- 学名…Illicium anisatum L.
- 和名…シキミ(樒)
- 別名…ハナノキ、シキビ
- 科名…マツブサ科
- 属名…シキミ属
- 原産国…日本、台湾、朝鮮半島
- 花色…淡黄白色
- 樹高…2m~5m
- 日照…半日蔭
- USDA Hardiness Zone:7 to 9
シキミとは
シキミは日本、朝鮮半島、台湾に分布するマツブサ科シキミ属の常緑低木~小高木です。
日本では、本州の東北地方以南から四国、九州、沖縄に分布しており、山地や林内に自生しています。
仏事に使用されるため寺院によく植栽されており、商業的にも栽培されています。
有毒植物で特に果実には強い毒性があります。
シキミの名前は、有毒の実を意味する「悪しき実」から転じたとされる説もあります。
シキミの花期は3月~4月。
花期になると、小枝の葉腋に淡黄白色の花を数個咲かせます。
花は径2~3㎝程度の両性花です。
花被片は線状披針形で10~20個すべてが花弁状になっており、多くの場合波打ちます。
▼シキミの花
雄しべは多数あり、雌しべは8個。
▼シキミの雄しべと雌しべ
果実は袋果が放射状に8個集まった集合果で、扁球形です。
▼シキミの果実
秋になって熟すと、果実が割れて種子が顔を出します。
種子は7~8㎜の楕円形で光沢があります。
▼シキミの熟した果実
この果実は中華料理の香辛料である八角によく似ていますが、八角は中国に分布するトウシキミ(Illicium verum)の果実で、本種とは異なります。
トウシキミは日本には自然分布が無く、ほとんど栽培されることのない植物です。
混同することは無いと思われますが、本種シキミの果実には強い毒性があるので注意が必要です。
葉は互生し、長さ4~10㎝、幅2~4㎝の長楕円形で、革質、表面に光沢があります。
裏面に油点があり、傷付けると抹香の香りがします。
葉柄は0.5~2.4㎝。
▼シキミの葉の様子
樹皮は暗灰褐色で、樹高2~5mに成長します。
▼大きく育ったシキミの木
シキミの近縁種
トウシキミ(Illicium verum Hook.f.)
中国東南部、雲南・江西省から雲南省、ベトナムに分布する常緑高木です。
紀元前2000年頃から栽培されているため、野生種か帰化種かの区別が付かず、本来の原産地は不明です。
樹高15mに成長し、ピンク色から濃紅色の花を咲かせます。
花被片は7~12個あり、広楕円形~広卵形です。
果実は八角、スターアニス、ダイウイキョウなどと呼ばれ、中華料理の香辛料として使用されます。
また、果実から抽出されるシキミ酸は、抗インフルエンザ薬・タミフルの原料として利用されています。
▼トウシキミの果実(八角)
アメリカシキミ(Illicium floridanum J.Ellis)
北アメリカに分布する常緑低木です。
分布域はフロリダ州北部・ジョージア州から海岸沿いの平野に沿ってルイジアナ州まで広がっており、峡谷や湿地帯、小川沿いの地域に自生しています。
樹高1.5~3mに成長し、径2.5~5㎝の濃紅色の花を咲かせます。
※稀に白やピンク色花を咲かせる個体もあります。
花被片は21~33個、雄しべは多数、雌しべは11~21個あります。
葉は傷付くと八角に似た香りがしますが、花は生の魚に似た匂いがするそうです。
イリシウム・ヘンリー(Illicium henryi Diels)
中国・中南部に分布する常緑低木~高木です。
樹高8~12mに成長し、ピンク色~濃赤色の花を咲かせます。
花被片は10~15個あり、長楕円形~広楕円形です。
主に観賞用として栽培されています。
マツブサ科
シキミが属するマツブサ科は、マツブサ属、サネカズラ属、シキミ属からなり、約70種の植物が分類されています。
観賞用として利用される種は少なく、本種シキミの他ではサネカズラが栽培されます。