多年草・宿根草

イヌサフラン(コルチカム)

学名…Colchicum
和名…イヌサフラン
別名…オータム・クロッカス
科名…イヌサフラン科
属名…イヌサフラン属(コルチカム属)
原産国…ヨーロッパ、北アフリカ、中央アジア
花色…ピンク、白、紫
草丈…5㎝~20㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:4 to 8

イヌサフラン(コルチカム)とは

イヌサフラン(コルチカム)

イヌサフラン(コルチカム)の仲間は、ヨーロッパから北アフリカ、中央アジア、西アジアなどに約60種が分布するイヌサフラン科イヌサフラン属(コルチカム属)の球根植物です。
主に栽培されるのは、イヌサフランの和名を持つコルチカム・オータムナーレ種(Colchicum autumnale)とスペシオサム種(C. speciosum)、この2種を中心に育成された園芸品種です。

前者のオータムナーレ種は、ヨーロッパからウクライナにかけて分布しており、現在バルト諸国の他、ニュージーランドなどで帰化植物として定着しています。
後者のスペシオサム種は、トルコ、イランの他、コーカサス地方に分布しています。
両種共に美しい花を咲かせることから、世界で広く栽培されています。

コルチカムの仲間には、春咲き、秋咲き、冬咲きのタイプがありますが、オータムナーレ種やスペシオサム種は秋咲きタイプのコルチカムで、日本では夏から秋に球根を植え、秋に花を楽しむ植物として親しまれています。
コルチカムは、土や水が無い状態で室内に放置していても花を咲かせることで有名な球根ですが、花壇や鉢での栽培ももちろん可能で、数年間は植えっぱなしにすることが出来ます。

イヌサフラン(コルチカム)の花期は9月中旬~10月。
秋になると土の中から蕾を出し、サフランクロッカスに似た透明感のある美しい花を咲かせます。
花は径4~15㎝程度で、6枚の花被片を持ち、中央には雌蕊と6本の雄蕊があります。

▼イヌサフランの花

イヌサフラン(コルチカム)

和名の「イヌサフラン」はこの花姿に由来しています。
「イヌ」の名前が植物に付けられるのは実際の犬とは関係なく、多くの場合、有用な植物に似ているが違う、役に立たないという意味です。
このイヌサフランも「サフラン」の名前が付きますが、サフランはアヤメ科、イヌサフランはイヌサフラン科で全く類縁関係のない別の植物です。
サフランは香辛料として広く利用されますが、イヌサフラン(コルチカム)には強い毒性があり、食用にはなりません。

花色はピンク、白、紫。
一重咲きの他、八重咲き、大輪品種などが流通します。

▼イヌサフラン(コルチカム)の群生

イヌサフラン(コルチカム)

葉は花の時期には無く、翌春に新芽が出て梅雨頃には再び枯れて休眠します。
耐暑性、耐寒性共に高く、育てやすい植物です。
数年間は植えっぱなしでもよく花を咲かせます。

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イヌサフラン(コルチカム)の毒性

イヌサフランの球根や種子には、コルヒチンというアルカロイド系の有毒物質が含まれています。
コルヒチンは痛風の治療に利用される成分ですが、誤食すると重大な中毒症状を引き起こします。
芽吹きの時期の草姿が、山菜のギョウジャニンニクと似ていることから誤食による事故が後を絶ちません。
通常栽培する分には問題ありませんが、食用とされる植物との混植は避け、掘り上げた球根は野菜と別の場所で保管するなどの配慮が必要です。

ちなみにイヌサフランには、ギョウジャニンニクのようなニンニク臭はありません。

イヌサフラン(コルチカム)の育て方

イヌサフラン(コルチカム)の育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけが良い場所が適しています。

花を咲かせるだけであれば、土や水がない状態で机の上などに置いておくだけでも開花します。
蕾が出始めたら日の当たる場所に置いて花を楽しんで下さい。
翌年も花を咲かせるためには、花を楽しんだ後に花壇や鉢に植えて球根を太らせます。

冬越し、夏越し

耐寒性、耐暑性が高く、特に対策の必要はありません。
夏の間は葉が枯れて休眠期になるので、鉢植えの場合は、雨の当たらない場所に移動して管理して下さい。
球根を掘り上げない場合は、葉が枯れたら取り除きます。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、秋から春までの間、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。
春を過ぎて葉が枯れ始めたら、徐々に水やりの回数を減らし、休眠期に入ったら水を絶ちます。

肥料

比較的肥料を好む植物です。

庭植え、鉢植え共に、植え付けの際に元肥として堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は春の3月~4月、秋の9月~10月に緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を施して下さい。

植え付け

適期は9月頃です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
深さは10㎝程度、株間は15~20㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に川砂を2割ほど混ぜたものを使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・川砂2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜて土を作ります。
5~6号鉢に1球が目安で、深さは3~5㎝程度です。

球根の掘り上げ

球根は毎年掘り上げる必要はありません。
球根は毎年分球して増えていくので、増えすぎているようなら、掘り上げて植え替えて下さい。

時期は、6月頃になって地上部の葉が半分ほど枯れ始めた時です。
掘り上げた球根は、日陰でしっかりと乾かし、風通しの良い涼しい場所でネットなどに入れて保管します。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ます。

分球

コルチカムの球根は、自然に分球して増えていきます。
9月頃に球根を掘り上げて、分けて植え付けて下さい。

病気・害虫

白絹病

水はけが悪い場所で育てていると発生することがあります。
地際の葉茎や球根に菌が付着し、白い絹糸のような菌糸が発現します。
一度発病すると完治することはなく、他の株にも伝染するので、発病した株は速やかに処分して下さい。
水はけの良い環境で育て、病気の発生を抑制することが大切です。

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