一年草・二年草 ハーブ

ボリジ(ルリジサ)

  • 学名…Borago officinalis L.
  • 和名…ルリヂシャ(瑠璃苣)
  • 別名…ボリジ、ルリジサ、ルリチシャ
  • 科名…ムラサキ科
  • 属名…ルリヂシャ属
  • 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ
  • 花色…青、紫、白
  • 草丈…30㎝~70㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:6 to 9

ボリジ(ルリジサ)とは

ボリジ

ボリジは、ヨーロッパ、北アフリカに分布するムラサキ科ルリヂシャ属の一年草です。
分布域は南ヨーロッパ・ポルトガルからギリシャ、スロベニアからボスニアヘルツェゴビナ、北アフリカ・モロッコからリビアなどにあり、道端や荒れ地など、日当たりの良い場所に自生しています。

ボリジにはハーブとしての長い歴史があり、現在も気分を高揚させる効能があるハーブとして知られています。
古代ローマ時代には薬草として用いられ、中世では強壮効果があるとして、騎士が士気を高めるために煎じて飲んでいました。
古くから栽培されてきたため逸出したものが各地で野生化しており、ヨーロッパの他、南北アメリカ、オーストラリアなどで帰化しています。

和名はルリヂシャ。
ルリジサとも呼ばれます。


ボリジの花期は5月~7月。
花期になると、茎の上部の葉の付け根から花序を出し、小さな花を咲かせます。
花序は集散花序で、複数の花が同時に咲きます。

▼ボリジ(ルリジサ)の花序

ボリジの花序

花は花径2~3㎝程度の大きさで、下向きに咲きます。
花冠は5裂して星形に開き、裂片の先は細く尖って反り返ります。

▼ボリジ(ルリジサ)の花

ボリジ(ルリジサ)の花

花冠中央には白い突起状の副花冠(ふくかかん)があります。

※副花冠(ふくかかん)…花被や花冠の内側にある弁状、または花冠状の付属物。スイセンやトケイソウなどに見られる。

▼ボリジ(ルリジサ)の副花冠

ボリジ(ルリジサ)の副花冠

副花冠の内側には5個の雄しべが突出しています。
葯は黒~濃青色。
雌しべは雄しべの中心にあり、花柱は白~淡いピンク色です。

▼ボリジ(ルリジサ)の雄しべと雌しべ

ボリジ(ルリジサ)の雄しべと雌しべ

花は鮮やかな青色をしており、花から採れる汁はかつて聖母マリアの青い衣装を描くために使われていました。
そのためボリジの青は「マドンナブルー」と呼ばれます。
花色は青の他、紫、白。

▼白い花を咲かせるボリジ

白い花のボリジ(ルリジサ)

果実は長さ5~8㎜の小堅果(しょうけんか)で、縦に不規則なうねが入ります。

※堅果(けんか)…乾燥して硬い果皮が種子を包み、裂開しない果実のこと。
小型のものを小堅果(しょうけんか)と呼ぶ。


葉は長さ8~20㎝、幅3~8㎝の卵形~楕円形で、縁に鋸歯があります。

▼ボリジ(ルリジサ)の葉の様子

ボリジ(ルリジサ)の葉の様子

茎はよく分枝して、花を咲かせながら草丈30~70㎝程度に育ちます。
葉茎は荒い毛で覆われており、素手で触るとチクチクと痛い思いをします。

▼たくさんの花を咲かせるボリジ(ルリジサ)

たくさんの花を咲かせるボリジ(ルリジサ)

強健な性質で、こぼれ種でもよく増えます。
耐寒性はそこそこありますが、高温多湿の環境は苦手です。
蒸れから梅雨の時期に枯れてしまう事もあります。

ボリジの効能と利用法

ボリジにはカリウムやカルシウムが豊富に含まれており、副腎を強化する働きがあります。
またアドレナリンの分泌を促す効果が確認されており、鬱に対して効果があるとされています。
その他、利尿作用、解熱作用もあり、花から作る煎じ薬が実際にフランスで作られ効果を発揮しています。

熱を伴う風邪の時や、心が沈んだ時に効果を発揮してくれるハーブです。
ただし長期に渡る摂取や大量の摂取、授乳中の摂取は避けて下さい。

花はそのままサラダやケーキの飾りにしたり砂糖漬けにしたり、若葉はサラダやお浸し、天婦羅にして食べることが出来ます。
花を製氷皿で水と一緒に凍らせると、美しい花の氷を作ることが出来ます。
アイスティーなどに浮かべて楽しみます。

関連図鑑

似た草姿の植物にコンフリーがあります。
コンフリーはボリジ(ルリジサ)と同じムラサキ科の多年草です。

ボリジ(ルリジサ)の育て方

ボリジの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと生育、花付き共に悪くなります。
たくさんの花を咲かせるためには、よく日の当たる場所で育てて下さい。

冬越し

霜に当たると葉が傷み、苗が小さい場合は枯れてしまう事もあります。
簡単な霜よけを設置し、株元をマルチングして防寒対策をして下さい。
鉢植えの場合は、霜の当たらない軒下などに避難して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
乾燥気味の環境を好みます。
水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込みます。
追肥の必要はありません。

鉢植えの場合は、花茎が立ち上がる頃から開花するまで液体肥料を少量施して下さい。

植え付け

適期は3月~4月、9月~10月です。
直根性で移植を嫌うので、苗を植え付ける際は根鉢を崩さないように気を付けて下さい。

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土や川砂などを混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販のハーブの土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

梅雨時期の管理

高温多湿の環境が苦手です。
蒸れてくると下葉が枯れこんできます。
葉茎が込み合っているようなら、適当に間引いて風通しを良くして下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ますが、こぼれ種でも勝手に増えます。

種の採取

花が散ってしばらくすると残ったガクの中に種が出来ます。
種が茶色く熟したら採取して下さい。
ボリジの種は熟すとすぐに落ちてしまいます。
株元にビニールを敷いておくなどすると集めるのが楽になります。
採取した種は紙袋などに入れて、涼しい場所で保管します。

種まき

適期は3月中旬~4月、9月中旬~10月です。
寒冷地以外の場合は、秋に蒔いた方が株が大きく立派に育ちます。

種は花壇や鉢に直播きするか、ポットなどに蒔きます。
直蒔きの場合は株間を20~30㎝開けて2、3粒ずつ。
ポットの場合も2、3粒ずつ蒔いて、薄く覆土をします。
発芽して本葉が4~5枚程度になったら、根を傷めないように定植して下さい。

秋まきの場合は、霜よけをして冬越しをします。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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