- 学名…Colchicum L.
- 和名…イヌサフラン
- 別名…コルチカム
- 科名…イヌサフラン科
- 属名…イヌサフラン属
- 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ、中央アジア
- 花色…ピンク、白、紫
- 草丈…5㎝~40㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 8
イヌサフラン(コルチカム)とは

イヌサフラン(コルチカム)は、ヨーロッパから北アフリカ、コーカサス、アジア西部に分布するイヌサフラン科イヌサフラン属の多年草です。
イヌサフラン属には約100種の植物が分るされており、花の美しい幾つかの種が観賞用に栽培されています。
主に栽培されるのはイヌサフラン(Colchicum autumnale)、コルチカム・スペシオサム(Colchicum speciosum)で、数多くの園芸品種が作出されています。
イヌサフラン属には春咲き、秋咲き、冬咲きのタイプがありますが、上記の二種は秋咲きで、日本では夏から秋に球根を植え、秋に花を楽しむ植物として親しまれています。
属名からコルチカムとも呼ばれます。
イヌサフラン(コルチカム)の花期は9月中旬~10月。
花期になると、土の中から蕾を出し花を咲かせます。
▼イヌサフラン(コルチカム)の花

花は長さ4~8㎝、花被片は6個。
※花被片(かひへん)…萼片と花弁を合わせて花被片と呼び、その全体を花被と呼ぶ。
萼片と花弁が類似する、あるいはほとんど区別できない場合に用いられる。
内外2列になっている場合、外側にあるものを外花被(がいかひ)、内側を内花被(ないかひ)と呼ぶ。
▼イヌサフラン(コルチカム)の花

雄しべは6個、雌しべの花柱は3個。
▼イヌサフラン(コルチカム)の雄しべと雌しべ

「イヌサフラン」の名前は、サフランに似たこの花に由来しています。
植物の名前で「イヌ」が冠されるのは、多くの場合「役に立たない」「偽物」という意味です。
イヌサフランも「サフラン」の名前が付きますが、サフランはアヤメ科、イヌサフランはイヌサフラン科で全く別の植物です。
サフランは香辛料として広く利用されますが、イヌサフラン(コルチカム)には強い毒性があり、食用になりません。
このことから「イヌサフラン」と呼ばれています。
花色はピンク、白、紫。
一重咲きの他、八重咲き、大輪品種などが流通します。
▼八重咲きのイヌサフラン(コルチカム)

果実は長楕円形の蒴果(さくか)。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
▼イヌサフラン(コルチカム)の果実

果実は熟すと裂け、中の種子がこぼれます。
葉は披針形~長楕円形。
花の時期に葉は無く、翌春に芽吹き梅雨頃には枯れて休眠します。
▼イヌサフラン(コルチカム)の葉

耐暑性、耐寒性共に高く、育てやすい植物です。
数年間は植えっぱなしでもよく花を咲かせます。
土や水が無い状態で室内に放置していても花を咲かせます。
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イヌサフラン(コルチカム)の毒性
イヌサフランの球根や種子には、コルヒチンというアルカロイド系の有毒物質が含まれています。
コルヒチンは痛風の治療に利用される成分ですが、誤食すると重大な中毒症状を引き起こします。
芽吹きの時期の草姿が、山菜のギョウジャニンニクと似ていることから誤食による事故が後を絶ちません。
通常栽培する分には問題ありませんが、食用とされる植物との混植は避け、掘り上げた球根は野菜と別の場所で保管するなどの配慮が必要です。
ちなみにイヌサフランには、ギョウジャニンニクのようなニンニク臭はありません。
イヌサフランの原種
イヌサフラン(Colchicum autumnale)

ヨーロッパからウクライナにかけて分布しています。
草原や牧草地、森林の開けた場所や林縁などに自生しています。
幾つかの園芸品種があり、広く栽培されています。
コルチカム・スペシオサム(Colchicum speciosum)

トルコ、イランの他、コーカサス地方に分布しています。
分布域は主に山岳地帯にあり、牧草地や草原、落葉樹林などに自生しています。
こちらも園芸品種が広く栽培されています。
イヌサフラン(コルチカム)の育て方

栽培環境
日当たりが良く、水はけが良い場所が適しています。
花を咲かせるだけであれば、土や水がない状態で机の上などに置いておくだけでも開花します。
蕾が出始めたら日の当たる場所に置いて花を楽しんで下さい。
翌年も花を咲かせるためには、花を楽しんだ後に花壇や鉢に植えて球根を太らせます。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性が高く、特に対策の必要はありません。
夏の間は葉が枯れて休眠期になるので、鉢植えの場合は、雨の当たらない場所に移動して管理して下さい。
球根を掘り上げない場合は、葉が枯れたら取り除きます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、秋から春までの間、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。
春を過ぎて葉が枯れ始めたら、徐々に水やりの回数を減らし、休眠期に入ったら水を絶ちます。
肥料
比較的肥料を好む植物です。
庭植え、鉢植え共に、植え付けの際に元肥として堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は春の3月~4月、秋の9月~10月に緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を施して下さい。
植え付け
適期は9月頃です。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
深さは10㎝程度、株間は15~20㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に川砂を2割ほど混ぜたものを使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・川砂2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜて土を作ります。
5~6号鉢に1球が目安で、深さは3~5㎝程度です。
球根の掘り上げ
球根は毎年掘り上げる必要はありません。
球根は毎年分球して増えていくので、増えすぎているようなら、掘り上げて植え替えて下さい。
時期は、6月頃になって地上部の葉が半分ほど枯れ始めた時です。
掘り上げた球根は、日陰でしっかりと乾かし、風通しの良い涼しい場所でネットなどに入れて保管します。
増やし方(分球)
分球で増やすことが出来ます。
分球
コルチカムの球根は、自然に分球して増えていきます。
9月頃に球根を掘り上げて、分けて植え付けて下さい。
病気・害虫
白絹病
水はけが悪い場所で育てていると発生することがあります。
地際の葉茎や球根に菌が付着し、白い絹糸のような菌糸が発現します。
一度発病すると完治することはなく、他の株にも伝染するので、発病した株は速やかに処分して下さい。
水はけの良い環境で育て、病気の発生を抑制することが大切です。