生系」の草丈の低い品種が主流でしたが、最近では挿し木で増やす「栄養系」のやや大型の品種が人気です。
栄養系は実生系に比べて種類が非常に豊富で、100品種以上の園芸品種があると言われています。
栄養系品種は花が付きにくい性質を持っているため、大きく育てやすく、スタンダード仕立てやツリー仕立てにして楽しむことも出来ます。
コリウスの育て方
栽培環境
実生系の品種は、夏の強い日差しを嫌います。
春と秋はよく日の当たる場所、夏場は強い日差しの避けられる場所が適しています。
庭植えの場合は、午後から日陰になるような半日陰の場所で育てて下さい。
栄養系の品種は日当たりを好みます。
半日蔭でも育ちますが、日照時間が足りないと鮮やかな葉色が褪せてしまいます。
できるだけ日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し
本来は多年草なので、温度さえあれば冬越しをすることが可能です。
冬越しをさせたい場合は、霜の降る前、11月頃に室内に取り込んで下さい。
霜に当たると葉が枯れてしまうので、注意が必要です。
室内では日当たりが良く暖かい場所で管理します。
10℃以下になると葉が落ち始めるので、気温が下がりすぎない場所で管理して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
コリウスは乾燥に弱い植物です。
水切れをさせないように注意して下さい。
肥料
元肥として用土に緩効性化成肥料や牛糞堆肥を混ぜ込んでおきます。
追肥は、緩効性化成肥料を定期的に置き肥するか、液体肥料を一週間に1回ほど施します。
肥料の量が多いと葉色が褪せてしまう事があるので、生育、葉色を見ながら調整して下さい。
植え付け
植え付けの適期は、5月中旬~6月です。
ポット苗の場合は、根鉢を崩さないように気を付けて植え付けます。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、牛糞堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
摘心、花摘み
摘心
どの位置で摘心しても大丈夫なので、イメージする草姿になるように摘心して下さい。
何度か繰り返すことで枝数が増え、ボリュームのある美しい草姿になります。
姿が乱れたら強く切り戻しても大丈夫ですが、大きく切り戻すのは8月までにします。
秋口になると成長が遅くなるので、草姿が整いにくくなります。
花摘み
花を咲かせない方が、株の生育が良くなります。
花穂が上がってきたら摘み取って、花を咲かせないようにして下さい。
増やし方(挿し木・種まき)
挿し木、種まき(実生系)で増やすことができます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
挿し木
生育期間中ならいつでも可能ですが、時期が遅いとあまり育ちません。
茎の先端から10㎝程度を切り取って挿し穂にします。
下の葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。
水差しでも発根します。
水差しは、切り取った茎を水に差しておくだけです。
水温が上がりすぎないように注意して、時々水を換えながら管理すると、15日前後で発根して来ます。
この方法でコリウスの冬越しもできます。
その場合は温かい室内で管理して、水を腐らせないように注意して下さい。
種まき(実生系)
実生系の品種は種まきで増やすことが出来ます。
種の採取
コリウスの種はシソのような青い花が終わった後に出来ます。
花が枯れたら花茎ごと切り取ってよく乾燥させ、新聞紙などの上で揉んで種を採取して下さい。
コリウスの種は非常に小さく、熟すとすぐにポロポロとこぼれます。
花が咲いたらストッキングなどを被せておくと、確実に採取できます。
採取した種は紙袋などに入れて、涼しい場所で保管して下さい。
種まき
適期は4月下旬~5月頃です。
発芽温度が25℃前後と高めなので、十分に暖かくなってから蒔いて下さい。
種が細かいので、種は播種箱やピートバンに蒔きます。
好光性種子なので覆土は必要ありません。
水やりで種が流れてしまわないように、底面給水で水の管理をします。
発芽までは1週間程度かかります。
本葉が2~3枚程度になったらポット上げをし、根が十分に回ったら定植して下さい。
病気、害虫
ヨトウムシ、ナメクジの食害が時々発生します。
見付け次第、駆除して下さい。