一年草・二年草

キバナコスモス

  • 学名…Cosmos sulphureus Cav.
  • 和名…キバナコスモス(黄花秋桜)
  • 科名…キク科
  • 属名…コスモス属
  • 原産国…メキシコ
  • 花色…黄、オレンジ、赤
  • 草丈…60㎝~200㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:2 to 11

キバナコスモスとは

キバナコスモス

キバナコスモスは、メキシコ原産のキク科コスモス属の一年草です。
美しい花を咲かせることから、観賞用として世界中の温帯で広く栽培されており、逸出したものが各地で野生化しています。


日本への渡来は大正時代で、1966年に赤花の「サンセット」が作出されてから広く普及しています。

「サンセット」は名前の通り茜色のコスモスで、岩手県の橋本昌幸氏によって育成された品種です。
黄色のコスモスに赤い条斑を見つけた氏は、十数年の歳月をかけて花弁のすべてが赤い品種を作り出しました。
このサンセットは、世界で最も権威のある品種コンクール「オールアメリカセレクションズ(AAS)」で金賞を受賞し、当時の園芸会で話題となりました。

現在では次々と新しい品種が作出され、キバナコスモスは、夏の花壇を彩る定番の植物となっています。

日本、および韓国では特に人気が高く、広く栽培されています。


キバナコスモスの花期は6月~10月。
花期になると茎の頂部に、花径4~8㎝程度の、コスモスによく似た頭花(とうか)を咲かせます。

頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
一つの花のように見える花序は、2種類の花で構成されています。
中心部分の管状花(カンジョウカ)と、周りの舌状花(ゼツジョウカ)です。

▼キバナコスモスの頭花

キバナコスモスの頭花

舌状花は通常8個で、長さ1.8~3㎝の倒卵形、先が浅く3裂します。
※流通する多くの品種は八重咲きです。

管状花は多数あり、長さ6~8㎜の筒状で、先が5裂しています。

舌状花は無性、管状花は両性花です。

▼キバナコスモスの舌状花と管状花

キバナコスモスの舌状花と管状花

管状花は外側から内側へと咲き進みます。

雄性先熟で、先に雄しべが成熟した後、雌しべが伸びてきます。
雌しべの柱頭は2裂しています。

▼キバナコスモスの管状花

キバナコスモスの管状花
キバナコスモスの管状花

花色は淡い黄色からオレンジ色、朱色。
花期が長く、真夏の酷暑にも負けず、鮮やかな花を次々と咲かせ続けます。

▼赤や黄色の花を咲かせるキバナコスモス

赤い花を咲かせるキバナコスモス
黄色い花を咲かせるキバナコスモス

果実は長さ1.5~3㎝の痩果(そうか)で、長いくちばしがあります。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。

▼キバナコスモスの果実

キバナコスモスの果実

痩果のくちばしの先には2本の冠毛が付いています。

▼キバナコスモスの果実と冠毛

キバナコスモスの果実

葉は対生し、長さ5~12㎝の2~3回羽状複葉(うじょうふくよう)です。
裂片は幅2~5㎜で、コスモスのように糸状にはなりません。

葉柄は1~7㎝。

羽状複葉(うじょうふくよう)とは、葉軸の左右に小葉が並んだものです。
羽状複葉が集まってさらに大きな羽状複葉を構成している場合、その回数に合わせて2回羽状複葉、3回羽状複葉と呼びます。

▼キバナコスモスの葉の様子

キバナコスモスの葉の様子
キバナコスモスの葉の様子

茎はまばらに毛があるか無毛で、草丈60~200㎝に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるキバナコスモス

たくさんの花を咲かせるキバナコスモス

コスモスに比べると標高の低い地域に自生するため、暑さに強いのが特徴です。
性質は非常に丈夫で、放任でもよく育ちます。
開花は発芽後50~60日で始まり、春に種をまけば夏に咲き、夏にまけば秋に開花します。
こぼれ種でもよく増えるので、一度植えれば毎年花を楽しむことが出来ます。

関連図鑑

キバナコスモスが属するコスモス属の植物は、熱帯~亜熱帯アメリカに約42種が知られています。
本種の他ではコスモス、チョコレートコスモスなどが栽培されています。

キバナコスモスの育て方

キバナコスモスの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
やせ地でもよく育ち、肥沃な土壌では葉ばかりが茂って花が少なくなる傾向があります。
また、日照時間が足りないと生育、花付き共に悪くなるので、よく日の当たる場所で育てて下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
乾燥気味な環境を好むので、過湿にならないように注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として用土に腐葉土や堆肥を混ぜておけば追肥の必要はありません。

鉢植えの場合は、生育期間中、追肥として緩効性化成肥料を定期的に置き肥します。
多肥にすると葉ばかりが茂って花付きが悪くなるので、肥料は少なめを心がけて下さい。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、堆肥などの有機肥料を混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。

花がら摘み

花がらを放置しておくと種が出来ます。
種を採らない場合は、早めに花がらを摘んで下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ますが、こぼれ種で自然によく増えます。

種の採取

種は花後に出来ます。

茶色くなって、手で触って自然に取れるようであれば収穫時期です。
晴れた日に採取して下さい。
収穫した種は日陰で乾燥させ、紙袋などに入れて種まきの時期まで保存します。

種まき

適期は4月中旬~7月です。
発芽後50~60日で開花し始めます。
春に蒔けば夏に咲き、夏に蒔けば秋に咲きます。

種は花壇やプランターに直まきで育てることが出来ます。
適当にばらまいてもいいですし、筋まきや点まきをしてもいいです。
点まきの場合の株間は20㎝程度。
深さ1㎝程度の穴や筋を作って種を植えて下さい。
発芽温度は20℃~25℃です。
発芽するまでに7~12日程かかります。
発芽して本葉が3~4枚になったら適当に間引いて下さい。

病気・害虫

風通しが悪い環境で育てていると、アブラムシやハダニが発生します。
ひどく混み合っているようなら間引いて風通しを良くし、発生を抑制して下さい。

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