- 学名…Liatris spicata (L.) Willd.
- 和名…キリンギク(麒麟菊)
- 別名…ユリアザミ
- 科名…キク科
- 属名…ユリアザミ属
- 原産国…北アメリカ
- 花色…紫、ピンク、白
- 草丈…40㎝~120㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:3 to 8
リアトリスとは
リアトリスは、北アメリカを中心に約37種が分布するキク科ユリアザミ属の多年草です。
美しい花を咲かせることから、いくつかの種が観賞用として栽培されます。
主に栽培されるのはリアトリス・スピカータ(キリンギク:Liatris spicata)、リアトリス・ピクノスタキア(ユリアザミ:Liatris pycnostachya)、リアトリス・スカリオサ(マツカサギク:Liatris scariosa)、リアトリス・リグリスティリス(タマザキキリンギク:Liatris ligulistylis)の四種です。
それぞれの園芸品種の他、交配種も数多く流通しています。
地下茎が球根のように肥大することから球根植物として扱われることもあります。
日本には大正時代から昭和初期にかけて渡来しています。
リアトリスの花期は6月~9月。
花期になると、真っすぐに伸びた茎の頂部に花序を出し、花を咲かせます。
花序は15~50㎝の長さで、頭花(とうか)が穂状に付きます。
頭花(とうか)とは、主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
▼リアトリスの花序
リアトリスの頭花は直径1㎝弱の大きさで、14の小花(しょうか)で構成されています。
▼リアトリスの頭花
小花は筒状で先が5裂しています。
雄しべ5個で雌しべは1個。
雄しべの葯は合着しており、葯筒からは雌しべが突出し、咲き進むに従って先端が2裂して長く伸びます。
▼リアトリスの花の様子
花序には穂状のものと玉状のものがあり、それぞれ「槍咲き」と「玉咲き」と呼ばれ区別されます。
花色は紫の他、ピンク、白。
花序は上から下へと咲き進みます。
▼リアトリス(槍咲き)の花の様子
葉は根生葉と茎葉があり、長さ12~35㎝、幅0.4~1㎝の狭い長楕円状披針形~狭いへら状披針形です。
茎葉は通常上部にいくに従い小さくなります。
茎は真っすぐ上に伸び、草丈40~120㎝程度に成長します。
▼リアトリスの葉の様子
耐寒性、耐暑性ともに優れ、育てやすい植物です。
冬に地上部を枯らして宿根し、春に再び芽吹きます。
リアトリスの主な品種
リアトリス・スピカータ(キリンギク:Liatris spicata)
北アメリカ東部を中心に分布する槍咲き系のリアトリスです。
花序は15~30㎝の長さで、草丈40~110㎝に成長します。
頭花は密に付き、一つの頭花は4~14個の小花で構成されています。
下記ピクノスタキア(ユリアザミ)とよく似ていますが、総苞片(そうほうへん)が長楕円形で、先が円形~鈍形になっているのが特徴です。
※総苞片(そうほうへん)…花序の基部にある苞葉(ほうよう)のこと。
▼リアトリス・スピカータの総苞片
リアトリス・ピクノスタキア(ユリアザミ:Liatris pycnostachya)
アメリカ合衆国東部に分布する槍咲き系のリアトリスです。
ヒメキリンギクとも呼ばれています。
草丈60~120㎝、最大で180㎝を超えることもあります。
草丈のほぼ半分が花序になります。
頭花は密に付き、一つの頭花は4~8個の小花で構成されています。
上記スピカータとよく似ていますが、総苞片の先が尖っており、反り返るのが特徴です。
▼リアトリス・ピクノスタキアの総苞片
リアトリス・スカリオサ(マツカサギク:Liatris scariosa)
アメリカ合衆国東部に分布する玉咲き系のリアトリスです。
草丈60~120㎝に成長し、花序は最大45㎝程度です。
花序柄は5㎝~10㎝の長さがあり、頭花があまり密に付きません。
一つの頭花は19~80個の小花で構成されています。
リアトリス・リグリスティリス(タマザキキリンギク:Liatris ligulistylis)
カナダ中南部からアメリカ中北部に分布する玉咲き系のリアトリスです。
草丈30~100㎝に成長し、花序には4~21個の頭花が付きます。
一つの頭花は30~100個の小花で構成されています。
これらの原種から作出された園芸品種が流通しています。
リアトリスの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと徒長し、花付きが悪くなります。
よく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し・夏越し
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
寒冷地で苗が小さい場合は、霜よけを設置すると安心です。
夏越し
高温多湿な環境がやや苦手です。
風通しを良くしてやり、蒸れるのを防いで下さい。
春に出た新芽の中からひ弱なものは取り除いて、芽数を減らすのも効果的です。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場で極度に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は新芽の出る前の3月、花後の9月に緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
鉢植えの場合も同様に、芽出し前の3月、花後の9月に緩効性化成肥料を置き肥します。
多肥にすると葉ばかりが茂るので肥料は少な目に施します。
植え付け・植え替え
適期は3月~4月、10月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
元肥として、堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおいて下さい。
株間は30㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
鉢植えの場合は、1~2年に一度、植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行い、新しい用土で植え付けて下さい。
庭植えの場合は、数年間は植えっぱなしでも大丈夫ですが、連作を嫌うため、経年と共に株の勢いがなくなってきます。
その場合は、植え替えを行って下さい。
増やし方(株分け、種まき)
株分け、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
株分け
適期は3月~4月、10月です。
1株に2~3芽が付くように、株分けを行い植え付けます。
種まき
種の採取
種を採取する場合は、花後にすぐに切り戻さずに、茶色く枯れるまでそのままにしておきます。
枯れた花茎を切り取ったら、しっかりと乾燥させて種を採取して下さい。
種まき
適期は5月~6月です。
発芽温度は20℃前後。
ポットに数粒ずつ蒔き、種が隠れるように覆土をします。
水を切らさないように管理したら2週間程度で発芽します。
元気な芽を残して適当に間引き、根が回ってきたら定植します。
開花は翌年からになります。
病気・害虫
白絹病
連作障害で発生しやすくなります。
庭植えの場合も数年に一度は植え替えを行って下さい。
株が混み合って風通しの悪い環境でも発生しやすくなるので、風通しの良い環境で育てて下さい。