- 学名…Galanthus
- 和名…Galanthus nivalisb:マツユキソウ、Galanthus elwesii:オオユキノハナ
- 別名…スノードロップ、ジャイアント・スノードロップ
- 科名…ヒガンバナ科
- 属名…マツユキソウ属(ガランサス属)
- 原産国…東ヨーロッパ
- 花色…白
- 草丈…5㎝~25㎝
- 日照…日なた(冬)・半日蔭(夏)
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種による
スノードロップとは
スノードロップは、東ヨーロッパ原産のヒガンバナ科マツユキソウ属の球根を持つ多年草です。
マツユキソウ属の植物は、ヨーロッパ~南西アジアに14~17種が知られていますが、観賞用として主に栽培されるのは、ガランサス・エルウェシー種(Galanthus elwesii)と、ニヴァリス種(Galanthus nivalis)です。
両種共にスノードロップとして流通しますが、エルウェシー種はジャイアント・スノードロップと呼ばれることもあります。
広く普及しているのは球根が大きく扱いやすいエルウェシー種で、ニヴァリス種はやや少なくなっています。
両種のハイブリッドも流通しています。
日本には明治初年頃に渡来しており、早春を彩る花として定着しています。
スノードロップの花期は2月~3月。
花期になると、伸びた花茎の頂部に径2~5㎝程度の白い花を咲かせます。
花被片は6個で、外側3個(外花被片)が大きく、内側3個(内花被片)は小さくなっています。
▼スノードロップの花の様子
内花被片には特徴的な緑の斑が入ります。
斑の入り方には品種によって微妙な違いが見られます。
雄しべは6個、葯は黄色く、雌しべは1個。
▼下から見たスノードロップの花
花は夜には閉じて蕾のような状態になり、日が差し始めると再び開花します。
園芸品種には大輪種や八重咲き品種もあります。
▼八重咲きのスノードロップ
葉は幅のある線形~倒披針形で、長さ10~30㎝程度に伸びます。
株は花を咲かせて、草丈5~25㎝程度に成長します。
▼スノードロップの草姿
初夏になると地上部は枯れて夏の間は休眠します。
夏の暑さがやや苦手な性質ですが、半日蔭になるような涼しい場所だと比較的容易に夏越しが可能です。
似た名前の花にスノーフレークがありよく混同されますが、全く別の植物です。
スノーフレークについては下記を参照ください。
スノードロップの主な品種
ガランサス・エルウェシー(オオユキノハナ:Galanthus elwesii)
日本においてスノードロップとして流通している球根の多くは本種で、ジャイアント・スノードロップとも呼ばれます。
和名はオオユキノハナ。
分布域は東ヨーロッパから南東ヨーロッパ、トルコ西部に広がっており、森の開けた場所、雑木林、土手や岩の多い牧草地などに自生しています。
内花被の先端と基部の2か所に緑の斑紋が入るのが特徴です。
葉は長さ10~30㎝、幅0.5~2.5㎝の幅の倒披針形で、草丈9~20㎝に成長します。
球根は、長さ2~3㎝、幅1.5~2㎝と比較的大きく、ある程度の乾燥に耐えます。
ガランサス・ニヴァリス(マツユキソウ:Galanthus nivalis)
マツユキソウの和名を持ち、コモン・スノードロップとも呼ばれます。
日本では前述のエルウェシー種がスノードロップとして主に流通しますが、海外ではスノードロップと言うと本種を指すのが一般的です。
分布域は、イベリア半島東からウクライナに広がっており、茂みや森の縁など、やや湿り気のある場所に自生しています。
寒さに強く、北ヨーロッパでは春を告げる花として愛されており、数多くの園芸品種が流通しています。
内花被の先端に斑紋が入るのが特徴で、エルウェシー種とは異なり、基部の斑紋はありません。
葉は長さ5~15㎝、幅0.3~0.7㎝のやや幅のある線形で、草丈7~20㎝程度に成長します。
球根は長さ1.5~2.5㎝、幅1~1.5㎝とやや小ぶりで、乾燥に弱い性質です。
フロレ・プレノ(Galanthus nivalis ‘Flore Pleno’)
ニヴァリス種の園芸品種で、しべが変化して八重咲きになっています。
スノードロップの育て方
栽培環境
芽出しから花後までの間はよく陽の当たる場所が適しています。
夏の休眠中は日陰~半日蔭になる場所で涼しく夏越しをさせて下さい。
庭植えの場合は、夏の間に半日蔭、または日陰になるような落葉樹の下などの場所が適しています。
夏越し
夏の高温を嫌います。
庭植えの場合は、敷き藁などでマルチングをして地温の上昇を防ぎます。
鉢植えの場合は、葉が完全に枯れたら、風通しの良い日陰~半日蔭に移動して下さい。
スノードロップの球根は乾燥を嫌うので、基本的に掘り上げずに夏越しをさせます。
休眠中も完全に乾かさないように時々水やりをして下さい。
水やり
庭植えの場合は、雨が降らず乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
花後は徐々に水を減らしますが、休眠中も完全に乾かさないようにします。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んで下さい。
追肥は、花後の4月に緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を施します。
鉢植えの場合も同様に、花後の4月に緩効性化成肥料か液体肥料を施して下さい。
植え付け・植え替え
植え付け
適期は9月~10月です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
株間は5㎝程度で、球根1個分の深さで植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・パーライト2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
4号鉢に5球程度が目安です。
植え替え
適期は8月下旬~9月上旬ですが、毎年植え替える必要はありません。
鉢がいっぱいになった時は、分球を兼ねて植え替えを行います。
庭植えの場合は放任で大丈夫ですが、株が込みすぎて生育に影響するようなら分球を兼ねて植え替えを行って下さい。
すぐに植え付けない場合は、おがくずなどに埋めて球根を乾燥から守ります。
花がら摘み
咲き終わった花は、花茎の付け根部分から切り取って下さい。
増やし方(分球)
分球で増やすことが出来ます。
分球
適期は8月下旬~9月上旬の休眠期です。
球根を掘り上げて、親球の下部にできた子球を外して植え付けます。
乾燥を嫌うので、分球したらすぐに植え付けて下さい。
病気・害虫
灰色かび病
春から初夏に稀に発生することがあります。
葉茎に斑点ができ、やがて灰色のカビが生えます。
風通しを良くし、株を清潔に保つことである程度予防することができます。