多年草・宿根草 山野草

イカリソウ

学名…Epimedium grandiflorum var. thunbergianum
和名…イカリソウ(碇草、錨草)
別名…サンシクヨウソウ(三枝九葉草)
科名…メギ科
属名…イカリソウ属
原産国…日本
花色…ピンク、赤紫、白、黄色
草丈…15㎝~40㎝
日照…日なた~半日陰(夏は半日陰)
難易度…星
USDA Hardiness Zone:Not Applicable

イカリソウとは

イカリソウ

イカリソウは、日本に分布するメギ科イカリソウ属の多年草です。
日本固有種の植物で、東北地方以南の太平洋岸、四国に分布しており、丘陵や山野の雑木林の中などに自生しています。
美しい花を咲かせることから、観賞用として広く栽培されています。

イカリソウ属の仲間は世界に約50種が分布しており、日本には約10種が分布しています。
イカリソウの他では、常緑のトキワイカリソウ、黄色い花を咲かせるキバナイカリソウ、小さな白い花を咲かせるバイカイカリソウなどがよく栽培されています。

イカリソウの花期は4月~5月。
花期になると、伸びた茎の節から花序を出し、花茎3~4㎝程度の花を多数咲かせます。
花は特徴的なイカリ形で、4枚の花弁と、花弁の基部から伸びる距(キョ)、花弁状の萼片8枚から構成されいます。
萼片は内側の4枚が大きく、外側の4枚は早落性です。

▼イカリソウの花の構造

イカリソウの花の構造

花色は赤紫色~白。

葉は1~2回3出複葉です。
3出複葉(サンシュツフクヨウ)とは、シロツメクサなどに見られる三つ葉のことです。
2回3出複葉とは、3出複葉が2回繰り返された形で、葉柄が3又に別れ、それぞれに3枚ずつ小葉が付いています。
小葉は先の尖った卵形で、基部は心形です。

花を咲かせながら草丈15~40㎝程度に成長します。

▼イカリソウの葉の様子

イカリソウ

耐寒性、耐暑性に優れており、育てやすい性質です。
病害虫の発生もほとんどなく、適した環境で育てれば、放任でもよく花を咲かせます。

イカリソウの主な品種

トキワイカリソウ(Epimedium sempervirens)

トキワイカリソウ

東北地方から山陰地方の日本海側、多雪地の林内に分布する日本固有種のイカリソウの仲間です。
葉は2回3出複葉で常緑。
花色は白~紅紫色。

▼紅紫色のトキワイカリソウ

トキワイカリソウ

キバナイカリソウ(Epimedium koreanum)

キバナイカリソウ

日本、中国、朝鮮半島に分布するイカリソウの仲間です。
日本では北海道、近畿以北の本州の日本海側に分布しています。
葉は2回3出複葉で、花色は淡い黄色です。

バイカイカリソウ(Epimedium diphyllum)

バイカイカリソウ

近畿地方以西の本州、四国、九州に分布する日本固有種のイカリソウの仲間です。
葉は1~2回2出複葉で、花色は白色。
花には距がありません。

イカリソウ・サルフレウム(Epimedium x versicolor ‘Sulphureum’)

イカリソウ・サルフレウム

日本のイカリソウと、コーカサス地方に分布するイカリソウの仲間(Epimedium pinnatum subsp. colchicum)による交雑種です。
花色は花弁が黄色で萼片は白~クリーム色。
※サルフレア、サルフレームとも呼ばれます。

ヒメイカリソウ(Epimedium trifoliatobinatum)

イカリソウとバイカイカリソウの雑種起源と言われています。
四国・高知と愛媛の蛇紋岩地に分布する稀産種のイカリソウの仲間です。

葉は2回3出複葉で、花色は白。
イカリソウに比べるとやや小さく、草丈30~40㎝程度、花径は3㎝前後です。

※ウメザキイカリソウ(Epimedium x youngianum)と同一種であるとする見解もあります。
ウメザキイカリソウはイカリソウとバイカイカリソウの自然交雑種です。

イカリソウの育て方

イカリソウの育て方

栽培環境

春と秋は日なた、夏は木漏れ日の差し込むような明るい日陰の場所が最適です。
庭植えの場合は、落葉樹の下などが適しています。

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。

夏越し

夏場に直射日光が当たるような場所では、葉焼けを起こしたり、株が傷みます。
鉢植えの場合は、明るい日陰~半日陰の場所に移動して下さい。

日なたで育てている場合は、遮光します。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥するようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
冬場は乾燥気味に管理しますが、完全に乾かしてしまわないよう注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、生育期の3月~9月の間に、少なめの緩効性化成肥料を定期的に施して下さい。

鉢植えの場合も同様に、緩効性化成肥料の置き肥をするか、薄めの液体肥料を定期的に施します。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は花後の5月中旬~6月中旬、秋の9月中旬~10月中旬です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

適期は花後の、5月中旬~6月上旬です。

鉢植えの場合は、2年に一度、植え替えを行います。
根鉢を軽く崩して一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことができます。

株分け

植え替え時に掘り上げた株を分けて植え付けます。
あまり小さく分けると翌年に開花しないので、自然に分かれている部分で分けて下さい。

種まき

種の採取

花後に果実が実ります。
果実は蒴果で緑色のまま弾けて種が落ちてしまうので、袋をかぶせて採取します。

種まき

採取した種は乾燥すると発芽率が極端に下がるので、採りまきですぐにまきます。
ごく薄く覆土し、明るい日陰で水を切らさないように管理します。
発芽は翌春になります。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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