- 学名…Zephyranthes
- 和名…Zephyranthes candida:タマスダレ、Zephyranthes carinata:サフランモドキ
- 別名…ゼフィランサス、レインリリー
- 科名…ヒガンバナ科
- 属名…タマスダレ属(ゼフィランサス属)
- 原産国…南アメリカ、メキシコ
- 花色…白、ピンク、黄
- 草丈…10㎝~30㎝
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種の項目を参照
ゼフィランサスとは
ゼフィランサスは、南北アメリカを中心に約70種が分布するヒガンバナ科タマスダレ属(ゼフィランサス属)の球根を持つ多年草です。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、いくつかの種はアメリカ、インド、中国などで帰化植物として定着しています。
ゼフィランサス属の植物は観賞用として数多く流通していますが、最も普及しているのがタマスダレ(Zephyranthes candida)と、サフランモドキ(Zephyranthes carinata)です。
高温乾燥が続いたあと雨が降ると一斉に開花することから「レインリリー」と呼ばれます。
ゼフィランサスの花期は品種によってやや異なりますが、6月~10月。
花期になりると、細い花茎を長く伸ばし、頂部に径3~8㎝程度の花を咲かせます。
花は6個の花弁を持つ漏斗状で、上向きに咲きます。
▼ゼフィランサス(タマスダレ)の花
雄しべは6個、葯が黄色く目立ちます。
▼ゼフィランサス(サフランモドキ)の花
花色は白、ピンク、黄。
▼キバナサフランモドキ(Zephyranthes citrina)
葉は線形で、品種により幅にやや違いがあります。
草丈10~30㎝程度に成長します。
▼ゼフィランサス(タマスダレ)の草姿
耐寒性は品種によって異なります。
白花のタマスダレは寒さに強く常緑で冬越し、自然分球でよく増えます。
他の品種は半耐寒性のものが多く、寒さにはやや弱い性質で冬越しには対策が必要になります。
※ヒガンバナ科の植物で、全草に毒性があります。
よく似た花を咲かせる植物にハブランサスがあります。
ハブランサスは、同ヒガンバナ科、ハブランサス属の球根植物で、ゼフィランサス同様にレインリリーと呼ばれます。
両種の最も大きな違いは花の向きで、ゼフィランサスの花は上向きなのに対し、ハブランサスはやや横向きに咲きます。
ハブランサスについては下記を参照下さい。
ゼフィランサスの主な品種
タマスダレ(Zephyranthes candida)
アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル、ペルーなど、南アメリカに分布するゼフィランサスです。
自然分布では、降雨の多い川沿いや沼地で多く見られます。
ゼフィランサスの中では最もポピュラーで、世界の広い地域で栽培されており、アメリカ、インド、中国など多くの地域で帰化植物として定着しています。
花径3~5㎝程度の白い花を咲かせます。
葉は長さ20~30㎝、幅2~4㎜の線形で肉質です。
花を咲かせながら15~30㎝に成長します。
「タマスダレ」の名前は、細い葉茎の様子をスダレに、蕾の様子をタマに見立てたことに由来しています。
耐寒性が高く、放任でもよく花を咲かせ、自然分球でよく増えます。
こぼれ種でも増えます。
サフランモドキ(Zephyranthes carinata Syn. Zephyranthes grandiflora)
メキシコ南部および中央アメリカ、コロンビアからペルーに分布するゼフィランサスで、ゼフィランサス・カリナータの名前で流通することもあります。
江戸時代に渡来しサフランと呼ばれていましたが、後に本物のサフランが導入され、「サフランモドキ」と呼ばれるようになりました。
花径5~9㎝程度のピンク色の花を咲かせます。
葉は長さ15~30㎝、幅7㎜前後の線形で、やや多肉質です。
タマスダレに比べると耐寒性が低く、耐寒温度は-5℃程度で、寒い地方では冬場に防寒対策を施す必要があります。
冬場は地上部を枯らせて休眠します。
花付きはタマスダレに比べると少ない感じです。
キバナサフランモドキ(Zephyranthes citrina)
メキシコのユカタン半島原産のゼフィランサスで、ゼフィランサス・キトリナの名前でも流通します。
花径3~5㎝程度の鮮やかな黄色の花を咲かせ、キバナサフランモドキとも呼ばれます。
葉は長さ10~20㎝、幅4㎜前後の線形です。
花を咲かせながら草丈10~15㎝に成長します。
結実してこぼれ種でもよく増えます。
他にも数は多くありませんが、「モモイロタマスダレ(Zephyranthes taubertiana)」など、数種の品種が流通することがあります。
ゼフィランサスの育て方
栽培環境
日当たりと水はけが良い場所が適していますが、半日蔭程度の日照でも問題なく育ちます。
冬越し
品種によって耐寒性が異なります。
白花のタマスダレは寒さに強く、土の中の球根まで凍ってしまうような寒冷地でなければ特に対策の必要はありません。
その他の半耐寒性品種はやや寒さに弱い性質なので、盛り土をしたり腐葉土でのマルチングなどの防寒対策を施します。
鉢植えの場合は、霜や凍結の心配のない場所に移動して下さい。
水やり
生育期に乾燥が続くと花が咲きにくくなります。
庭植えの場合は、夏場に雨が降らずに乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
鉢植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を株元に施して下さい。
植え付け・植え替え
適期は3月中旬~5月中旬です。
植え付け
庭植えの場合は、水はけが悪いようなら腐葉土やパーライトなどを用土に混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
株間は3㎝~5㎝、球根1個分くらいの深さで植え付けます。
4~5球を密生させて植え付けると、最初の年から見栄えがします。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に7球程度が目安です。
植え替え
ゼフィランサスの球根は、前年の根が活動している間に新しい根が生育するという性質があります。
そのため、数年間は植えっ放しの方がよく育ちます。
株が混みすぎると花付きが悪くなるので、その場合は分球を兼ねて植え替えを行います。
鉢植えの場合は3~4年に一度、庭植えの場合は4~5年に一度、花付きが悪くなったら植え替えを行って下さい。
増やし方(分球、種まき)
分球と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照ください。
分球
適期は3月中旬~4月頃です。
掘り上げて分球します。
暖地の場合は葉が付いたままの場合が多いと思いますが、株分けの要領で分球して下さい。
種まき
品種によって種の出来やすいものと、そうでない品種があります。
黄花品種は全般的に種が出来やすいです。
発芽までには2~4年かかるので、分球の方が格段に簡単です。
自然交配されていた場合、親株と同じ花が咲かない場合もあります。
種の採取
花後に出来た鞘が茶色く変色し、裂けて黒い種が顔をのぞけたら種が熟しています。
採取して下さい。
採取した種はすぐにまきます。
種まき
採取した種は採りまきですぐにまきます。
覆土は種が隠れる程度にごく薄く。
日が当たる場所で水切れに注意して、発根を待って下さい。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。