多年草・宿根草 グランドカバー

ヒメイワダレソウ(リッピア)

育て方のポイント

ヒメイワダレソウ(リッピア)の育て方早見表

ヒメイワダレソウは、地面を這う茎が節ごとに発根し、 短期間で広い範囲を覆う多年草です。 日なたでよく育り、乾燥や暑さ、ある程度の踏圧にも耐えるため グランドカバーとして利用されますが、非常に繁殖力が強いため植え場所には注意が必要です。

分類
多年草~小低木
花期
5月~9月
花色
白~淡紫色、ピンク
草丈
5cm~15cm程度。茎は地面を這って横へ広がる
日照
日なた。半日陰では生育や被覆速度が遅くなる
適した場所
日当たりのよい、周囲へ広がっても管理できる場所
水やり
庭植えは根付けばほぼ降雨のみ。極端な乾燥時のみ水やりをする
肥料
ほとんど不要。多肥にしない
植え付け
4月~7月
夏越し
暑さに強く、特別な対策はほぼ不要
冬越し
寒さで地上部が枯れることがあるが、春に再び芽吹く
増やし方
株分け、挿し芽。茎の節から容易に発根する
管理
広がりすぎる前に定期的に刈り込み、境界を越えた茎を除去する
注意点
自然地、河川、水路などへ逸出させない

育て方のコツ: 丈夫で育てやすい反面、茎が地面を這って節ごとに発根するため、 一度広がると除去が難しくなります。 花壇の中ではなく、周囲から隔離して管理できる場所で利用するのが安全です。

植え付け前の注意

ヒメイワダレソウは広がりすぎに注意

ヒメイワダレソウは繁殖力が非常に強く、 地面を這う茎が節ごとに発根して広がります。 一度定着すると完全に取り除くのが難しい植物です。

庭から河川敷、空き地、道路脇、水路などへ逸出しないよう管理し、 生物多様性の保全上重要な地域や、在来のイワダレソウが生育する場所の周辺には植えないようにします。

刈り取った茎の断片からも発根することがあるため、 刈りくずを水路や自然地へ流したり、捨てたりしないよう注意します。

ヒメイワダレソウ(リッピア)の基本情報

  • 学名…Phyla nodiflora var. minor
    Synonym:Lippia canescens
    Synonym:Phyla canescens
  • 和名…ヒメイワダレソウ(姫岩垂草)
  • 別名…リッピア
  • 科名…クマツヅラ科
  • 属名…イワダレソウ属
  • 原産国…南アメリカ
  • 花色…白、ピンク
  • 草丈…5cm~15cm
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:8 to 11

ヒメイワダレソウ(リッピア)とは

ヒメイワダレソウ(リッピア)

ヒメイワダレソウは、南アメリカに分布するクマツヅラ科イワダレソウ属の多年草です。
分布域はエクアドル南部からペルー、ボリビア、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチンなどにあり、牧草地や草原、道路脇などに自生しています。

南米の広い地域で分布が見られますが、アルゼンチン・サンタフェ州やブエノスアイレス州の化石から花粉が発見されており、この地域を起源とする説が有力です。
オーストラリアでは既存の生態系に大きな影響があるとして問題となっています。

日本には1926年頃に園芸植物として導入されました。
リッピアとも呼ばれますが、これは旧学名(Lippia canescens)が流通名として定着したものです。


ヒメイワダレソウの花期は5月~9月。
花期になると、葉の付け根から花序を出し、小さな花を数個まとまって咲かせます。
花序は直径1cm程度の大きさです。

▼ヒメイワダレソウの花序

ヒメイワダレソウの花序

花は花径2~4mm程度の唇形花(しんけいか)です。

唇形花(しんけいか)とは、筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれてた花のことで、この様子を口に見立て、上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼びます。

ヒメイワダレソウの唇形花は、上唇は2裂、下唇は3裂しており上唇の2倍以上の大きさがあります。
下唇の中央には鮮やかな黄色の斑紋が入ります。
花は白色で、咲き進むと淡紫色になります。

▼ヒメイワダレソウの唇形花

ヒメイワダレソウの唇形花

雄しべは4個あり、内2個が長くなっています。

▼ヒメイワダレソウの雄しべ

ヒメイワダレソウの雄しべ

花の最盛期は初夏から夏にかけてですが、四季咲き性があり、長い花期の間ぽつぽつと咲き続けます。
花色はピンク、白。


葉は対生し、長さ5mm~20mm、幅2mm~7mmの楕円形~倒卵形で縁に鋸歯があります。

▼ヒメイワダレソウの葉の様子

ヒメイワダレソウの葉の様子

茎は株元から分枝して地面を這うように広がり、各節で発根して地面に根を下ろします。
草丈は15cm程度で、1株が50cm以上に広がります。

繁殖力旺盛である程度の踏圧にも耐える強さがあるので、グランドカバーとしてよく利用されています。
芝生に比べると手もかからず、少し高さがあるので柔らかで優しい印象です。

▼マット状に広がったヒメイワダレソウ

マット状に広がったヒメイワダレソウ

本来は常緑性ですが寒さで落葉したり、地上部が枯れてしまうことあります。
地上部が枯れてしまっても根は生きているので、春になれば再び芽吹きます。

耐寒性、耐暑性に優れ、病害虫もほとんどなく育てやすい植物です。

旺盛というよりも爆発的な繁殖力なので、植える場所には注意が必要です。
花壇だと他の花を駆逐する勢いがあります。
また根も深く張るので、一旦繁殖すると抜くのも大変です。

利用する場合は周囲へ逸出しない場所を選び、定期的に広がりを管理する必要があります。

地表を密に覆うと雑草の発生を抑える効果が期待できます。
ただし、雑草が完全に生えなくなるわけではありません。

ヒメイワダレソウとイワダレソウ

よく似た名前の植物にイワダレソウがあります。
イワダレソウは、ヒメイワダレソウと同じクマツヅラ科イワダレソウ属の在来種です。
両種の交雑による品種も作出されています。

植物 由来 特徴 種子 利用上のポイント
ヒメイワダレソウ 南アメリカ原産の外来植物 非常に繁殖力が強く、茎の節から発根して広がる 付ける 庭外や自然地への逸出に注意する
イワダレソウ 日本にも自生 海岸などに自生する在来のイワダレソウ 付ける ヒメイワダレソウとは別の系統
クラピア K7など 在来イワダレソウを基に育成された園芸品種 地表を密に覆うよう選抜・改良されている 不稔性で種子を付けない ヒメイワダレソウとは同じものではない
クラピア K5 在来イワダレソウ系統とヒメイワダレソウの交雑品種 薄ピンク色の花を咲かせ、グランドカバーとして利用される 不稔性で種子を付けない 品種登録された園芸品種

イワダレソウ(Phyla nodiflora)

世界の熱帯から亜熱帯に広く分布しており、日本では本州、九州、四国、沖縄に分布しています。
ヒメイワダレソウに比べると花が小さく、苞が紫褐色なのが特徴です。
咲き進んでいくと、花序は長く伸びていきます。

ヒメイワダレソウ(リッピア)の育て方

リッピア(ヒメイワダレソウ)の育て方

栽培環境

日当たりさえ良ければ、土地は選びません。
半日陰でも育ちますが、生育が遅くなり、茎が間延びしやすくなります。
本来の美しい草姿を楽しむためには、よく日の当たる場所で育ててください。

花壇に植えると、周囲の植物の生育範囲まで急速に広がることがあります。
植え場所は熟考の上で決定してください。

冬越し・夏越し

冬越し

耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。

寒冷地では地上部が枯れますが、春になれば芽吹きます。
枯れた茎が気になるようなら取り除いてください。
北海道(札幌)での植栽例もあります。

夏越し

暑さには強い性質です。
真夏の西日にも負けません。
対策無しで夏越し可能です。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場で極度の乾燥が続く場合は水やりをしてください。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。

肥料

庭植えの場合は、肥料は特に必要としません。
極端なやせ地の場合は、春と秋に緩効性化成肥料を施してください。

鉢植えの場合も、あまり肥料は必要ではありません。
春と秋に、緩効性化成肥料の置き肥をする程度で十分です。

植え付け・植え替え

植え付け

適期は4月~7月です。

グランドカバーとして利用する場合は、植え場所の除草をしっかりと行っておくと早く繁殖します。
生育期には1株から50cm以上の範囲へ広がることがあります。
間隔を空けて植え付けてください。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりして生育が悪くなるようなら植え替えが必要です。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。

ヒメイワダレソウが広がりすぎる場合

ヒメイワダレソウは、地面を這う茎が節ごとに発根しながら広がります。 境界を越えた茎を放置すると、短期間で周囲へ定着します。

広げたくない場所まで茎が伸びたら、根付く前に早めに切り取ります。 すでに発根している場合は、茎だけを切らず、根ごと掘り上げます。

長期間放置すると太い根が深く張るため、完全に取り除くのが難しくなります。 花壇との境界や敷地の外周は定期的に確認します。

刈り取った茎の断片から再び発根することがあるため、 水路、河川、空き地などへ流出しないよう処理します。

増やし方(株分け)

挿し芽でも増やせますが、株分けが非常に簡単です。

株分け

適期は4月~7月。
茎の節の部分から発根しているので、根を付けた茎を掘り上げて植え付けてください。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

よくある質問

ヒメイワダレソウ(リッピア)のよくある質問

ヒメイワダレソウをグランドカバーとして利用するときによくある疑問をまとめました。 広がりすぎる場合の管理、芝生との違い、冬越し、クラピアとの違いなどを確認しておきましょう。

ヒメイワダレソウは植えてはいけない植物ですか?

栽培そのものが一律に禁止されている植物ではありませんが、 非常に繁殖力が強く、自然地へ逸出すると在来植物への影響が懸念されます。 河川、草原、水路、在来のイワダレソウが生育する場所の周辺では利用を避け、 庭の外へ広がらないよう管理することが大切です。

ヒメイワダレソウはどのくらい広がりますか?

生育期には地面を這う茎が急速に伸び、 1株から50cm以上の範囲を覆うことがあります。 茎の節が地面に触れると発根するため、放置するとさらに広い範囲へ広がります。

広がりすぎたヒメイワダレソウはどうすればよいですか?

境界を越えた茎を早めに切り取り、根付いた部分は根ごと掘り上げます。 長期間放置すると太い根が深く張り、除去が難しくなります。 刈り取った茎から再び発根することがあるため、自然地や水路へ流出させないよう処理します。

ヒメイワダレソウは雑草を完全に防げますか?

地表を密に覆うことで雑草の発生を減らす効果は期待できますが、 雑草が完全になくなるわけではありません。 植え付け前に既存の雑草を十分に除去し、 被覆するまでの期間は発生した雑草を抜き取ります。

ヒメイワダレソウは踏んでも大丈夫ですか?

ある程度の踏圧には耐えますが、芝生のように頻繁な通行や激しい利用に耐える植物ではありません。 人が時々歩く程度の場所には利用できますが、 通路として常時踏まれる場所では傷むことがあります。

冬に茶色く枯れました。春に戻りますか?

寒さで葉を落としたり、地上部が枯れたりすることがあります。 根が生きていれば春の気温上昇とともに再び芽吹きます。 枯れた茎が目立つ場合は、春の芽吹き前に刈り取って整理します。

ヒメイワダレソウとクラピアは同じですか?

同じものではありません。 クラピアには日本の在来イワダレソウを基に育成された品種や、 在来系統とヒメイワダレソウを交配した品種があります。 現在流通するクラピアは不稔性で、種子を付けないよう育成されています。

  • この記事を書いた人

suzuna(すずな)

バラや季節の草花に囲まれて育ち、現在も自宅の庭でガーデニングを楽しんでいます。 植物の基本情報は、国内外の植物園・植物データベースなどを確認しながらまとめています。

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