- 学名…Crocus sativus L.
- 和名…サフラン(咱夫藍)
- 科名…アヤメ科
- 属名…クロッカス属
- 原産国…ヨーロッパ
- 花色…紫
- 草丈…10㎝~15㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:6 to 8
サフランとは
サフランは、アヤメ科クロッカス属の多年草です。
香辛料サフランの原料として有名ですが、少なくとも3500年以上前から栽培されており、同時にスパイスとして使用されていたことが分かっています。
野生種は存在せず、原種と考えられているのはギリシャのクレタ島に自生するクロッカス・カートライトイヌス(Crocus cartwrightianus)です。
このカートライトイヌスの突然変異型がサフランの原種として最も有力視されており、栽培の歴史の中で、より長い雌しべを持つものが時間をかけて選抜され、現在のサフランに至ったと考えられています。
※ Crocus thomasii と Crocus pallasii もサフランに似ているため、原種である可能性があります。
いずれにせよ紀元前の時代から貴重なスパイスとして栽培、利用されてきたサフランは、現在においても最も高価なスパイスの一つとなっています。
独特の香りを持つ雌しべは、乾燥させて香辛料や生薬として利用され、パエリアやサフランライスに欠かせないスパイスです。
日本へは薬として江戸時代に渡来し、明治時代には栽培が始まったと言われています。
現在、大分県竹田市などで国産サフランの栽培が行われています。
サフランの花期は10月~11月。
葉と同時期に地面から蕾を出し、花を咲かせます。
花は直径5~6㎝の大きさで、花被片は6個。
▼サフランの花
雄しべは3個あり、葯は黄色。
雌しべは赤く長い糸状で3裂しています。
▼サフランの雄しべと雌しべ
香辛料として利用されるのは、この雌しべの部分です。
▼香辛料サフラン
葉は9~15個付き、長さ15~20㎝、幅2~3㎜の線状で、中央に溝があります。
▼サフランの葉の様子
葉は花と同時期に芽吹き、花後から春まで伸びて球根に養分を蓄えます。
春以降は休眠期に入り、秋になると再び芽吹きます。
▼花を咲かせるサフラン
球根は高温多湿に弱く、暖地では通常、掘り上げて夏を越します。
涼しい地域であれば、数年間は植えっぱなしで育てることが出来ます。
球根を購入するときは、出来るだけ大きな球根を選ぶと、花付きが良いです。
サフランとクロッカス
サフランが属するクロッカス属は、中央~西アジア、ヨーロッパを中心に約90種が分布しています。
花の美しい幾つかの種が栽培されおり、多数の園芸品種があります。
クロッカスとはクロッカス属の植物の総称で、サフランもクロッカスの一種ということになりますが、園芸的にクロッカスと呼ばれているのは、春咲き品種のクロッカスです。
春咲き品種のクロッカスは、「花サフラン」「春サフラン」と呼ばれ、観賞用として栽培されています。
また、サフランと名の付く植物にイヌサフランがありますが、サフランはアヤメ科、イヌサフランはイヌサフラン科の植物であり、全く類縁関係はありません。
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サフランの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日当たりが悪いと花付きが悪くなるので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
市販されている球根は、すでに花芽が出来ています。
カゴや器に入れて直射日光の当たらない場所に置いておくと、水やりも肥料も無しに開花します。
花を見るだけであれば、土に植え付けなくても栽培可能です。
冬越し、夏越し
冬越し
寒さには強い性質です。
特に対策の必要はありません。
凍結の心配があるような寒冷地では、凍結対策を施して下さい。
夏越し
涼しい地域で、雨の当たらない場所で管理できるのであれば球根を掘り上げる必要はありません。
その他の地域では、高温多湿の環境で球根が腐りやすくなるので、球根を掘り上げて夏を越します。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬場はやや乾燥気味に管理します。
球根を掘り上げない場合は、葉が枯れ始めたら水やりの回数を徐々に減らして下さい。
休眠中は水やりの必要はありません。
肥料
元肥として、用土に少量の緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は、花後と2月頃に、少量の化成肥料を施します。
窒素分の多い肥料を与えると、病気が発生しやすくなるので注意して下さい。
植え付け、植え替え
植え付け
適期は8月下旬~9月上旬です。
植え付けが遅れると、球根のまま開花してしまうので、適期に植え付けて下さい。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
さらに腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作り、元肥として少量の緩効性化成肥料を施します。
株間は10㎝程度、球根2個分程度の深さで植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
5号鉢に5~6球、球根1~2個分程度の深さで植え付けます。
サフランの球根は、古い球根の上に新しい球根が出来ます。
浅植えにすると翌年の球根が小さくなってしまうので注意して下さい。
植え替え
球根を掘り上げない場合は、数年に一度、植え替えを行います。
株が混み合ってくると生育が悪くなるので、葉が枯れたら掘り上げて植え直しを行って下さい。
収穫
花が咲いたらすぐに赤い雌しべを抜き取ります。
時間が経つとせっかくの成分が抜けてしまうので、すみやかに収穫して下さい。
花は朝方咲くので、最初の花が咲いたら毎朝チェックをすると採りこぼしがありません。
収穫した雌しべは、キッチンペーパーなどの上に置き、日陰で乾燥させて下さい。
十分に乾燥したら、密閉容器に乾燥剤と一緒に入れて保存します。
球根の掘り上げ
葉が2/3程度、黄色くなったら球根を掘り上げます。
掘り上げた球根は葉をつけたまま、雨の当たらない風通しの良い日陰で乾燥させます。
完全に葉が枯れたら葉茎を切り取り、古い球根を取り除きます。
ネットなどに入れて涼しい場所で保管して下さい。
増やし方(自然分球)
自然分球でよく増えます。
新しくできた子球を植え付けて下さい。
病気・害虫
軟腐病
高温多湿の環境で発生しやすい病気です。
発生すると球根が腐って溶けてしまいます。
肥料の窒素分が多すぎたり、多肥な環境でも発生しやすくなるので注意して下さい。