観葉植物

クンシラン

  • 学名…Clivia miniata Regel
  • 和名…クンシラン(君子蘭)、ウケザキクンシラン(受咲君子蘭)
  • 科名…ヒガンバナ科
  • 属名…クンシラン属
  • 原産国…南アフリカ
  • 花色…オレンジ、黄色
  • 草丈…30㎝~50㎝
  • 日照…半日蔭~日陰
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:9 to 11

クンシランとは

クンシラン

クンシランは、アフリカ南部に分布するヒガンバナ科クンシラン属の多年草です。
クンシラン属の植物は約4種が知られていますが、いずれも南アフリカとエスワティニ(旧スワジランド)だけに分布する固有の植物です。

その中でクンシランとして流通しているのは、クリビア・ミニアタ(Clivia miniata)です。
本来「クンシラン」はクリビア・ノビリス(Clivia nobilis)の和名でしたが、現在ではクリビア・ミニアタ(ウケザキクンシラン)を「クンシラン」と呼ぶのが一般的です。

ここではクリビア・ミニアタをクンシランとして紹介しています。


クンシランの分布域は、南アフリカのクズワール・ナタール州、東ケープ州、ムプマランガ州、エスワティニにあり、亜熱帯の海岸林から森林の渓谷などに自生しています。
半日蔭の場所でしばしば大きなコロニーを形成し、群生します。

日本には明治時代にヨーロッパを経由して渡来し、古典園芸植物として広く普及しています。
日本の他では、ニュージーランド、中国、アメリカなどでも人気があり、数多くのクンシランが栽培されています。
ランと名前につきますが、ラン科ではなくヒガンバナ科の植物です。


クンシランの花期は3月~5月。
花期になると、葉の間から太い花茎を真っすぐに伸ばして花序を出し、花を咲かせます。
花序には5~10個以上の花が付き、次々と開花します。

▼クンシランの花序

クンシランの花序

花は直径4~7㎝程度の大きさで先が6~9裂しています。

▼クンシランの花

クンシランの花
クンシランの花

雄しべは6個、雌しべは1個。
雌しべの柱頭は3裂しています。

▼クンシランの雄しべと雌しべ

クンシランの雄しべと雌しべ

花色はオレンジの他、黄色、クリーム色。

▼クリーム色のクンシランの花

クリーム色の花を咲かせるクンシラン

果実は直径1~2㎝の球形で、晩秋に赤黒く熟します。

▼クンシランの果実

クンシランの果実

葉は30~70㎝の剣形で美しいツヤを持ちます。

▼クンシランの葉

クンシランの葉の様子

葉にクリーム色の斑が筋状に入る、斑入り品種も流通しています。

広い葉が立つように出て花茎が長く伸びる「高性広葉系」、幅広の葉が重なり合って左右に展開し、コンパクトにまとまる「ダルマ系」などの系統があります。
どちらの系統も育て方に大差ありません。

▼ダルマ系のクンシラン

クンシランの株姿

クンシランは自生地は薄暗い森で、水はけが良く腐植質が豊富な土壌です。

日差しが強いと葉焼けを起こし、水が多いと根腐れを起こします。
また、ある程度の寒さに当たらないと花芽が付きません。

管理には少し手間がかかりますが、その分、鮮やかなオレンジ色の花が見事に咲いた時には思わず人に見せたくなるほど嬉しいものです。

クリビア・ノビリス(Clivia nobilis)

クリビア・ノビリス

元々クンシランはクリビア・ノビリスの和名でしたが、現在はウケザキクンシランの名前として定着しています。

クリビア・ノビリスは、南アフリカ南部のポート・エリザベス付近の沿岸に自生しています。
ウケザキクンシランが登場するまでは、イギリスで観葉植物として人気を博していました。

花は淡いオレンジ色~橙赤色で、40~60個が下向きに付きます。
葉は長さ80㎝、幅2.5~4㎝の帯状です。

ウケザキクンシランに比べると控えめな印象で、あまり栽培されることはありません。

クンシランの育て方

クンシラン(君子蘭)の育て方

※クンシランは直射日光を嫌うため、通常は鉢植えで育てます。
ここでは鉢植えでの育て方を紹介しています。

栽培環境(年間スケジュール)

11月~翌4月

花芽は10℃以下の気温に60日ほど当たらないと出来ないので、秋は霜の直前まで屋外で育てます。
十分に寒さに当たることで、花芽が伸びて美しい花を咲かせてくれます。
その後、室内に取り込んだ後も気温の上がらない場所で管理します。
24時間暖房の効いた部屋は避けて下さい。

直射日光の当たらない明るい室内、レース越しに柔らかい日差しが差し込む窓辺などが適しています。

花が咲いたら涼しい場所で管理すると、花を長く楽しむことが出来ます。
種を取らない場合は、花後、早目に花茎を切り取って下さい。

5月~10月

遅霜の心配がなくなったら、屋外に出して下さい。
直射日光に当たると葉焼けを起こすので、木漏れ日の差し込む明るい日陰などが適しています。
遮光する場合は、春と秋は遮光率30%~40%、夏場は50%です。

日の当る方向に葉が偏って育つので、時々向きを変えてやるとバランスよく育ちます。

水やり

水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと。
葉に水がかかると根元に水が溜まって軟腐病の原因になります。
水は用土に直接やるようにして下さい。

肥料

肥料は4月~6月と9月に緩効性化成肥料を施します。
7月~11月には液体肥料を1カ月に1回程度、施して下さい。

植え付け、植え替え

適期4月~5月です。

植え付け(用土)

用土には、市販のクンシランの土か、赤玉土(中粒)6・軽石(中粒)1・腐葉土3などの配合土を使います。

植え替え

2~3年一度は植え替えを行って下さい。
古い土と痛んだ根を取り除いて、新しい用土で植え替えます。
株が込み合っているようなら、その時に株分けを行って下さい。

増やし方(種まき、株分け)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

株分け

適期は植え替え時の4月~5月です。

根元から子株が出来るので、切り離して植え付けます。
子株はある程度育って、根が数本出ているものを選んで下さい。
根が出ていないようならしばらく親株の元で育てます。

種まき

開花までに5年ほどかかります。

受粉

クンシランの雄しべと雌しべ

受粉は開花後1~2日後の朝が一番良いとされています。
雄しべの花粉を雌しべの頭に付けて受粉させて下さい。
別々の株で交配させた方が、生育の良い株ができると言われています。
2株以上のクンシランがある場合は、別の株から受粉させて下さい。

交配させる場合は、自家受粉を防ぐため、開花したら雄しべの葯(先端の部分)だけ取り除いておきます。

種の収穫

種の収穫は秋に行います。
果実が赤く熟したら収穫出来ますが、種は乾くと発芽率が下がります。
種まき時期の3~4月まで、そのまま実らせておくと簡単です。
秋に収穫した場合は、湿らせた砂に埋めて室内で保管して下さい。

種まき

適期は3月~4月です。

種をまく前に水洗いして果肉をしっかりと落としておきます。
果肉には発芽抑制物質が含まれているので、残らないようにきれいに洗って下さい。

種は平鉢やプランターにまき、覆土は種が隠れる程度にごく薄く。
発芽温度は20℃前後です。
直射日光の当たらない場所で水を切らさないように管理すれば、1~2か月程度で発芽します。

病気、害虫

白絹病

白絹病は過湿な環境で発生しやすい病気です。
水のやりすぎには注意して下さい。

軟腐病

軟腐病は株の中心に水が溜まると発生しやすくなります。
水やりの際には葉に水がかからないよう、土に直接水を与えるようにして下さい。

ナメクジ

5月~10月に発生し、新芽や根を食害します。
夜行性のため、夜間に見回って捕殺するか、薬剤で対処して下さい。

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